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  • ルイス・ハミルトン独占インタビュー

常にベストであれ

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2015年11月6日
© Sutton Images
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10月21日(火)、自身3度目、2年連続のタイトルを目前にしたルイス・ハミルトンは当然ながら機嫌が良かった。マイアミからニューヨークに立ち寄り、愛犬たちを散歩させた彼はこの日の早朝にオースティンに降り立った。

メルセデスのチームパートナーである『EPSON(エプソン)』からメディアデーの招待を受けて『ESPN』が会場に行ってみると、ハミルトンはゴーカート用のサーキットで電話取材に応じているところだった――午後になってからすでに8件目のインタビューだという。レシーバーを置き、彼は"コールセンターで仕事してる気分だよ"とジョークを言って笑った。ようやく1日のメディア対応が終わろうという時にわれわれがカメラを回し始めても、やはり彼は上機嫌だった。

実のところ、今年のハミルトンはずっとこんな感じだ。昨年は最終戦のアブダビでチームメイトのニコ・ロズベルグを下して自身2度目の王座を手にする過程で、明らかな不振に陥ったこともあった。今年も決して試練が皆無だったとはいわないが、彼の自信が揺らぐことはほとんどなかったように思う。メルセデスのパディ・ロウの言葉を借りれば、ハミルトンはキャリアの"ピーク"を迎えているのだろう。

「僕は今、自分の本領を発揮していると思う」とハミルトンは同意した。「人は毎年成長し、学習するはずだから、今の自分がベストであることを願うものだ」

「F1マシンというのは、ライフスパンのどの時点であっても常にベストであるべきだし、僕もドライバーとして今まで以上に良くなければいけない。それをその通り実践できていると思う。周囲への自分の態度、仕事への取り組み方も、オールラウンドにうまくいってるよ。(コースで)それをやるのは簡単じゃことじゃない。でも楽しい。僕は仕事に新たな喜びを見いだしたんだ」

彼の新たな喜びは、そのまま今年のリザルトとなって現れている。2014年のハミルトンの戦いに弱点があったとするなら、それは予選パフォーマンスだった。しかし今年は17戦中11戦でポールポジションを獲得。ピークを迎えたスポーツマンであれば誰しもそうなのだろうが、ハミルトンは昨シーズン終盤の自分のパフォーマンスに不満を感じ、今年は確実に弱点を克服できるように努めてきたという。

© Sutton Images
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「去年はいくつかいいポールポジションがあった。スピードに関しては子どもの頃からずっと持っていたから、問題はスピードじゃないんだ。ラップをどうまとめ、メンタル的にどうアプローチをするかの問題なんだと思う。プラクティスのスタートから予選開始までのプロセス、セットアップが重要だ」

「今年、僕がポールを取れなかったのは、傾向としてセットアップが完璧じゃなかった時だ。それに対して去年は、セットアップが決まっていた割にポールポジションの回数はそれほど多くなかったと思う。だからこそ、自分のメンタル的なアプローチを変えることが必要だったんだ。今年はもっと、自分のニーズにクルマをマッチさせることを重視した。多くの場合にそれができたと思う」

ロズベルグとの関係

ハミルトンはこのインタビュー後のUS GPで、次戦への持ち越しなくタイトルが決まるレース勝利を達成し、ロズベルグのかすかな希望を打ち砕いた。まさにあっぱれとしか言いようがないシーズンの戦いぶりだったが、ハミルトンvs.ロズベルグの第2ラウンドを期待していたファンは物足りなさを感じたかもしれない。2014年は互いにブローやカウンターブローを打ち合い、見せ場を作ったメルセデスドライバーたちだったが、今年は導火線に火がつく前に決着がついてしまった。実はメディアで報じられたほどロズベルグとの昨年の対立は激しくなかったのだろうか? いや、そうではないとハミルトンは主張する。

「(書かれた話は)そのまんまだったと思うよ――これはコンペティションなんだし、激しい戦いだから、タフなのは当たり前。いつか僕が自伝を書いたら、みんなに心の内を知ってもらえると思う。その時が待ち遠しいよ! でも、本当にタフだった。タイトなバトルの中では予想されることだけどね」

