
パストール・マルドナドはもはや"ペイドライバー"ではない。
「彼がダメなドライバーなら、どれだけ資金を持ち込もうが、ここにはいない」とフランク・ウィリアムズ卿はブラジル紙『Globo Esporte(グロボ・エスポルテ)』に語った。
ベネズエラの国営石油会社『PDVSA』やウゴ・チャベス大統領ともつながりのあるマルドナドは、オックスフォードシャーを拠点とするウィリアムズに多額のスポンサーマネーをもたらしている。その彼が先週末のスペインで今季5人目の勝者に輝いた。
これで"ペイドライバー"の汚名を返上することができたとウィリアムズ卿は語り、マルドナドはワールドチャンピオンの器とまで褒めたたえた。
「間違いなくそうだ。彼は非常に速く、ミスをしない」と先月70歳の誕生日を迎えたウィリアムズ卿は言う。
だが一方で、彼はマルドナドの資金力も契約の1つの要素だったと認めた。
「確かに、ある程度はね」とウィリアムズ卿。「それは否定しない。だが、彼が真のドライバーなのもまた事実。金を持っていようといまいと、このチームにふさわしいのは確かだ」
「本当のところ、金がなければF1にいることなどできないよ」と彼は付け加えた。
株主のトト・ウォルフも同意する。「GP2でレースをするにも数100万ポンドかかる。つまり、ドライバーには速さと才能も必要だが、それだけでなくスポンサーを引きつける能力も必要なんだ」
「そろそろこの"ペイドライバー"論争はやめにしようじゃないか」とウォルフは主張した。
だが、3度のワールドチャンピオン経験者、ネルソン・ピケはマルドナドにやや疑問を感じていたという。
彼は自身のGP2チームでマルドナドを走らせたことがあるが、当時の印象について、"あまりにアグレッシブ"でミスが多かったと振り返る。
「ニコ・ロズベルグのように若い頃に輝きを示したタイプのドライバーではない」とピケは語る。「ロン・デニスによって、必要なものをすべて手に入れていたルイス・ハミルトンとも違う」
「GP2では2年目に結果を出せなければ、才能を疑問視される。マルドナドの場合、ようやく輝きを見せたのは4年目になってからだった」
「だからこそ、彼はペイドライバーとしてしかF1に行けなかったのだろう。一見、何も特別なものを持っていないように思われた。まずまずのパイロットという認識はあっても明らかにアロンソではなかった」
「彼は正しい時に正しい場所にいたに過ぎない。だが、スペインでアロンソやキミ(ライコネン)といったワールドチャンピオンを倒したのも事実。とても立派だったと思うよ」
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