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ファインダー越しのF1 - 日本GP

Mark Sutton / Jim
2010年10月16日
日本GPのグリッドにて、マーク&ケイス・サットン © Sutton Images
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F1カメラマンのマーク・サットンが2010年シーズン第16戦日本GPを振り返ります。

【マーク・サットン 2010年10月12日】

日本では土曜日が終日雨という奇妙な週末を過ごしたが、F1に対するファンの熱意は間違いなく気持ちを高めてくれた。熱狂的、その言葉でもってしても彼らを正当に表しているとは思わない。彼らは取りつかれたようにサインを狙うハンターだ。そしてファングッズをいくらでも欲しがる。

売店を運営する一人と話したとき、彼にとっては1年のうちで最大となる繁忙期の週末なのだと教えてくれた。多くのドライバーがそれぞれのスタンドを持ち、今年のF1を走っていない佐藤琢磨のスタンドさえある。そして、そのエリア全体が人であふれかえっているのだ。

ただ、とにかく熱狂する姿が礼儀正しい。サイン会の間の待ち時間も、彼ら全員が手に持つ旗を振りながらグランドスタンドに座って辛抱強く待っていた。主催団体が厳密なスケジュールを組んでいるので、ドライバーたちはファンに殺到されることもなく、そしてまた皆がルールを守る。他の多くのサーキットではもっと無法地帯と化すのだが、主催団体は1人のドライバーにつき、一度に30人をエリアに入れようとしていた。

セバスチャン・ベッテルが手を加えた"I love DC"Tシャツ © Sutton Images
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ある時、一人の少女が"I love DC(デビッド・クルサード)"と描かれたTシャツを手に、一目散にセバスチャン・ベッテルに向かって行った。彼は少しおかしそうに笑い、「DCって誰?」と冗談を飛ばしていたが、とりあえずそのTシャツにサインし、"I love DC"の部分には"I'm not sure if…(DCを好きかどうか分からない)"と言葉を足していた。とても楽しい出来事だったし、実は少女はTシャツを彼にプレゼントしている。彼がそれをどうしていいものか分かっていたとは思わないけれど。

ベッテルは本当に素晴らしいユーモアのセンスがあるので、ファンにとっては最高だ。とても真剣な表情をしていても急に笑顔を見せて冗談を言う。同じ日のもう少し遅い時間、首にパドックパスをぶらさげた男性がやってきて、巨大なダイアモンドが散りばめられた時計を差し出し、それにサインして欲しいとねだった。セブ(ベッテルの愛称)は時計にちらりと目をやり、それから男性に目を向け、そのまま自分の手首に時計を巻いて立ち去り始める。が、すぐに戻ってきて急ににっこり笑ったかと思うと、裏側にサインをして時計を返していた。

それから次の人をテーブルで待っていると、今度はメルセデス(ベンツ)の車の鍵を差し出し、それにサインをして欲しいと言う男性が現れる。セブは今回も鍵を見て、その男性に視線を移し、そして「本当にありがとう」と言って立ち去ろうとする。まるでその車をプレゼントされたかのように。結局はこの時も鍵にサインをしたのだが、この男性は少し変わり者のようで、その場を離れようとしなかった。ストーカーのような、そんな感じでちょっと奇妙だった。

サイン会場を離れた私はそのまま真っ直ぐ、グリッド上にボックスカートのレーサーたちが集うピットストレートに向かった。このアイデアはチームがガレージにある余った部品を使い、重力を利用して走らせるゴーカートを造りピットストレートで競争させるというものだった。結局、チームは時間がなく、グリッドには地元エントリー組とF1から1チーム、ブリヂストンが参戦している。

日本GP中に開催されたボックスカートのレース © Sutton Images
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それでも、観戦するには最高のレースで、忍者や可愛らしい犬の格好をした人たちなどもいて、なかなかおもしろかった。人と制作物との奇想天外な融合だった。ブリヂストンが造ったボックスカートは本当に賢明で、見事に優勝。F1マシンで使うフロントタイヤを後輪に、風洞モデルのリアタイヤを前輪に履かせていた。

もちろん、土曜日は散々な1日だった。だが、セッションがないことは誰もが分かっていたし、皆、いつもよりリラックスしていたので、実際のところ、私はかなり楽しんでいた。ピットレーンの中央にできた雨水の川。そこに浮くような小さなボートを数チームが作った。ザウバーはミニタイタニック、レッドブルのボートは空き缶からできていた。

メルセデスGPは帆を張ったボートを流すも、帆が濡れて自滅してしまう。最高の逸品はハンモック型に折り重ねられた紙のボート。最後はマーシャルも加わって、ピットレーンの最後で勝者にチェッカーフラッグを振った。

応援に駆けつけた大のレッドブルファン © Sutton Images
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土曜日の一番の物語を話そう。土曜フリー走行のタイムシートトップにハイメ・アルグエルスアリ(トロ・ロッソ)が立つと賭けた男性が5,000ポンド(約64万円)を勝ち取ったそうだ。セッションが始まった後に賭けられるらしく、彼はアルグエルスアリが誰よりも多くコースに出ているのを見てギャンブルに出たとのこと。今後のために覚えておかなければ。

次に向かうのは韓国だ。ちょうど新たに舗装された路面を写した数枚の航空写真を入手した。私たちが多くの時間を過ごすサーキットの外側やインフィールドはまだかなり泥々のようなのでブーツを持参すべきかもしれない。最終案では、中央に摩天楼とモナコスタイルのマリーナを擁する巨大な複合施設になるという。間違いなく完成の可能性はある。ただ、基本的には水田の場所を多額の資金をもたらす場所に変えられるかどうか、この先数年間のサーキットとイベントの成功次第だろう。

韓国インターナショナル・サーキットの航空写真 © Korean Grand Prix
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レイアウト自体は気に入っているのだが、カメラマンにとっての問題は今年の写真の背景がほとんどないということ。今はまだ真新しいので、例えばバーレーンや上海、シンガポールにあるような、"これぞ韓国"という象徴的なものが何もない。予定では塔の形をした橋がストレートのひとつにかけられるはずだが、その部分はサーキットの中でも超高速区間なので写真にはあまり理想的とは言えない。

そうは言っても、バーレーンやマレーシアも初めて行ったときは基本的なものしかなかった。それでも今は新しいビルが増え、植えられた木々も成長している。それらの場所は今じゃかなりおもしろくなっているので、デビューイヤーだけで韓国を判断するのは早過ぎる。韓国から戻ってきたら、このコラムでそれをお伝えしよう。願わくは垣間見た現実の舞台裏をお届けできるといいのだが。

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