- レディオ・ガガ - ドイツGP
「どうしてほしいの?」
ラップリーダーだったセバスチャン・ベッテルがクラッシュで姿を消し、ルイス・ハミルトンが14番グリッドから優勝を果たし、タイトルを争う2強がチームオーダーを発令するなど騒々しく混乱に満ちたドイツGPより寄りすぐりの無線メッセージを紹介する。
「みんな、戻らないと・・・手押しだけど」
「ダメだ、ダメ、ストップしろ、ストップ、ストップ、ストップ」
抗議も虚しく、トラブルに見舞われたマシンを停車させるよう言われ、ドイツでは予選Q2の走行がかなわなくなったルイス・ハミルトン。
「やったぜ! アドレナリーナ! アドレナリーナ!」
対照的に輝かしい土曜日を過ごしたセバスチャン・ベッテル。母国ドイツのファンがポールポジション獲得を後押ししたのは明白だ。
「おっとっと。ありがとね」
レース序盤、ポジションを争っていたフォース・インディア勢がワイドにふくらみ、1つのコーナーで2つのポジションを獲得し、無線を通じて礼を述べたニコ・ヒュルケンベルグ。
【フェラーリのチームオーダー】

「タイヤ温度は見てないの? 確認できない?」
「ああ、見ている」
「じゃあ何を待っているのさ?」
もう1台の跳ね馬を駆るキミ・ライコネンの後方に甘んじること数周、イライラのつのるベッテルはチームメイトを脇にどかせない理由をフェラーリに問うた。
「キミ、ジョックだ。気づいていると思うがタイヤをケアしなければならない。2台ともタイヤをケアする必要がある。君たち2人は別々の戦略だ。君の戦略はわずかに違っており、われわれは君にセブを抑えてほしくないと思っている。ありがとう」
それからほどなくしてチーフエンジニアを務めるジョック・クレアが無線に登場、ライコネンに事実上の指示を与えた。
「ごめん、もうちょっとはっきりしてほしいんだけど・・・僕にどうしてほしいの?」
意図は明らかであったものの、ライコネンにとっては明確でなかった様子。
「失うタイムをできる限り少なくしてほしいが、できるところで(ベッテルに道を譲ってほしい)。セブはもっと速く走る力があるものの、タイヤを傷めてしまっており、それは君も同じだ。われわれはタイヤをケアしなければならない」
再びクレアが登場するも、さらに曖昧なメッセージとなってしまい、ライコネンには通じず。
「彼を先に行かせてほしいってこと? はっきり言ってよ!」
明確化されないやり取りに明らかに不満げなライコネンはしびれを切らし、誰にでも分かる要望を単刀直入に申すよう要求した。
【雨の到来、さらなるチームオーダー】

「うん、雨は降っているけど、みんながいるところじゃない。だからどのオプションがマシなのか分からないんだ・・・」
マックス・フェルスタッペンからレッドブルにもたらされたフィードバック。局地的な雨は取るべき正しい行動の判断が難しく、ストラテジストの頭を悩ませ、おそらく、こういったやり取りがすべてのチームで交わされていたであろう。
「げっ、頼む! 頼むからってば! ごめん、みんな。あーーーーーっ、最悪」
サーキットを飛び出し、グラベルに乗り上げてウオールに突進したベッテルの感情的で動揺に満ちた叫び。優勝を逃してしまい、フェラーリに謝罪した。
「ボックス、ボックス、ボックス、ボックス、ボックス、ボックス、ボックス・・・」
「キミはステイアウトっぽいけど!?」
「じゃあステイアウトだ。ステイアウト・・・イン、イン、イン、イン、イン、イン、イン、イン、イン、イン、イン!」
大混乱に陥ったメルセデスとハミルトンのやり取り。これがレース後の物議を醸す審議につながった。ピットインを指示されたハミルトンが目前のライコネンがステイアウトするようだと報告すると、レースエンジニアのピーター・ボニントンは即座に考えを改めたが、直後にまた変更。最後のメッセージを聞きながら、自らの判断で行動に出たハミルトンはピットエントリーから外れてコースに戻った。
「もうエントリーにいたんだけど・・・。やばいの?」
問題になる可能性を感じてチームに尋ねたハミルトン。スチュワードの審議を受けはしたものの、優勝に影響を及ぼす処分が下されることはなかった。

「バルテリ、ジェームスだ。ポジションを維持してくれないか。申し訳ない」
セーフティカー解除後のリスタートでホイール・トゥ・ホイールのバトルを繰り広げたハミルトンとボッタス。メルセデスのチーフストラテジストのジェームス・ボウルズはチームが獲得可能な最大のポイントを手にチェッカーを受けられるよう介入した。
「やったなルイス! ミラクルが起きたぞ!」
ハミルトンを称えるボニントン。ホッケンハイムでのドライブを、後にハミルトンはキャリア最高の走りだったと明かしている。
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