「僕らは何年も一緒にレースをしてきたけど、今年は彼も成長したし、僕も成長したと思う。うまく協力して仕事ができるようになった。緊張感はまだ残っている。どの週末も彼は僕を倒したいと思っているし、それはこっちも同じだ。僕らが戦っている限り、常にテンションは続くだろう。でも、家に帰って(モナコの)建物に足を踏み入れると、そこに妻と子どもを連れた彼がいるんだ。僕は普通に近づいて話をする――そこに緊張感はない。あるのはコース上にいる時だけ。やるかやられるかの世界では、相手を倒すだけ」

プライベートを公開

昨年ほどタイトル争いがスポーツ面をにぎわすことはなかったが、彼の飛び抜けて活発なアクティビティがゴシップ覧から消えることはない。ソーシャルメディアを通じた彼の投稿からは、30歳のミリオネアの充実したプライベートが伝わってくる。彼の愛犬であるロスコーとココの様子から、バルバドスでバカンスを楽しむ姿まで、ハミルトンはその型にはまらないライフスタイルをファンに公開する。そうした『Instagram(インスタグラム)』の活用は自慢をすることが目的なのではなく、ハードワークや強い意志によって成し遂げられる結果を人々に示したいからだと彼は主張した。

My buddy Ma-Tzu and I playing around. Wanted to take him with me! @blackjaguarwhitetiger

Lewis Hamiltonさん(@lewishamilton)が投稿した動画 -

「(今年の)露出は意識的なものなんだ。僕には熱心に応援してくれる素晴らしいファンがたくさんいて、いろんな場所へ旅した時にこう思うんだ。"僕らが今、どんな経験をしたか感じてもらえるかな? 僕らがどこへ行き、どんな旅をしたか知ってほしいな"って。僕はいつも自分の環境にすごく関心を持っている。これが夢だったんだ。それをみんなと共有したい」

「僕はとても幸運だし、ここへ来るまでには十分な努力もした。だから、それによってどんなことが達成できるのかをみんなと共有したいんだ。僕をフォローしてくれるからには、僕がどんなことをしているか、いつでも見たいと思うはず。だからできるだけ知ってもらおうとしている」

F1最高責任者のバーニー・エクレストンがハミルトンの商業的な貢献を評価するのもうなずける。レースを先導している時以外の彼はF1の宣伝マンとなり、その過程で新たなファンを引きつける。3年前、彼は13歳から所属していたマクラーレンを去るという大胆な決断を下した。それは結果的に大きな実を結んだ。縛りを解かれ、メルセデスで比較的自由な契約を手に入れたことはグランプリ20勝という大きなボーナスをもたらした。ハミルトンは決して過去を振り返らない。

「僕は、"ほら、言った通りでしょ"なんて言い放つタイプじゃない。でも、自分の決断には満足している。このチームで満足しているし、自分の人生にも満足している。このクルマをドライブし、仲間と仕事をするのも好き。エプソンのようなパートナーと仕事をするのもね。もちろん、笑みを浮かべて誇らしげに闊歩(かっぽ)することはできるよ」

「僕は自分の心に従い、正しいと思うことをした――それは出身なんて関係なく、誰にとっても成功のための鍵なんじゃないかな。人に指示されて動くんじゃなく、自分にとって正しいことをすることが大事だよ。自分をしっかりと見つめ直し、1つの決断をしたのは僕にとっていい経験だった」

新たな3冠王者に心から祝福を――。

ルイス・ハミルトンが所属するメルセデスAMGペトロナスF1チームはセイコーエプソン株式会社とグローバルパートナー契約を結んでいる。エプソンはオフィシャルチームパートナーとして、インクジェットプリンター、スキャナー、3LCDプロジェクター、スマートグラスやスポーツ・健康分野のセンシング商品を含むウエアラブル機器の分野でチームをサポートし、世界中の顧客との関係性を深め、先進技術の訴求につなげている。

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