シンガポールGP

/ News

  • シンガポールGP - ペナルティ

実利なくとも違反は違反

M.S.
2019年9月25日 « リバースグリッド提案の背景を説明するブラウン | 予選除外のリカルドがMGU-KとCEを交換 »
© Mladen ANTONOV / AFP
拡大

シーズン後半のフライアウェイ戦の皮切りである第15戦シンガポールGPでは、たとえパフォーマンス上のアドバンテージがなくともルール違反は厳格に取り締まるという先例が示された。

問題になったのはルノーのダニエル・リカルドが予選で使用していたMGU-Kだ。これがテクニカルレギュレーションの定めるパワーリミットを超過していたのだが、リカルドにとっては実質的に予選を戦う上でのアドバンテージはなかった。それにもかかわらず、スチュワードは「パフォーマンスのアドバンテージを得られなかったと主張することは弁護にならない」との規定に基づいて、Q3で8番手につけていたリカルドを予選から除外している。

これに対して不満を抱えるリカルドはもっとシンプルなやり方があるはずと語っていたが、それを実現するには罰則を定めるルールの変更が必要だろう。レースディレクターは本件について「違反しているか、していないかのどちらかしかない」と述べている。

その他を含め、シンガポールGPの週末を通してスチュワードが審議し、何らかの処分を下したインシデントおよびペナルティの詳細は以下の通り。

シンガポールGP初日:9月20日(金)

【金曜フリー走行1回目】

◆ルイス・ハミルトン(メルセデス)
違反内容:直近の使用を意図された燃料の温度が、FIAが承認する気象サービスがフリー走行1回目の1時間前に記録した気温を摂氏11度を越えて下回る、FIA F1テクニカルレギュレーション第6条5項2に違反
裁定:メルセデスに罰金5,000ドル(約54万円)
裁定理由:FIA F1テクニカルレギュレーション第6条5項2によれば、マシンで直近の使用が想定されている燃料はすべて、摂氏10度を越えて気温を下回ってはいけない。今回の場合、気温は摂氏32度と発表されており、燃料の温度はそれを少なくとも11度下回っていた。チームの代表者らは温度設定のエラーにより、温度がテクニカルレギュレーションの規定を下回っていることを認めている。この違反がフリー走行1回目で発生したことを踏まえ、上記の罰金を科すものとする。

【金曜フリー走行2回目】

◆セルジオ・ペレス(レーシング・ポイント)
違反内容:ターン21でカーナンバー20(ケビン・マグヌッセン/ハースF1)と接触、FIA F1スポーティングレギュレーション第27条4項に違反
裁定:戒告(ドライビング/今季1回目)
裁定理由:スチュワードは映像と無線コミュニケーションを確認し、カーナンバー11のドライバーおよびカーナンバー20のドライバー、そしてチーム代表者らから事情を聴取した。スチュワードはいずれのドライバーもファストラップ中であり、2台のメルセデスの後方を走っていたと判断した。ターン21の出口でペレスはレーシングラインのややインサイドのラインを取っており、マグヌッセンがペレスはピットへ向かっていると思うのも妥当だった。しかし、マグヌッセンが右からペレスをパスしようとした歳、無線でセットアップの指示を受けていたペレスは前にいるメルセデスについていこうと加速し、自身とウオールの間の差をつめたため、マグヌッセンがペレスとの接触を避けるためにウオールにぶつかることにつながった。スチュワードはペレスの挙動が"不必要にスローで、不安定な、もしくは他のドライバーにとって危険性があるとみなされる"走行の定義に合致すると断定し、戒告を言い渡す。スチュワードはこの動きが意図的であった、もしくは極度のものではなかったことを考慮に入れている。

シンガポールGP2日目:9月21日(土)

(土曜フリー走行はペナルティなし)

【予選】

◆セルジオ・ペレス(レーシング・ポイント)
違反内容:ギアボックス交換、FIA F1スポーティングレギュレーション第23条5項(a)に違反
裁定:5グリッド降格
裁定理由:カーナンバー11(ペレス)のギアボックスが6戦連続の使用期間を満たす前に交換されたため。

