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  • 「持ちこみ資金がカギ」

ビタントニオ・リウッツィQ&A

Kay Tanaka
2012年2月1日

『ESPNF1』の独占インタビューに応じたビタントニオ・リウッツィが、2012年シーズンにHRTでドライブする可能性や、才能よりも持ち込み資金が物を言うF1の現状について語った。

今のところ2012年はHRTから参戦する予定 © Sutton Images
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Q: 今シーズンに向けた展望を教えてください。

ビタントニオ・リウッツィ: 1年が終わる時期になると、誰だって新しいシーズンをスタートしてマシンに飛び乗ることを心待ちにするもの。でも、現時点ではマシンが予定通りに完成するのか分からないし、今はいろいろと不確定な状況だから、本当に難しいところなんだ。

Q: 新シーズンにおけるHRTの状況と、チーム内におけるあなたの立場についてハッキリと言えることはありますか?

リウッツィ: いつも言っているし、みんなもすでに分かっていると思うけど、僕には契約がある。チームだって、僕と契約を結んでいることを確定させている。昨年、僕はチームと長期契約を結んだ。ローマは一日にしてならず、だからね。カラバンテ親子(前チームオーナー)とはゼロから始めたんだけど、彼らはテサン・キャピタル(現チームオーナー)とは異なった考えを持っていた。テサン・キャピタルはスペイン色の強いチーム作りと異なった関与を求めていたんだ。状況は変わったけど、僕は今でもこのチームと長期の複数年契約を結んでいる。今のところ、チームは僕に対して明確だよ。資金面では難しい状態にあるから、僕を契約どおりに走らせるために彼らはスポンサー探しに一生懸命なんだ。でも、もし難しい状況に陥れば、資金を持ち込めるドライバーを探さなければならないかもしれないね。

Q: 2012年型マシンの開発に際し、今シーズンもドライブすることを念頭に置いてチームと作業しているのでしょうか?

リウッツィ: ああ、もちろんさ。今でも開発に携わっているけど、2012年のマシン開発はほとんどが昨年に行われたもので、年が明けてからはいかにプロジェクトをシェイプアップできるかって話だからね。昨年の開発における最優先の仕事は1回目のテストにマシンを間に合わせるということ。すべてのクラッシュテストに合格し、昨年の開幕戦オーストラリアGPで経験したような困難に陥らないってことさ。

Q: スタッフたちには、ヘレスで行われる第1回プレシーズンテストに間に合わせる自信があるのでしょうか?

リウッツィ: 第2回テストには100%の確率で間に合わせられるだろうね。1回目のテストに持ち込むのはタイトなスケジュールだけど、これは誰にとっても一緒。僕としては1回目のテストまでにすべてをまとめられると自信を持っている。まあ、どんなことだって起こり得るけどね。

Q: 昨年のマシンから引き継ぐ部分を最小限とした、ほぼ完全な新車になりそうですか?

リウッツィ: 僕の考えでは、昨年のマシンから引き継ぐものはまったくないと思う。新しいタブ(モノコック)やギアボックスといったすべてのものを新しくするのにはハードワークが必要だね。マシンがどうなるのか楽しみにしているよ。

「才能とスキルを持ちこむことで、結果を残したい」 © Getty Images
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Q: あなた自身のF1での活動はまだ完成されていないと感じていますか?

リウッツィ: もちろん。でも、本当に現実的に考えているんだ。僕はチームにたくさんのことを与えられるドライバーだけど、残念ながら今の時点で大切なのはスキルや履歴書じゃなく、資金なんだよ。F1に参戦しているチームのうち60%から70%は、何らかの多額資金を持ち込めるドライバーたちが関係している。もちろん、全世界的に難しい状況になっているから誰にとっても楽じゃないけど、僕も費やす資金やスポンサーを十分に持ち合わせていないんだ。だから、結果を残すために僕は才能とスキルを持ち込むだけさ。残念ながら今の時点でチームは資金を求めているし、結果にはあまり気を使っていられないんだけどね。

Q: これはチームの短絡的な部分だと思いますか?

リウッツィ: 今はそうなっていると思うけど、いずれ変わるだろう。というのも、今のドライバーたちはF1以前に参戦していたレースで勝ったことがないから十分なキャリアを持っていない。大きなスポンサーを抱えることができればF1ドライバーになれるというのは僕の考え方じゃないんだ。そういう風に考えない人だっているだろうけど、F1はモータースポーツの頂点であって、ドライバーたちは小さい時からキャリアを通して必死に才能を磨いてきた人たちだ。単に資金をたくさん有している人ってわけじゃないんだよ。そうなってしまっていることは残念だけど、今はそれを受け入れて別のチャンスを期待する。

Q: 昨年はフォース・インディアとの契約を有していたもののシートを失い、今年もHRTで同じような状況になっていますね。F1に幻滅しているのではありませんか?

