シンガポールGP

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美しき夜景が華を添える魅惑のナイトレース!

M.S.
2015年9月17日
© Sutton Images
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2015年シーズン終盤のフライアウェイ戦は、いつものレースとは違った雰囲気が魅力のシンガポールからスタートする。

サーキット

今でこそ、人工照明の下で行なわれるレースが増えたとはいえ、2008年にF1初のナイトレースとしてカレンダーに記載されたのがここシンガポールだ。海沿いを走る5.065kmの区間がストリートサーキットに姿を変え、夜の街をF1マシンが疾走するエキサイティングな構図はたちまち多くのファンから支持を集めた。

途中で橋を渡るセクションを含め、市街地を通るこのサーキットはコーナーがカレンダー最多の23を数える。ラップタイムも他のコースに比べて長く、61周のバトルにかかる時間は2時間レースの規定ギリギリになるのが常だ。

今年は一部レイアウトが変更されている。ターン11がよりタイトな低速コーナーになり、続くターン12も微調整されたため、ドライバーたちはアンダーソン・ブリッジの左レーンを走行することになる。ターン13のヘアピンはオーバーテイク増加を期待して幅が1m拡大された。

タイヤ

ピレリはシンガポールで"成功する2つのカギ"として「最大のメカニカルグリップと急速なウオームアップ」を挙げ、それをもたらすコンパウンドとしてソフトとスーパーソフトを用意する。

ピレリのモータースポーツディレクターを務めるポール・ヘンベリーは路面の温度変化やコンパウンド間のパフォーマンス差、燃料の温存やセーフティカー出動の可能性といった要素を踏まえて戦略を練らなければならない上、白線やマンホールカバーといった市街地ならではのものにも対応が必要だと指摘している。

前戦イタリアGPで発生したメルセデス勢のタイヤ内圧をめぐる騒動を受け、ピレリは同様の混乱を防ぐべくFIAと共に内圧のセッティングと確認の手順を明確化していく意向とのことだ。

天候

今年のシンガポールGPではインドネシア・スマトラ島の焼き畑農業やそれに伴う山火事による煙害、ヘイズの状況が強く懸念されている。グランプリ開幕を控えた14日(月)までの段階で会場の上空は濃い靄(もや)に覆われ、大気汚染基準指数は"不健康な大気状態の低度から中度の区域"にあると発表された。オーガナイザーはグランプリスケジュールに変更の予定はないとしており、刻一刻と変わっていくヘイズの最新情報を発信していく予定とのことだ。

シンガポール国家環境庁の公式サイトでは週末を通して最高気温33度、最低気温26度と予想されており、土曜日と日曜日には午後に雷雨の可能性があるという。地域特有の湿度と暑さから体力面では1年で最もタフなレースの一つであり、ドライバーたちはそれぞれトレーニングに余念がない。

見どころ

欧州ラウンドを締めくくったスパ、モンツァの2戦とは異なり、エンジンパワーの差がそれほど大きな影響をもたないシンガポール市街地サーキットでは、これまで苦戦を強いられていた陣営がどこまでペースを取り戻せるかに注目だ。

ランキング上ではメルセデスのルイス・ハミルトン(252ポイント)が前戦でリードを53ポイントに広げ、元F1ドライバーのマーク・ウェバーに言わせれば「終わりだ。もう決まりだよ」という状況に。しかし、モンツァのリタイアで窮地に追い込まれたハミルトンの僚友ニコ・ロズベルグ(199ポイント)は戦いをあきらめるつもりは「絶対にない」と話している。

市街地レースの特性としてオーバーテイクが難しく、過去7大会中ポールポジションからの優勝が5回を記録しているため、ロズベルグがチャンスを狙うならまずは19日(土)の予選が勝負どころだろう。

また、これまで実施されてきたシンガポールGPのすべてで必ずセーフティカーが出動しており、今年もその可能性は高そうだ。

HondaのF1プロジェクト総責任者を務める新井康久氏は「滑りやすくタイトなコーナーのコースを踏まえ、エンジニアたちは理想的なパワーユニットのセットアップに仕上げるべく準備を進めています。パワーユニットとシャシーの全体的なバランスが良い週末を過ごすカギとなるため、レースに向けてドライバーたちに優れたパッケージを提供したいです」と意気込みを語っている。

2014年シンガポールGP

フロントローに並んだのはメルセデスのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグ。しかし、ロズベルグは2番グリッドから始動することができずにピットレーンからのスタートとなり、後に無念のリタイアを喫した。セーフティカー出動による進行の遅れもあり、2時間レース規定によって60周目にハミルトンがトップチェッカーを受けた。

大気の状態だけが気がかりではあるものの、F1に新たな姿と楽しみを与えたシンガポールで、今年もすべてのレース関係者とファンが特別な週末を満喫できることを願うばかりだ。

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