◆ダニエル・リカルド(ルノー)
違反内容:Q1でMGU-Kのパワーリミットを超過、FIA F1テクニカルレギュレーション第5条2項2に違反
裁定:予選失格
裁定理由:スチュワードはFIA技術責任者および、チームマネジャーと2人の担当エンジニアを含むチーム代表者らから聴取した。その聴取において、2019年F1テクニカルレギュレーション第5条2項2号別紙3にて許可されているMGU-Kのパワーフロー制限を逸脱していたとするスチュワードの見解に疑いの余地がないことを確認した。この制限を規制するための方法はチームによって熟知され、理解されている。マシンが制限を超えたとする事実も、規制されるための方法論についてもチームが真偽を問題にすることはなかった。

チームの弁護も2点に基づくものだった。第一に、超過が非常に微小であり、多くの利益をもたらしていない。第二に、超過はQ1の2回目の最速ラップ中に発生した。チームは超過がどのようにして起きたかをスチュワードに説明したが、スチュワードはこの情報がチームの機密であり、今回の裁定に関連しないと考えている。

チームの論拠にかかわらず、スチュワードは"車両が適用されるテクニカルレギュレーションに従っていないことが判明した場合、パフォーマンスのアドバンテージを得られなかったと主張することは弁護にならない"と定める規約第1条2項2号ISCの明白な文言に留意する。今回の裁定を下すにあたり、スチュワードは技術的な違反および処分に関する長年の前例を参照しており、処分は一貫して予選失格であるため、アドバンテージを得たかどうかについては考慮しないものとする。本件は国際控訴裁判所によって非常に明確に主張されている。したがって、スチュワードはカーナンバー3(リカルド)を予選結果から失格とする。

◆ダニエル・リカルド(ルノー)
違反内容:4基目のMGU-K、4基目のコントロールエレクトロニクス(CE)を使用、FIA F1スポーティングレギュレーション第23条3項(a)に違反
裁定:10グリッド降格
裁定理由:FIA F1スポーティングレギュレーション第23条3項(b)に則り、上記のペナルティが適用された。

シンガポールGP決勝:9月22日(日)

◆アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)
違反内容:ターン8でのインシデント、FIA F1スポーティングレギュレーション第12条1項1(h)、およびFIA国際インターナショナルコード第12条1項1(i)に違反
裁定:FIA F1スポーティングレギュレーション第38条3項(d)に基づくレース後のタイムペナルティ10秒(レースタイムに10秒加算)
裁定理由:スチュワードは映像証拠を確認し、カーナンバー99のドライバー(アントニオ・ジョビナッツィ)とチーム代表者から事情を聴取した。クレーンとマーシャルがインシデントの現場で働いていたため、レースディレクターはターン8のインシデント現場の右側を走行するようすべてのマシンに指示していた。インシデントの前にはダブルイエローフラッグが振られていた。スチュワードは十分に減速したと感じていたとのドライバーの説明を受け入れており、彼はSCのデルタタイムに従って走行していたものの、現場にいたマーシャルやレースディレクターが安全と感じるよりもクレーンとマーシャルに近いところを走行している。スチュワードはこれに同意するものである。ドライバーはインシデントの場所について聞いており、右側を維持したものの、クレーンが動いていると認識していなかった可能性がある。スチュワードはこの件を危険な状況に陥った可能性があるものと捉えており、マーシャルにリスクがおよんだ可能性があることから、10秒のタイムペナルティを科した。

オーストラリアGP:開幕戦では3チームに罰金
バーレーンGP:レース中のインシデントは全ておとがめなし
中国GP:レッドブル&トロ・ロッソ勢のみが処罰の対象に
アゼルバイジャンGP:燃料流量違反とウイングのたわみで予選除外処分
スペインGP:ルノー、不適切なウイング交換でペナルティ
モナコGP:苦戦をものがたる大量ペナルティ
カナダGP:物議をかもしたベッテルのペナルティ
フランスGP:コース逸脱と復帰に厳しい判断
オーストリアGP:白熱のレースにおとがめなし、週末には珍しい違反も
イギリスGP:ただ一人ペナルティを科されたベッテル
ドイツGP:大量のタイム抹消、決勝ではトルクのルール違反
ハンガリーGP:予選での走行妨害以外に目立った違反なし
ベルギーGP:バトルはおとがめなしで後半戦が幕開け
イタリアGP:ベッテルがホームで失態、異例の予選で3人に戒告

© ESPN Sports Media Ltd.