リウッツィ: 確かにフォース・インディアと僕は(2011年も)契約を結んでいたし、そのことについては今でも話し合っている。でも、資金を持ち込んでシートを買えるドライバーが必要だってことなんだ。誰だって持っている資金を生かせばいいわけだし、チームオーナーたちも彼らの望むようなやり方で彼らのオモチャ(F1チーム)を転がすわけだ。これが仕事なんだから、理解するよう努めなきゃ。そういうことをしないで結果を残そうとしているチームはそう多くない。今の時点ではメルセデスやフェラーリ、そして独立系チームのいくつかだけが投資とビジネスを行っているんだろう。だから、資金持ち込みがカギになるんだ。

Q: フォース・インディアの話に戻りますが、契約問題はまだ落ち着いていないのですか?

リウッツィ: 合意に至るまで長らく話し合っていたし、その後は収束に向けて話し合っているところだ。まだ終わっていないけど、すべて問題ない。すぐに解決すると確信している。

2007年限りでトロ・ロッソを離れたリウッツィ © Sutton Images
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Q: レッドブルはセバスチャン・ベッテルをF1界のトップに押し上げましたが、あなたもレッドブルの育成ドライバーでした。若手ドライバーをプロモーションするという点で、レッドブルとトロ・ロッソは適切な考えを持っていたと思いますか?

リウッツィ: 適切な考え? それは状況によるね。レッドブルはこれまで50人から60人もの若手ドライバーを育ててきたけど、(ハイメ)アルグエルスアリや(セバスチャン)ブエミ、僕や(スコット)スピードのような例もある。だけど、ここでも資金が物を言うんだ。世界最高のチームを作るためにはいい若手支援機関を作らなきゃいけない。それが最も簡単なやり方なんだろうけど、そのやり方を僕が判断することはできない。ドライバーのキャリアを作ることができるわけだから、たくさんのドライバーの中から選ぶことができるというのは楽だろうね。ただ、彼らがどのドライバーを選ぶかによるだろう。

Q: かつてレッドブルやトロ・ロッソで過ごした時間には満足していますか?

リウッツィ: 何の後悔もしていない。(レッドブル会長のディートリッヒ)マテシッツさんや(ヘルムート)マルコさんに助けてもらってF1まで到達できたんだから感謝している。僕のキャリア初期から支援してくれた彼らに僕は結果でお返しした。いつも言っているけど、事態が変わっていったのはゲルハルト(ベルガー)がチームに加わったあたりからだ。僕とスコット・スピードは適切なチームにいたけどタイミングが違っていた。速さの問題ではなく、大量の資金が関係した政治的なビジネス問題だったんだ。でも、後悔はしていないし、ただ機会を与えてくれたことについてマテシッツさんとマルコさんに感謝している。

Q: 現在の話に戻しましょう。今後数カ月の間に行われるi1スーパーシリーズでレースをすることが決まりましたね。ドライブすることを決めた理由について教えてください。

リウッツィ: 自分自身でその選手権に出ることを決めたんだ。今週から始まる予定だったけど、準備のために延期されることになった。1月、2月、3月という期間はやることがあまり多くないからね。このプロジェクトに参加できるのはいいことだし、いいドライバーたちを相手に戦えるんだ。でも、常に優先するのはF1で、テストだろうとなんだろうとそうだから、クラッシュはしないようにするよ。でも(i1)シリーズは始まろうとしているし、興味深い挑戦だと思う。

Q: あなたはこれまで、カート、F3、国際F3000、そしてF1とすべてのシングルシーターで成功を収めてきましたが、異なったモータースポーツ分野にシフトすることは考えていますか?

リウッツィ: もちろん。僕はいつだってさまざまなカテゴリーでの挑戦を望んでいるんだ。ツーリングカーだろうが、耐久レースだろうが、カートだろうがね。ドライバーというものは、何にだって対応して才能を発揮しなきゃいけないんだ。それが例えラリーカーであったとしてもね(笑)。将来的にはF1以外の道に進むだろうけど、僕としては挑戦が好きだから別のレースも考えるつもりだ。これまでにV8スーパーカーやスピードカーを経験したけど、競争力を発揮することができている。天候が大きな問題になるとは思わないけど、今はF1に集中しているよ。

Q: つまり、今シーズンはレースでドライブするかどうかにかかわらず、HRTに所属するあなたにパドックで会うことができるという意味ですね?

リウッツィ: そうだろうね。でも、明確な決定がなされるか、別のドライバーが多額の資金を持ち込めるかどうかによる。まだ分からないけど、僕たちはすべてのことに対して開かれた状態さ。

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