スペインGP

/ News

  • スペインGP

スペインGPアップグレードに賭けるチームたち

Me
2019年5月8日 « フェラーリがエンジンアップグレードを前倒し | ブラジルGP、2020年にリオデジャネイロへ移転の予定 »
© Alexander NEMENOV / AFP
拡大

今週末のスペインGPからF1のヨーロッパラウンドがスタートする。チームたちはプレシーズンテストの会場となったシルクイート・デ・バルセロナ・カタルーニャを再び訪れることとなる。場所が彼らの拠点に近いことから、ここはシーズン最初の大型アップデートを投入する目標として設定されることが多く、最初のフライアウェイ戦で実力を出し切れなかったチームは間違いを正そうとし、好スタートを切ったチームは自分たちのアドバンテージ強化を図るのが常だ。バルセロナへと旅立つ前に、この週末で前進を必要とする5チームの状況を詳しく見てみよう。

フェラーリ

【課題】
メルセデスに4連敗を喫したことでフェラーリはコンストラクターズ選手権で74ポイント差、セバスチャン・ベッテルはドライバーズ選手権で35ポイント差をつけられている。まだ17戦が残っているとはいえ、メルセデスには弱点がほとんど見当たらず、信頼性ではフェラーリ側に不安が残ることなどを考えると、大きな差だ。ゲームオーバーではもちろんないが、イタリアチームはどうしてもここで勝利を必要としている。

【アップグレード】
アップグレードされたパワーユニットが4週間も早く投入とは意外だ! 同時に、サプライヤーのシェルから改良されたオイルも提供されることになっており、フェラーリがこれだけ大きく計画を変更してきたからには、ダイノ上で相当期待できる数値がはじきだされているに違いない。バクーに持ち込まれた新ターニングベイン、バージボードとフロアに加えてさらなる空力アップグレードも予定されている。

【チームの見解】
マッティア・ビノット(チーム代表):「スペインGPが始まろうとしている。伝統的に多くのチームがアップデートを持ち込むレースであり、われわれのライバルたちもパフォーマンスをステップアップさせてくるだろう。現在、われわれはチャンピオンシップで後れを取っており、追いつかなければならない。つまり、開発作業が今シーズンのカギになるということだ。バクーに新しい空力パッケージを持ち込み、バルセロナにもそのエリアに関していくつか開発パーツを投入する予定だ」

「それに加えて、予定より早めて新しいパワーユニットも用意している。カナダに持っていくことになっていたセカンドスペックだ。わが部隊と密接に提携するシェルが異なる製法のレース用潤滑油を開発してくれたので、パフォーマンスを強化するためにも、今回の新しいパワーユニットとともに使用することになっている。これらの開発を前倒しできたのは必死に巻き返そうとプッシュする全員の力、大きなチーム努力の成果にほかならない」

【われわれの見解】
2019年最初の4戦でフェラーリを見ていて最ももどかしかったのは、リザルトに示されるよりも明らかにマシンが良いということだった。ミス――ドライバーとチームの双方による――が非常に高くついているのは明らかであり、純粋なペースだけを見ればバーレーンやバクーでは勝つことができたはずだ。

シーズンはまだ4戦を消化したに過ぎないが、誇張でも何でもなく、スペインはフェラーリにとって必ず勝たなければならないレースだ。ここはプレシーズンテストでSF90がずばぬけた速さを見せた場所であり、この週末でメルセデスの前に出られなければ、残りのシーズンで彼らが一貫してそうできる希望は極めて小さくなる。チームも目に見えてハードにプッシュ中だ――バクーでもかなり大きなアップグレードパッケージを持ち込んできた――だが、メルセデスも立ち止まってはおらず、彼らもまたスペインで自分たちのアップグレードを予定している。

レッドブル

【課題】
また冬が過ぎ、またメルセデスとフェラーリの後ろで新たなシーズンが開幕した。このオフシーズンのレッドブルにはホンダパワーへの変更という大きな変化があったため、今年は初めから開発のための1年という考えもあったのかもしれない。それでもやはり、レッドブルのようなチームやマックス・フェルスタッペンのようなドライバーがペース面で遅れているのを見るのは残念だ。

【アップグレード】
これまでの年と異なり、スペインGPのアップデートパッケージは比較的小さなものだとレッドブルは述べている。彼らの言葉を信じるかどうかは自由だが、真相はバルセロナではっきりする。それはともかく、新しいモーターホームにはぜひ注目してもらいたい・・・。

