RB9を駆って9連勝という記録を打ち立てた2013年のセバスチャン・ベッテル © Sutton Images

2004年11月にジャガー・レーシングを買収したエナジードリンクメーカーのレッドブルがF1に参入したのは2005年。買収価格は1ドルだったものの、新オーナーはそれから先の3年間に4億ドル(約358億6,400万円)を投資することになる。

チームを率いることになったのはF1史上最年少でチーム代表に就任したクリスチャン・ホーナーだ。コスワースエンジンを搭載して初シーズンに臨んだレッドブルはすぐさまパフォーマンスを発揮し、序盤2戦を終えてすでに前年にジャガーが獲得した総得点を上回るポイントを手にした。

2006年シーズンに先だって、レッドブルはテクニカルディレクターとしてエイドリアン・ニューイを起用。マクラーレンとウィリアムズで活躍してきたニューイはF1で最も優れた技術屋の1人として名高い。また、エンジンをコスワースからフェラーリV8に切り替えている。 しかし、レッドブル・フェラーリにとって2006年は大きく後退した1年だった。モナコGPではクルサードが素晴らしい走りで3位に入り、チーム初の表彰台と6ポイントをもたらしたが、残りのシーズンは苦戦を強いられる。結果、シーズンが進むにつれ、チームはRB2シャシーの開発を中止し、ニューイが手がける2007年型マシンRB3の開発に焦点を当てることを決断する。全18戦で16ポイントを獲得したレッドブルはチャンピオンシップを7位で終えている。

ルノーエンジンを載せたニューイの新作がデビューした2007年にはクルサードのパートナーにはマーク・ウェバーを起用。マシンは一見して高い競争力を持っているように思われたものの、信頼性の低さに泣いた。レッドブルはジェフ・ウィリスを採用してニューイと共にテクニカル部門の強化にあたらせている。中盤にはアップデートがいくらか功を奏したが、チームのベストパフォーマンスはウェバーが3位表彰台に上り、クルサードが5位入賞を果たしたハンガリーGPだった。

翌年も失望のシーズンを味わうことになったレッドブルは序盤戦こそウェバーが入賞常連になるも、ライバルのルノー、トヨタ、そして姉妹チームのトロ・ロッソに後れを取ってしまう。結果、トロ・ロッソのひとつ後ろの7位でシーズンを終えたレッドブルのシーズン最高位はクルサードが記録したカナダGPの3位だ。

2009年、レッドブルは世界初の試みとしてWebサイト上で3D映像を用い、2009年型マシンを公表する。ナレーションを務めたのはトロ・ロッソから移籍したセバスチャン・ベッテルだ。実際にシーズンが始まると、第3戦中国GPでベッテルがチーム初のポールポジションを記録。決勝レースではポールシッターのベッテルが優勝し、さらにウェバーが2位表彰台に上るというレッドブルの圧勝劇だった。スタートダッシュを決めたブラウンGPを打ち負かすべく、懸命にプッシュを続けたレッドブルはドイツでも1-2フィニッシュを果たしている。この時、先にチェッカーを受けたのはウェバーでF1初優勝を果たした。加えて、最終戦アブダビGPでも圧倒的な速さを見せつけたレッドブルはタイトルこそ逃したものの、コンストラクターズ選手権2位には十分なポイントを獲得してシーズンを締めくくっている。

前年に引き続いてベッテルとウェバーのコンビで迎えた2010年、レッドブルがさらなる強さを発揮し始める。ただ、チームが力をつける一方でドライバー間の確執が表面化、トルコGPではチームメイト同士でクラッシュする事態に陥った。さらにイギリスGPではウェバーが「ナンバー2にしては悪くない」と発言して世間の注目を集める。一時はウェバーがポイントリーダーに立ったものの、最終的にはシーズンフィナーレでアロンソに競り勝ったベッテルがレッドブルに初のタイトルをもたらしている。チームもコンストラクターズタイトルを手中に収め、ここからレッドブルの快進撃が始まった。

2011年はレッドブルとベッテルの年と言ってもさしつかえないだろう。開幕から2連勝を決めたベッテルはこの年11勝を飾り、4戦を残した状態で2年連続の王座を手にしている。チームも2回目の選手権制覇を果たし、ウェバーのシーズンファイナルでの優勝を含めてこの年に計12勝を挙げた。

開幕から7戦で7人の異なる勝者が誕生するという混戦になった翌年は前年のような快進撃とはいかなかったが、結局はシンガポールGPから4連勝を決めたベッテルが最終戦でアロンソとのバトルを制し、栄冠に輝いている。

チーム、ドライバーともに3年連続で選手権制覇を果たした状態で臨んだ2013年は、開幕戦の勝利を逃すも、第2戦ではベッテルが表彰台の頂点に上り、シーズンが後半戦に入るとベッテルが9連勝の大記録を樹立。レッドブルと自らのチャンピオンシップ4連覇を決めた。また、シーズン半ばにはウェバーがその年限りでレッドブルを離脱し、ル・マンに転向すると発表。後任候補にはトップドライバーを含め、さまざまな名前が浮上したものの、レッドブルは姉妹チームのトロ・ロッソからダニエル・リカルドを昇格させ、ベッテルと共にレギュレーションが大幅に変更される2014年の新たな戦いに挑むことを決断している。