
メルセデスを率いるクリスチャン・トト・ウォルフはキャリアの重要な局面にいるバルテリ・ボッタスがタフなレースを強いられたことを考えると、ルイス・ハミルトンのハンガリーGP優勝を心から喜ぶことは難しかったと明かした。
ウォルフはこの先4週間のうちに来年のハミルトンのパートナーを決断すると見られており、その候補は現在の相棒であるボッタスと、高評価を受けるメルセデスのジュニアドライバー、エステバン・オコンだ。今季のボッタスは開幕戦を勝利で飾り、タイトル争いの候補者になったかと思われたものの、最近のレースでは苦戦を強いられている。
ウォルフがボッタスかオコンの2択であることを公言した3日(土)、ボッタスはハンガリーGP予選でハミルトンを上回ってフロントローを獲得したが、翌日のレースではスタート直後の数コーナーで2回のロックアップに加え、ハミルトンとシャルル・ルクレール(フェラーリ)と軽い接触があった影響で大きくポジションを落とすことになった。最終的には8位まで巻き返したものの、ドライバーズ選手権はハミルトンに62ポイントのリードを築かれて夏休みを迎えている。
「彼にとっては非常に悲しいレースだったので、だから私はすぐに喜びの中に飛び込むことはしなかった。昨日は予選であれほど盛り上がり、パフォーマンスも素晴らしかったし、レース前は好位置につけていた」
「しかし、不運なインシデントでタイヤにフラットスポットを抱え、ルイスと接触し、ルクレールと接触し、1周のうちにすべてのハードワークが消えてしまったのだ。彼にとってはただただひどいことだ。気の毒に思う」
ボッタスの今季最悪のレースは最も新しい記憶となっているが、ウォルフはラインアップの決断に大きな影響はないはずだと主張した。
「一度のレース結果を決断に影響させるつもりはない。それよりはすべてのデータの複合的なことであり、それを踏まえて決断を下すつもりだ。安定性のある優れた人物かつ素晴らしいドライバーと、若手にマシンに乗るチャンスを与えることの対比であり、すべてにおいてメリットもリスクもある」
「明日にはプロセスをスタートする。簡単なものにはならないだろうね」
来月にはウォルフの頭の中は2020年にハミルトンの相棒とならなかったドライバーをどうするか、その問題で占められることになるだろう。昨年、レーシング・ポイント(当時フォース・インディア)で印象的なパフォーマンスを披露したにもかかわらず、オコンはドライバー市場のイス取りゲームに敗れ、今年はレースシートを手に入れられなかった。現在はメルセデスのリザーブドライバーとして活動している。
ウォルフはボッタスが残留する場合、オコンを再びレースシートなしの状態に置くことがないようにしたいと主張する。メルセデスはオコンをはじめ、もう1人の若手ドライバーであるジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)のキャリアに多くの時間と資金を費やしてきた。ラッセルに関しては今回の候補に含まれていないことが明かされている。
ボッタスのシートを他に見いだす能力が決断に影響する度合いを質問されたウォルフは「うちのドライバーたちのことはわれわれに責任があるので、当然、役目は果たす。ジュニアたちの責任もあるし、今現在、われわれとともにマシンに乗ってくれている者たちに対しても責任がある」とコメントした。
「彼らにとって厄介になるようなことは一切するつもりがない。つまり、われわれの決断がなんであろうと、ドライバーが他の場所に行く選択肢を検討し、もしそれがエステバンなら、いつかまたメルセデスにカムバックするために成長できるように、バルテリなら、皆さんがおっしゃるようにソフトランディングとなるだろう。なぜなら、彼はそれにふさわしく、昨日も見事な速さを発揮していたからだ」
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