【チームの見解】
クリスチャン・ホーナー(チーム代表):「年の初めからわれわれは(メルセデスとフェラーリへの)ギャップを縮めてきたと思う。メルボルンでは強い戦いをして、マックスはグランプリの大部分でルイス(ハミルトン/メルセデス)をプッシュしていた。バーレーンはわれわれにとってタフなレースだったが、そこでは自分たちが改善できた点をいくつか見せられたと考えている。それから中国ではもう少し良いレースができたし、バクーでもそれ以上のところを見せた」

「これからわれわれに合うと期待されるサーキットがいくつかやってくる。4戦が終わり、マックスは36ポイント差だ。チャンピオンシップはまだまだこれから長い。1戦ずつ取り組んでいく必要があるが、3戦続けて4位というのには少々飽きてきた――もう一度表彰台争いがしたい」

「スペインでのアップグレードはごくわずかなものだ。基本的には進化だけなので通常通りだよ。フロントとリアのウイングをアップグレードする。だがそれはレボリューションというよりもエボリューションだ」

【われわれの見解】
開幕前のレッドブルの懸念はHondaのパフォーマンスだった。しかし、日本のマニュファクチャラーは堅実なスタートを見せている。何かあるとすれば、序盤の数戦でその懸念がシャシー側に移ったことだろう。チームが真のパフォーマンスに近いものを本格的に引き出し始めたのはバクーになってからだ。だが、バクーはまだパワーサーキットという面が強く、バルセロナのような優れた空力パッケージを必要とするサーキットでのレッドブルを見ることで、残りのシーズンにおける彼らのパフォーマンスをもう少し読み取ることができるようになるだろう。

ホーナーが言うように小さなアップグレードだけでいいとすれば、チームがいつでも攻撃を開始できる態勢を整えているとも考えられ、これまでのリザルトが示唆しているよりも彼らが開発の方向性に満足しているとも受け取れる。ダニエル・リカルドが昨年のモナコでMGU-Kにトラブルを抱えながらも勝利したことを忘れてはいけない。次の2戦でレッドブルは間違いなくトロフィーを狙ってくるはずだ。

© Peter J Fox/Getty Images
拡大

ルノーF1チーム

【課題】
今年はルノーの5年計画における4年目のシーズンにあたり、本来ならトップ3とのギャップを縮める年になるはずだった。しかし、本部が過去数年で多くの投資を行ったにもかかわらず、コース上でチームが期待していたようなリザルトは得られていない。グリッド上で1、2を争うエキサイティングなドライバーラインアップを有しながらも、チームは何を間違ってしまったのか、内部に目を向けるしかない状況だ。

【アップグレード】
ルノー側は"ポジティブで妥当な複数のアップグレード"を用意したと述べている。その中にはフロントウイングのアップグレード、マシンリア部分の変更やドライバーが正しいバランスを見つけられるようにするためのメカニカル的修正が含まれる。

【チームの見解】
シリル・アビテブール(マネジングディレクター):「2019年F1シーズンのヨーロッパセグメントの始まりはわれわれにとってリセットの機会だ。全体としてタフな1年のスタートとなり、アゼルバイジャンGPは自分たちの期待にそぐわないリザルトの締めくくりのようだった。われわれの能力はこんなものではないと分かっており、ポテンシャルを生かすためにはクリーンな週末やレースを目指さねばならない」

「そのためにはオペレーションの全ての面で仕事をする必要がある。コースの内外でシャシーとエンジンに取り組み、ドライバーたちがそれぞれの能力を発揮できるように彼らと協力して作業する。今まで以上に多くを求めてモチベーションが高まっており、スペインでは競争力の完全回復を目指している」

【われわれの見解】
昨年のランキングを4位で終えたルノーは、トップ3との差を縮めることを目標としていたはずだ。最初の4戦で彼らはほぼ全面的にそれに失敗しており、立て続けにMGU-Kの信頼性トラブルにも遭遇している。

何より心配なのは、カスタマーチームであるマクラーレンとのパフォーマンス差だ。冬の間にマクラーレンが見せたリカバリーを軽視すべきではないが、昨年末の2チームの立ち位置を考えると、ルノーは後退してしまったように見える。

