Ferrari

/ News

  • フェラーリ

今年は無用なドラマを避けたいフェラーリ

Me
2020年2月12日 « 新車SF1000とともに頂点を目指すフェラーリ | レッドブルの2020型マシンRB16が登場 »
© Ferrari
拡大

2019年にドラマから逃れられなかったフェラーリが、18世紀の劇場で新車発表をしたのはお似合いに思える。

本拠地マラネロから30km、VIPゲストや350人の従業員、さまざまな階級の兵士たちが4階まであるムニキパーレ劇場の客席を埋め尽くした。ステージ上ではフェラーリ経営陣のスピーチの合間にバレエやアクロバットが披露され、傑出した歴史を誇るブランドの責任を再確認しながら、同時により明るい未来を約束した。

オーケストラの演奏はDJセットの音に乗っ取られてしまったが、新車をお披露目するセレモニーとしては、今週このフェラーリを超えるところは出てこないだろう。90年を経たイタリアのレースチームからは明確な決意がうかがえた。だが、その決意の全貌はイベントが終わるまではっきりとしなかった。

チーム代表のマッティア・ビノットはショーマンではない。彼はエンジニアの出身であり、彼にとって意味を持つのは日曜日の午後にコース上で展開されるショーだけだ。決定権が彼にあったとしたら、SF1000(年内に迎えるフェラーリ1000回目のF1レースを記念して名付けられた)のお披露目はテスト初日の当日で、呼び方もプロジェクトネームの671をそのまま継承していただろう。

実際、ビノットは全ての歌やダンスのプレゼンテーションが終わった後の記者会見で、ホイールベースやレーキ角について話している方がずっと生き生きとしていた。だが、集まったメディアの関心の大部分は、シャルル・ルクレールとセバスチャン・ベッテルの壊れやすい人間関係に集まっていた。

昨年、2人のドライバー間に何度も火花が散ったことは報道でもよく知られており、インテルラゴスでの同士打ちはすっかり語り草となっている。その核にあったのは、4度のワールドチャンピオン、ベッテルのパフォーマンスがシーズンを通して低迷し、新入りのルクレールがそれを上回ったことだ。

昨年の今頃はベッテル中心だったチーム内の力関係は、ルクレールがフェラーリの地元モンツァで勝利する頃には彼の方に移っていた。ベッテルより10歳若い22歳のルクレールは、経験豊富なチームメイトより多くのポイント、多くのポールポジションと多くの勝利を獲得してシーズンを終えた。

フェラーリがルクレールに重きを置いていることは、12月に発表された彼の新契約に現れている。チームは次の5年間にわたって彼をつなぎ留めることにした。それによって今後ベッテルの立場はどうなるのか、そしてチーム内の力関係にどう作用するのかが大きな疑問だ。

ベッテルの契約は今年が最後であり、次の契約を持たないままキャリアの岐路に立っている。見方によっては失うものがないともいえるが、スクーデリアに残るためには命令に従う必要がある。状況は不安定であり、あるいはそれこそフェラーリが必要としているものなのかもしれない。

最初のカードを切ったビノットはチームが6度のワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトン獲得を狙っているとのうわさから距離を置き、2021年の空席を埋める最有力候補にベッテルを指名した。

「現段階ではセブ(ベッテル)がわれわれのファーストトチョイスだ」と彼は述べた。「それについては彼と話し合っており、引き続き協議を続ける。だが、彼が最初のオプションであり、それが今のわれわれの希望であることに間違いはない」

ベッテルの方はというと、オプションが――少なくとも今は――オープンなことを知っているため、状況をあまり深刻には捉えていないと強調する。

「3年前なんて、8月まで契約がなかったんだから、厳密に言えば僕はシーズンが終わる半分くらい前までは失業が決まっていたことになる」と前回のチームとの契約についてベッテルは言及した。「どこかの時点で将来のことを整理しなければいけない。でも、僕らには十分な時間がある」

「余計なストレスやプレッシャーは感じていないよ。去年は僕にとって良かった。たくさんのことを学び、たくさんのことを理解した。ストレスは感じていない。それどころか自分自身を証明したくてうずうずしている」

ベッテルがこのままフェラーリの最有力候補でいられるかはコース上での出来事によって決まるだろう。新車発表の席での発言が必ずしもそのまま実現するのでないことは、F1歴がさほど長くても分かるはずだ。

ベッテルがルクレールと共存できるなら、彼を変える必要はない。だが、2019年と同様のトラブルが今年も起きると想像するのはそう難しいことではない。

1つ確かなのは、われわれがそれを心待ちにしているということだ。第2幕が始まろうとしている。

© ESPN Sports Media Ltd.