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  • BMWザウバーの2009年レビュー

KERSに翻ろうされたシーズン

Kay Tanaka
2009年12月28日 « 未勝利のまま撤退を決断 | メルセデスGP、ドイツで新車発表会開催へ »
F1活動に幕を下ろしたBMW © Sutton Images
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2008年に待望の初勝利を達成したBMWザウバーにとって、2009年は思いどおりに事が運ばないシーズンとなった。

フェラーリやマクラーレン同様、2008年シーズン終盤まで2008年型マシンの開発を行っていたBMWザウバーは、当然ながら2009年型マシンの開発開始に遅延が生じる。それに加えて、フェラーリやマクラーレンと同じくKERS(運動エネルギー回生システム)開発を重要課題としてとらえていたため、膨大な資金と時間をKERS開発に注いでいた。

案の定、BMWザウバーは開幕から難しい戦いを強いられる。なんと言ってもKERSの重量と搭載位置によって適切な重量配分を実現できず、それがタイヤマネジメントにも影響するという悪循環。第2戦マレーシアGPで運良くニック・ハイドフェルドが2位に入ったが、ロバート・クビサは開幕から6戦連続でノーポイントだった。

その後も苦悩するチームは、早々に開発パーツを投入。スペインGPからはノーズ周りに改良を加え、結局はKERSを外して戦うという判断まで下す。しかし、すぐには結果が出るわけでもなく、前半10戦で入賞を果たせたのはわずか3戦だった。

そんな中、7月29日にBMWが2009年シーズンいっぱいでのF1活動終了を正式発表。2008年に勝利を手にしたチームがわずか1年後に撤退を決めるとは予想されておらず、その衝撃は計り知れないものだった。BMWザウバー以外のチームがFIAや商業権保有者と2012年末までの参戦を確定するコンコルド協定にサインしていたこともあり、一時はチームの消滅がうわさされていたが、その後『Qadbak(カドバック)』という中東メインの投資会社への売却が発表される。

2010年に向けたマシン開発を中断したBMWザウバーは、2009年の戦いで次々と新開発パーツを投入。それが実って第11戦以降は8戦連続でポイントを獲得している。ベルギーGPでは4位と5位に入り、ブラジルGPではクビサが2位でフィニッシュして表彰台に上った。やはり、前年にタイトル争いに絡んだチームだけあって高い開発力を見せつけている。

カドバックへの売却が決まっていたものの、その正体に浮かんだ疑問符が消えず、BMWは結局、前オーナーであるペーター・ザウバーに売却することを決断。10年以上もチームを支えた『Petronas(ペトロナス)』をはじめ、主要スポンサーの離脱が気にはなるが、2010年F1世界選手権に正式にエントリーすることが決定した。

そして12月中旬になって、チームは小林可夢偉をレースドライバーとして起用することを発表。うわさでは複数年契約と言われており、2009年終盤の2戦で可夢偉が見せたパフォーマンスを、ザウバーがしっかりと認めていたことが契約につながった。

2000年にウィリアムズへのエンジン供給という形でF1活動を再開したBMWは、2006年からワークスチームを運営。3年目で勝利を挙げてタイトルに挑戦した実績は素晴らしいものだったと言えよう。世界的な経済危機によってF1撤退という判断をしたBMWのF1挑戦は、静かに幕が下ろされた。

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