F1と聞いて真っ先に思い浮かぶ国ではないだろうが、実はハンガリーはブダペストの公園に作られた5kmのサーキットで、1936年にグランプリが開催された歴史がある。レースを制したのはアルファロメオのタツィオ・ヌヴォラーリだった。しかし、その後の政治と戦争の影響で、ハンガリーでは50年間レースが行われることはなかった。

世界選手権のカレンダーにハンガリーGPの名が初登場するのは1986年のこと――鉄のカーテンの向こうで行われた初めてのレースだった。高額のチケットにもかかわらず、イベントには20万人の観客が詰めかけた。ヨーロッパの夏の時期に開催されるのが常だったため、初めてウエットレースを経験したのは2006年のこと。

普段使われていないツイスティなサーキットはダスティでグリップに欠けることが多く、またオーバーテイクが非常に難しいことで知られている。1990年、これを利用したティエリー・ブーツェンが、遅いウィリアムズのマシンで、その年のチャンピオン、アイルトン・セナを抑えて優勝したレースは有名だ。

良い予選ポジションがハンガリー優勝の鍵ではあるが、ピットストップ戦略が決定打となったレースも多い。1998年のイベントでは、レース途中で作戦を変更したミハエル・シューマッハが大量リードを築き、勝っている。

どんな通説にも例外というものはあり、ハンガリーの場合はナイジェル・マンセルがそうだった。1989年、彼は12番グリッドからスタートしたが、次々とマシンを抜き去り、優勝。この記録を塗り替えたのがジェンソン・バトンで、雨のレースとなった2006年、14番グリッドから自身初勝利をつかんだ。

ハンガリーは2016年まで選手権カレンダーに残ることが発表されている。