だがチーム内にはまだ、リザルトがマシン本来のパフォーマンスを反映していないとの信念があるようだ。バルセロナというなじみ深いテリトリーに戻ることで、彼らはピレリタイヤを作動ウインドーに入れるという中団のトップに返り咲くために必要な鍵を手に入れられるかもしれない。

ハースF1チーム

【課題】
ハースF1はプレシーズンテスト中に有望なペースを示していたが、レースではタイヤ温度を保てないという問題を抱えてそれを形にすることができずにいる。ピレリの2019年型タイヤは前年までと比べてトレッドが薄くなっており、コンパウンドを昨日させるために必要な温度を維持することが難しくなった。どういうわけか、ハースF1は他チームよりも問題対処のためのセットアップを見つけることに苦しんでいる。

【アップグレード】
今週末はシャシーメーカーのダラーラから新しいボディワークのパーツが届く予定だ。ロマン・グロージャンはBタイプと言ってもいいほどの変化だと示唆しているが、より詳細な新パーツのリストがチーム代表のギュンサー・シュタイナーから提供された。

【チームの見解】
ギュンサー・シュタイナー(チーム代表):「今年最初のアップグレードを持っていく。マシンの多くのパーツが変わる――フロントウイング、フロアと、ミラーのようなもっと小さなパーツ多数だ。かなり大きなアップグレードだよ」

「プレシーズンテストの時のように全てが機能してくれることを願っている。過去3回のレース週末でわれわれは少しばかり自信を失ってしまったが、完全に失ったわけではない。ただ予想には注意深くなっているだけだ。慎重ながらも楽観視している」

【われわれの見解】
ハースF1の問題はかなり特有のものであり、タイヤ温度を保つソリューションを見つけられれば一気に多くのパフォーマンスを解放できるはずだ。2019年のラバーに苦しんでいるのは彼らだけではないが、ライバル勢と比べてシミュレーションツールが不足していることが解決を難しくしているのかもしれない。

ドライバーの報告によれば、何周か走ってタイヤの表面がグレイニングし始めると問題が一気に加速するらしく、パフォーマンスと温度が急降下するという。プラス面は、バルセロナがハイエネルギータイプのサーキットだということだ。天候にも恵まれれば温度を上げ、維持するのがかなり容易になるだろう。しかし、すぐに続けてやってくるモナコやカナダのようなローエネルギータイプのコースに向けて、ハースF1としては長期的ソリューションを見つけたいところだろう。

© Charles Coates/Getty Images
拡大

ウィリアムズ

【課題】
さて、どこから始めるべきか? テストではマシンの完成が遅れ、チームは最初の2日間を欠席した。そこからはずっと追い上げの日々が続いている。マシンが速ければそれも苦にはならないだろうが、バクーの予選でも彼らはまだトップと5秒も離れていた。

【アップグレード】
チームはスペインでテストするアイテムが複数あると述べているが、グランプリ初日はこの週末でアドバンテージのあるものだけに力を入れ、長期的パフォーマンスに関するものはレース後の2日間のテストで試すとしている。

【チームの見解】
クレア・ウィリアムズ(副チーム代表):「最高の年とは言い難い状況です。それは誰にでも見て取れるでしょう。テストでシャシーがないというところから始まり、そこからは追い上げを強いられるばかりでした。今の私たちはレースに必要な数量が全てそろい、ようやくそこに必要だった質が加わったとという段階です。次は文字通り棚上げされていたアップグレードを入れていきます。製造のバックログもクリアになりました。トンネルの先に光はあります」

「ウィリアムズ本部では多くの作業が進められています。どこかで自分たちに流れがやってくる奇跡を私たちが願っているだけだと考える人がいるとしたら、それは間違いです。自分たちにふさわしい位置に立てるようにと多くの作業が行われています」

【われわれの見解】
ウィリアムズの問題は1回のアップデートで解決に近づけるものではない。だが、中団の後ろに近づくポジティブな一歩はチーム内の士気を保つのに必要だ。スペインでのアップデートは、これまでのシーズンとプレシーズンで開発されたものであり、復帰したパトリック・ヘッドの下で行われているチームの再編を必ずしも反映したものではないだろう。非常に厳しい状況にありながらも、マシンから最大限を引き出してくれるであろうジョージ・ラッセルの存在がチームにとってせめてもの光明となっている。

© ESPN Sports Media Ltd.