- レディオ・ガガ - ハンガリーGP
「でも、彼はそんないい人じゃないから」

亡き仲間への祈りをささげ、喜びと悲しみの入り乱れた波乱のハンガリーGPから『ESPN』がよりすぐりの無線コメントをお届けする。
「エリクソンが前にいる。原則的には君を先に行かせてくれるはずだ」
「まあね。でも彼はそんないい人じゃないから」
ダニール・クビアトのこのコメントは傑作だった。FP2の最中にマーカス・エリクソンが彼のレッドブルに道を譲るはずだと言われての彼の反応だ。
「言わなくていい、二度と同じことを言わないで。今やってるんだから!」
レース序盤、ペースアップを命じられたニコ・ロズベルグはいらいらした様子でチームからの通信を遮った。
「何するんだよ、たっぷりスペースを与えてやったのに!」
ターン1の出口でロータスのパストール・マルドナドに引っかけられて激怒するセルジオ・ペレス。マルドナドはこれで1回目のドライブスルーペナルティーを与えられた。
「ええ? 何でだよ、こんなのおかしいだろ!」
ピットレーンのスピード違反によって2回目のドライブスルーペナルティーを与えられた際のマルドナドのコメント。この後さらに、レースの終わりに10秒のタイム加算ペナルティーというおまけまでついてきた。
「全然良くならない・・・」
MGU-Kのトラブルによって表彰台の望みを奪われ、不運を嘆くキミ・ライコネンだった。
「みんな、ごめん――本当にごめん」
ルイス・ハミルトンはセーフティカー後のリスタートでダニエル・リカルドと絡むというミスを犯し、ドライブスルーペナルティーを科された。すぐにメルセデスに謝罪した彼はその後、6位まで巻き返す奮闘を見せた。
「フォルツァ、フェラーリ、エ メルシー、ジュール(フェラーリに栄光を、そしてジュールに感謝を)。君はずっと僕らの心の中にいるよ。ジュールはいずれこのチームの一員になるはずだった。グラツィエ(ありがとう)、みんな」
このレースでアイルトン・セナの勝利数に並んだセバスチャン・ベッテルだったが、チェッカーフラッグを受けた彼の脳裏に浮かんでいたのは亡きジュール・ビアンキのことだった。
「よくやったね、ダニー。きっとビアンキもこのレースを楽しんでくれたと思う。今、彼のことを考えているんだろう?」
「ああ、その通りだ――これはジュールと彼の家族のために」
F1で初表彰台を獲得したクビアトとクリスチャン・ホーナーは静かに言葉を交わした。
「信じられない。まったく予想もしてなかったよ――信じられない!」
キャリアベストとなる4位でフィニッシュし、マックス・フェルスタッペンは喜びを抑え切れなかった。驚異の17歳だ。
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