- シューイの被害者
ファインダー越しのF1 - 2016年US GP&メキシコGP
F1フォトグラファーのマーク・サットンが各グランプリで撮影した特選画像を紹介する『ESPN』独占コラム。2016年シーズン第17戦日本GP編!
【マーク・サットン 2016年11月5日】
シューイの被害者

これまでにもここのコラムで何度か言及したことがあるが、いつも大きく歯を見せて笑顔満載かつ、基本的に楽しもうとするダニエル・リカルドはカメラマンにとって本当に素晴らしいドライバーだ。(オースティンでは)3位でゴールし、バーチャルセーフティカーがなければおそらく2位でフィニッシュできていたかもしれない。確かに、彼自身は今後のシューイは優勝した時だけだと公言しているが、2位であれ3位であれ、シューイはもはや大きな伝統と化している。テレビカメラがとらえていたかどうかは分からないが、アルコールを飲まないジェラルド・バトラーはレッドブルを1缶持参しており、リカルドはシャンパンの代わりにそれを入れてあげていた! 素晴らしいシーンであり、今回もとにかくおもしろかった――メルセデスコンビが表彰台に上ったときは基本、あまりこういうシーンにお目にかかることがない。
事前準備

これはルイス・ハミルトンのレアショット。いつもガレージにいる彼はヘルメットをかぶっていないことが少なく、こういう場面をカメラに収められることは珍しい。これはピットレーンウオーク中の木曜日に撮影したもの。周辺にはとても多くのファンがおり、メルセデスガレージの外から何やら音がするので、なんだろうと思って駆けつけてみるとシート合わせ中のルイスがいた。彼がシート合わせをしているところに出くわすなど本当にレアだ。私はいつもシート合わせのシーンを撮影したいと思っている。全ドライバーの、だ。ドライバーとマシンという最高の画が生まれるからね。
ルイスファン

アメリカのファンはルイス・ハミルトンが大好きだ。人気は抜群。これは表彰台に背を向けて撮影した1枚だ。後ろから聞こえてくる「ルイス、ルイス」と彼を呼ぶ声がすさまじく、振り返ってみるとこれだけのファンが大声を上げていた。魚眼レンズに切り替えることにし、観衆の素晴らしさを伝えるに十分な写真が撮れたと思っている。F1は多くの情熱的なファンが集うレースを必要としており、オースティンは間違いなくそのひとつになっている。
オラ、メヒコ

エステバン・グティエレスは初めてのメキシコGPに興奮していた。彼とセルジオ・ペレスは週末を通して大注目の的。昨年のレースにも出走していたペレスの方が少し慣れていた感はあるが、グティエレスは全身全霊でファンに対応していた。この場面は国歌斉唱の直後。通常ならグリッドに並ぶ頃だが、サーキットの脇に目をやると、グティエレスがファンの熱狂をかき立てながら、お辞儀をしていた。地元の応援を受けることはドライバーにとって本当に特別なことであり、レース前の最高の一瞬になったのではないかと思う。おそらく、FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)のカメラはここを抑えられていないかもしれない。
ルイスの幸運

長いピットストレートの正面、ターン1からのショット。ハミルトンがどれだけ早い段階にロックアップしていたかを示す良い1枚だと思う。明らかに直進し、ターン2のエイペックスを完全に逃している。ブレーキに問題ありだったのは間違いなく、この後の会話はすべてアドバンテージをどうやって得るのかがすべてだっただろう。とはいえ、何よりもまず、ターン1で接触することなく逃げ延びたことはラッキーだったと言えるだろう。ここに立っていると、視界が一部制限されてしまうので、このコーナーで何が起きたのか実際にはあまり見えておらず、ハミルトンのコースオフやニコ・ロズベルグとマックス・フェルスタッペンのバトルに対する観客のリアクションを聞きながら、それでも後続車の撮影を続けた。というのも、このシケインをしっかりと見渡せる別の場所にカメラマンがいるのは分かっていたからね。
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