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SF90のコンセプトを見直すフェラーリ

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2019年6月1日 « ハミルトンの戦略についてメルセデスが説明 | フェラーリがついにeスポーツ選手権に参戦 »
© Michael Regan/Getty Images
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2016年以来の低調なシーズンスタートを切ってしまったフェラーリが、今年のマシンからより多くのパフォーマンスを引き出そうと新しい空力コンセプトを模索している。

フェラーリはすでにコンストラクターズ選手権でメルセデスに118ポイントの差をつけられてしまっており、レース勝利は昨年のUS GP以来ない。今年のバーレーンとバクーでは勝てるポテンシャルを見せたものの、信頼性のトラブルやドライバーのエラーにより、目標を達成できなかった。

ここまで、2019年のベストリザルトはセバスチャン・ベッテルのモナコの2位だ。

彼らの苦戦ぶりにとどめを刺したのは、スペインGP予選でベッテルがメルセデスのバルテリ・ボッタスに0.8秒の大差をつけられてしまったことだった。ほんの4カ月前のプレシーズンテストでは同じサーキットで最強チームとうたわれたフェラーリだったが、4位と5位という結果に終わったことでSF90がいかに大きく遅れてしまったかが鮮明になってしまった。

パフォーマンスの欠如は1つの要因によるものではない。だが、問題の根本はどうやらタイヤの使い方にあるようだ。今年のピレリタイヤはトレッドの厚さが変更されており、それによりマネジメントの仕方を変えなければならなくなった。フェラーリはまだこれに適応している最中なのだとマッティア・ビノット代表は言う。

「今シーズンのタイヤは昨年のものとは大きく違う」と彼は述べた。「(ピレリを)非難しているのではない、単なる事実だ。一番の違いは、昨年はタイヤの温めがとてもうまくいっていたので、機能する状態を維持するため、タイヤを冷やすことに集中していた点だ。温度を抑えれば抑えるほど、良いグリップを得ることができた」

「今シーズンのタイヤはこの点で全く異なる。ウオームアップが以前よりずっと難しくなり、タイヤ自体からベストなグリップを得るためのウインドー――ターゲット温度――に入れるためにはタイヤを熱しなければならない。つまりクールダウンさせるのではなく、ヒートアップさせなければならないということだ」

「どのようにしてそれを達成するか? もちろんブレーキ温度、リムのクーリングによって達成できるが、総合的にはダウンフォースだ。それは間違いない。ダウンフォースが絶対的なのは確かだが、同時に高速時と低速時のバランスをどう取るかも重要だ。さらに言えば、空力開発の効率とダウンフォース自体の最大値の対比だと言ってもいい」

フェラーリの2019年型マシンは空力効率に非常に優れている。簡単に言うと、マシンの空力というのは常にダウンフォースとドラッグのトレードオフに基づいている。ダウンフォースを増やせばコーナーで有利になり、ドラッグを減らせばストレートで有利になるが、理想的にはコーナーで押しつける効率的なダウンフォースを得ながら、ストレートでのドラッグは最小限にしたいものだ。

今年のフェラーリはストレートと高速コーナーでは速いが、低速コーナーに壊滅的な弱点がある。これは、タイヤを正しい作動ウインドーに保っておく負荷を十分にかけられないためだとチームは考えており、全体的なダウンフォースが根本的に足りないのだと捉えている。その弱点を克服するため、たとえドラッグが増えようとも、チームは絶対的ダウンフォースを増やす新コンセプトを考えているとビノットは言う。

「われわれのマシンはとても効率的だ。ストレートを見れば分かる」と彼は付け加えた。「しかし、だからといってこのマシンがピットレーンで最大のダウンフォースを持っているということではない。今こそ自分たちに問いかける時だ。最終的なパフォーマンスを達成するために目標を切り替えるべきか否か。最大ダウンフォースと効率性、どちらを取る? もちろん、タイヤの働きや何を必要としているかにもよる。つまりは空力そのものとの相互作用ということだよ。コーナーでどう空力バランスを取るかの問題なのだから、もちろんサスペンションもそうだ。最終的にはフルパッケージということになる」

フェラーリの空力はフロントウイングをはじめとして、メルセデスとは見るからに違う。彼らのフロントウイングデザインについてはさまざまな議論を呼んでいる。フェラーリのものはエンドプレートに向かって下がっていく形状をしているのに対し、メルセデスの方はエンドプレートまでエレメントが大きく広がるタイプだ。

フロントウイングはそれより後ろのエアフローを決定づけるものであり、F1マシンの空力哲学における鍵といえる部分だ。しかし、ビノットはフェラーリのコンセプトに欠陥があるとは考えていない。

「フロントウイングを変える必要性は感じていない」と彼は述べた。「確かにメルセデスとは違うコンセプトだが、だからといってわれわれが現時点でそのコンセプトの最大限を達成しているわけではない。ウイングコンセプトの変更は考えていない」

「メルセデスのタイプはプロジェクトのスタート時に検討した。どちらの方向に開発するかを決めるため、スタートの段階で比較したということだ。もちろん、シーズンを通して常に自分の選択をダブルチェックするものだし、それが今も正しい選択だったのかを確認している。だが今すぐに変更することは考えていない」

鍵となるレースはフランス

次のカナダのロングストレートはフェラーリのコンセプトに合っているかもしれないが、低速セクションとモントリオールのスムーズな路面はタイヤ温度を上げる必要がある彼らの助けにはならないかもしれない。しかし、ビノットはフェラーリの空力開発の進化が本当に試されるのはフランスGPだと考えている。

「ポール・リカールはサーキットとしてバルセロナにとてもよく似ている」と彼は述べた。「われわれが非常に得意とするコースではないが、今からならまだ少し時間がある。ゆくゆくは改善したい。マシン全体とコンセプトを改善するにはしばらく時間がかかるだろう。新しい空力コンセプトを見つけるとなると数週間はかかるかもしれない。だが、その間にわれわれがすべきことは今あるパッケージを最適化することであり、その余地はまだある」

「シーズン最初の5レースを見ると、われわれが強かった場所もあった。残りのレースでもパッケージの強さを生かし、さらに開発することも可能だろう。1日ごと、レースごとに戦っていく。そして結果を待つのみだ」

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