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F1はレース改善の好機を逸したとフェラーリ

M.S.
2019年7月4日 « 王者ハミルトン含む3名に罰点 | すでに冷却問題解決に取り組み始めていたメルセデス »
© Mark Sutton/Sutton Images
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フェラーリ代表のマッティア・ビノットはメルセデスの今季の圧勝体制を崩すためのタイヤ仕様変更にF1が同意しなかったことを"恥ずかしく"思っている。

今季に安定してピレリタイヤを機能させているのはメルセデスだけであり、フェラーリやレッドブルは適切な温度帯にタイヤをとどめておくのに苦戦してきた。そのことがメルセデスの開幕から8連勝につながり、前戦オーストリアGPでようやくレッドブルのマックス・フェルスタッペンが2018年メキシコGP以来の非メルセデスウイナーとなっている。

特にメルセデスが支配的だったのが2週間前に実施されたフランスGPで、このレースによって今のF1があまりに一方的ではないかとの懸念が生じ、メルセデスの減速を狙ってフェラーリやレッドブルがタイヤの仕様変更を提案するに至っている。そのアイデアは、よりトレッドが厚く、温度の維持が容易だった2018年の仕様に戻すというものだ。

しかしながら、トレッドが厚くなるということは、昨年のドライバーたちが不満を抱えていた主な要素の一つであるオーバーヒートが起きやすいということでもある。それこそ、ピレリが今季はトレッドを0.4mm薄くした理由だった。

オーストリアGPを前にタイヤの仕様を戻すかどうかの投票が行われたが、7チームの承認が必要なところ、支持を示したのは5チームのみ。結果として、F1は現在の2019年仕様のタイヤを引き続き使うことになった。ビノットが嘆きを示すのはこの決断だ。

「オーストリアはいいバトルだったと思うし、普通、いいバトルというのは圧倒的なパフォーマンスを誇る1チームがないときに起こる。今週末はその面で素晴らしかった」とビノットは言う。

「しかし、われわれは今週末、タイヤの決断については最高の機会を逃したと思う。F1が全体として何かをすべきだったと思うし、われわれはときどき、行動しないことについて話し合ってきたと思うのだが」

「われわれが残るシーズンでタイヤの仕様を変更しなかったことを本当に恥ずかしく思う。なぜなら、それがフィールドを縮める最高の機会になったはずだからだ」

しかしながら、2018年のタイヤに戻すことには、昨年に経験したオーバーヒートの問題が再燃するのみならず、いくつかの問題を起こす可能性がある。ピレリはトレッドを減らしながらも今年のフランスGPで全チームを通じて32のブリスターを確認しており、2018年式のタイヤでは問題がさらに深刻だったと考えている。

「私にとっては非常に奇妙だ。2018年のタイヤに戻すことにアドバンテージが全く見いだせず、そのことは(投票の際に)技術的な部分から説明した」とピレリの自動車レース責任者であるマリオ・イゾラは語った。

「昨年、主な不満はブリスタリングだったが、後半戦になるとマシンの改善によってシーズン終盤に向けてさらにその問題が悪化した。オーバーヒートはドライバーたちにとってホットな話題であり、われわれは今年、彼らの要求に沿って開発し、今はオーバーヒートの少ないタイヤとなっている」

「ポールリカールで起こったブリスターは危険なものではなかったが、現在のマシンは非常に速く、タイヤを通じてかなりのエネルギーをかけていることを私たちに教えるものだった。仮に昨年のタイヤに戻せば、もっと多くのブリスターやオーバーヒートが起き、ドライバーはアタックもプッシュもできずにショーはさらに悪化するだろう! それが私の認識だ」

「それから、われわれはこの変更がチーム間のパフォーマンスバランスに変化をもたらすことができるのかを話し合うことができる。それについては意見があるが、テクニカルな要素としてはオーバーヒートとブリスターの増加につながる」

もう一つの問題は、2018年のタイヤが2019年のマシンでテストされたことがないという点だ。したがって、ピレリは安全性の見地から、サインする前にこの変化をテストする必要がある。実際の提案は2019年のコンパウンドをより厚いトレッドと共に使用するというものであり、本質的には完全に新しいハイブリッドタイヤを創出するものだ。

さらに言えば、スポーティングレギュレーションはピレリがタイヤを製造し、世界中にそれを輸送するための特定のリードタイムを設けており、変更がすぐに導入されるとは限らない。マシン1台あたり13セットのドライタイヤ(さらにスペアも)を輸送するために、各レースのタイヤ選択は欧州のレースの場合は8週間、フライアウェイ戦の場合は14週間前に発表されることになっている。

結果、2018年式のタイヤが最短でデビューするとして、今週にオーストリアでテストしてもイタリアGPになる上、続くシンガポールGPとロシアGPがフライアウェイ戦であるため、これら2レースには2019年仕様のタイヤが使われることになる。再び2018年スタイルのタイヤが使用できるようになる頃には、チャンピオンシップが決している可能性もあるのだ。

話し合われている一つの妥協案がピレリの2020年用開発タイヤをUS GP以降で使用するというものだが、それにはプロトタイプのタイヤは金曜フリー走行でしか使用できないとするスポーティングレギュレーションを変更する必要がある。

「レギュレーションでは全てのイベントに2セットのプロトタイプタイヤを追加で持ち込むことが可能だが、FP2(金曜フリー走行2回目)のあとにプロトタイプは返却しなければならない。したがって、基本的に彼らはそういったタイヤを、路面をクリーンにするために使う。レースや予選で使わないのだから、それらのタイヤにつて理解することに何のインセンティブもないからだ」

「そういったタイヤを予選やレースで使用するにはスポーティングレギュレーションの修正が必要で、そうするには満場一致の合意が必要だ。それを実行するのはどうやったら可能だろうか? やること自体は可能だが、ドラフトのレギュレーションを記述するための表現が必要なのでアイデアをより詳しく定義しなければならず、それをチームに提出して承認をとらなければならない。そして、何かしたいのなら、それを非常に迅速にやらなければならないのだ」

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