シンガポールGP

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ファインダー越しのF1 - シンガポールGP

Mark Sutton / Jim
2010年10月2日
カメラマンにとってもシンガポールGPは特殊 © Sutton Images
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F1カメラマンのマーク・サットンが2010年シーズン第15戦シンガポールGPを振り返ります。

【マーク・サットン 2010年9月28日】

素晴らしい週末だったが、本当に長い週末だった。F1パドックが週末を通してヨーロッパ時間で過ごしていたことはご存知だと思う。それ自体、とても大きなチャレンジなのだが、私たちはさらに一歩進んでその中に飛び込んだ。

兄ケイスと私は代理店やキヤノンとの仕事があり、いくつかセミナーに参加したので、水曜日の朝に(シンガポールに)到着してすぐにGMTから8時間先の時間に順応しなければならなかった。数え切れないほどのインタビューを受け、同じ話を何度も何度も繰り返したのでドライバー気分を味わった感じだ。それゆえ、金曜日の走行が始まるまでにすでに疲れてしまったものの、そこからはパドックの皆と同じようにヨーロッパ時間に戻しての活動に切り替えなければならなかった。

とはいえ、ナイトレースのシンガポールは本当に特別なので、写真選びもユニークだ。金曜日は太陽が沈む中で最初のセッションが行われるため、すぐさまコンディションを整える必要があるが、素晴らしいシーンをご覧いただけたと思う。しかし、私の一番壮観なショットはレースの最後に訪れた。ヘイキ・コバライネンのロータスが私の目の前、50mのところで燃え上がったのだ。

マーク・サットンが撮影した連続写真:炎上するコバライネンのマシンの消火活動にあたるウィリアムズのクルー © Sutton Images
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サーキットの外側でチェッカーフラッグのシーンを撮影しようと思い、他のカメラマンに自分のアングルをふさがれないように調整している時だった。フェンスの隙間からのぞく形で撮影しなければならないため、何度か仮撮影しておくといいのだ。そうしているうち、視界の隅にとらえていた巨大スクリーンでロータスが炎上しているのを確認したので、私はすぐにそれに焦点を合わせる準備を始めた。

彼がピットストレートを走ってきたときは炎が勢いを増しており、最終的に私がいた向こう側のコース上にストップした。シーズンの中でも最も楽に撮影できたわけだが、最もドラマティックだったことは間違いない。まるで夢がかなったかのよう。あれ以上いい位置取りはないだろう。

炎はどんどん勢いを増していく。現代のF1ではめったに見られるものではない。近年でも何度かピットで炎が上がることはあったし、もちろん1994年のホッケンハイムでヨス・フェルスタッペンが火だるまになったこともあったが、記憶が確かなら、1990年代以降に炎が上がるマシンをカメラに収めたことはない。心に焼き付いて離れない1枚は、これもホッケンハイムが舞台で、フェラーリに乗るゲルハルト・ベルガーがリアに炎を背負ってピットストレートを走ってきた場面。

1995年、リアから炎が上がるゲルハルト・ベルガーのマシン © Sutton Images
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シンガポールの炎は確実にそれに匹敵するもので、ものすごい連続写真が生まれた。だが、これはこのスポーツがいかに危険であるかを示してもいる。特に、マーシャルたちの中に誤解があって動きが非常に鈍かった。

テレビではコバライネンが自分で消火作業にあたっていたように見えたと思うが、実際のところ、給油時代の巨大な消火栓を持ち続けているウィリアムズのあるメンバーが一番の功労者だ。ヘイキ(コバライネン)の行動はとても勇敢だったが、真のヒーローはナイジェルと呼ばれる男。巨体に多くのタトゥーを描いているやつで、私は彼のことをSUPER AGURI時代から知っている。(レース中の給油が認められていた頃は)ピットストップ中に燃料ホースを担当していたので、彼はああいった作業をまったく知らないわけではない。

コバライネンが手にしていた消化器だけでは絶対に無理だったので、彼の素早い行動が幸いした。写真を見てもらえれば、マシンに消火栓を当てる直前にフェンスの隙間からホースが突きでてきているのを分かってもらえるはずだ。

ケイス・サットンが接写した炎上シーン © Sutton Images
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ウィリアムズの1人と話をしているとき、F1マシンが炎に包まれた場合、マシンに搭載されているいくつかのマテリアルがいかに危険であるかを教えてくれた。彼によると、炎が激しくなるとさらに燃焼し、非常に高熱となるため皮膚を通じて骨まで燃やしてしまうのだという。加えて一定の温度を超えればガスも発生する。ウィリアムズは誰かがそれを吸い込んでしまった場合に備えて、毎レースに解毒剤を持ち込んでいるのだそうだ。今回のことは本当にショッキングであり、今後、一部のサーキットにおける消火担当マーシャルの質と有用性を考えさせられる出来事だったと思う。

その夜、ヘイキと会ったときに、あの場面の完全な連続写真を撮影したことを伝えた。彼は大丈夫だと言っていたが、その時はかなり怖い思いをしたようだ。また、私の兄のケイスも当時ピットウオールにいて、フェンス越しに何枚か接写している。正直言うと、おそらく彼は少し邪魔をしたのではないかと思うが、現場は非常に熱く、彼もまた爆発炎上を恐れていたと明かしていた。

本当に長いレースだったが、チェッカーフラッグが振られてなお、私たちの仕事は終わらない。イギリスのオフィスからパルクフェルメに行ってマーク・ウェバー(レッドブル)のフロントタイヤを確認するよう情報が入る。すると、ウェバーのタイヤがほぼ外れかけていた。私がその場に行ったとき、マクラーレンのエンジニアであるジョナサン・ニールとフィル・プリューがそのタイヤを見てFIAに合法性を確認していた・・・。彼らの仕事もまた、終わりはないのだろうと思う。

レッドブルのマシンをながめるジョナサン・ニールとフィル・プリュー © Sutton Images
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その後、マクラーレンはどうしているかとガレージに行くと、多くのエンジニアやメカニックがウェバーとの接触でサスペンションが折れたルイス・ハミルトンのマシン後部を確認していた。こういう状況ではカメラマンとして常に有能でいなければならない。そしてコースを発つ瞬間まで、いつでもシャッターを切る準備をしておくのだ。

最終的にすべての作業を終えた私は夜遅くなってアンバーラウンジに向かい、レース後の祝勝会をのぞいた。最高の夜で、フェラーリの皆や数名の他のドライバーたちと共にフェルナンド・アロンソがいた。皆がスペシャルソングを歌う華々しい瞬間に立会い、さらにはアロンソがイスの上に立って部屋中にシャンペンを浴びせ始める大騒ぎだ。アロンソは上機嫌。ドライバーが少しリラックスしているところを見ると素敵だと思う。彼は別に酔っ払っていたわけではない。単にその時間を楽しんでいただけ。あれだけのパフォーマンスを見せられたあと、誰が彼を責められようか。残念ながら、その場にカメラを持ちあわせていなかったが、素晴らしい物語だ。

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