News

  • ル・マン24時間

アウディ、第80回のル・マンを制す

M.S.
2012年6月18日 « カナダで強盗に遭ったザウバー | 2勝でのタイトル獲得もあり得るとウィットマーシュ »
勝利を飾ったアウディチーム © Getty Images
拡大

17日(日)、ディフェンディングチャンピオンのマルセル・ファスラー、アンドレ・ロッテラー、ブノワ・トレルイエがドライビングミスを乗り越えてル・マン24時間に勝利し、アウディに11回目のタイトルをもたらした。アウディはル・マン勝利数で2位に入っており、1位のポルシェとは5勝差。メインライバルのトヨタは5時間目にはレースをリードしていたものの、2台ともリタイアに終わっている。

カーナンバー1のアウディで24時間の間に378周を走った3人組は、リナルド・カペッロ、トム・クリステンセン、アラン・マクニッシュが駆ったアウディの2号車に1周差をつけている。

「僕らは去年よりもさらに準備が整っていた。勝てるとは分かっていたんだ。でも、再びそれが達成できたのは本当にすごいことだ」とトレルイエは語った。

3周遅れで続いたのはマルコ・ボナノミ、オリバー・ジャービス、マイク・ロッケンフェラーのアウディ4号車。ニコラ・プロストがドライブしたローラ12号車が4位に入り、ロイ・デュバルがステアリングを握ったカーナンバー3のアウディに1周の差をつけた。

上位2台のアウディのポジションは、14時間目に1号車を駆っていたファスラーがポルシェ・カーブでスピンを喫し、マクニッシュに先行されたために一時入れ替わっている。マシンはウオールに接触したものの、軽いダメージにとどまった。

疲労とアグレッシブな戦略が組み合わさって、大きな犠牲となりかねないミスをアウディの2台に誘発。ファスラーは開始から18時間でグラベルに飛び出し、リアボディワークの交換を強いられている。その後、21時間経過時にピットレーン入り口で1号車のトレルイエがスピンした。22時間目にはリードしていたマクニッシュがポルシェカーブでクラッシュを喫し、カーナンバー2のアウディのノーズにダメージを負う。これで3回目のセーフティカーが導入された。

一方でトヨタにはアウディほどのツキがなかった。5時間過ぎに81号車のフェラーリがアンソニー・デビッドソンが乗車中のトヨタ8号車に接触。マシンは宙に浮いた後にバリアに突っ込み、1回目のセーフティカー出動につながった。レースはミュルザンヌ・コーナーの路面の清掃と破片の撤去で75分間中断されている。

デビッドソンは脊椎骨(せきついこつ)を2本骨折したものの、状態は安定しているとのこと。

「どでかいクラッシュだったね! 背中を骨折してフランスの病院でおとなしくしているところ。レースの途中でこんなことになるなんて思いもしなかった・・・」とデビッドソンは『Twitter(ツイッター)』でツイートしている。

セーフティカーが出る前にはトヨタ7号車のニコラス・ラピエールがスタートからリードを保っていたトレルイエのアウディ1号車をパス。しかし、カーナンバー1のアウディはセーフティカー出動中にピットストップを生かしてリードを取り戻した。

「僕らはいいペースできていて、ル・マン24時間でリードしたことはこのプロジェクトの始まりからチームがしてきた仕事を示していると思う。このレースで得た経験を最大に活用できるようプッシュし続けていく」とラピエールは話した。

トヨタの残る1台はレース再開後にダメージを受けた。中嶋一貴のトヨタ7号車が、7時間目に前を行く日産デルタウイングと接触。クルーはリアに損傷を負った7号車の修理に長時間を費やすも、11時間目についにタオルを投げた。

「レースを早い段階で終えて本当に落胆しています。僕らの夢はチェッカーフラッグを見ることでした」と中嶋はコメント。

アウディも5時間目にロマン・デュマの3号車がフォルツァ・シケインでワイドになり、タイヤバリアに接触するという脅威にさらされたが、デュマは自力でピットまでマシンを戻している。アウディはル・マンにディーゼルの2台(3号車、4号車)とディーゼル・ハイブリットの2台(1号車、2号車)を送り込んでいた。

ハイブリットのテクノロジーを用いたマシンがル・マンで勝利するのはこれが初めて。アウディ・スポーツをたばねるウォルフガング・ウルリッヒは「われわれはディーゼル・ハイブリットでの初めての勝利を挙げた。未来の道を切り開くものであり、とても特別だと考えている」と言う。

ハイブリットテクノロジーはブレーキ時に生じるエネルギーを蓄え、コーナー出口の加速でそれを解放するKERS(運動エネルギー回生システム)から成る。

アウディはローリングスタートを生かしてトップ3を独占。マクニッシュがステアリングを握る2号車が、ステファン・サラザンのトヨタ8号車をオープニングラップでかわしている。しかし、2位に入った3号車はパンクに見舞われ、2号車にはリアサスペンションに問題が生じたために2台ともピットに向かい、トヨタにポジションを奪われていた。

今回の勝利により、アウディは過去9回のル・マン24時間中、8回目の勝利をつかんでいる。アウディの連勝をさえぎったのは2009年のプジョーのみだ。トヨタは最後に参戦して以来13年ぶりの復活だった。トヨタがテストを始めたのは1月に入ってからのことだったが、迅速な発展によりル・マンではアウディのメインライバルとなっていた。

トヨタチームの代表である木下美明氏は「モータースポーツはジェットコースターのように感情の浮き沈みが激しいものになることがあり、ニコラスがル・マンでリードするという喜びを味わったと思えば、アンソニーのアクシデントにショックを受けました。彼が無事で本当に安心しました」と述べた。

336周を走って全体の17位でフィニッシュしたジャンカルロ・フィジケラ、ジャンマリア・ブルーニ、トニ・ビランダーのフェラーリ51号車がGTEクラスで優勝。3周遅れでドミニク・ファーンバッハー、フレデリク・マコビィエツキ、ハイメ・メロのフェラーリ59号車が続いている。

80回目のル・マン24時間には計56台が参戦したものの、完走できたのは35台だった。

© ESPN Sports Media Ltd.