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F1用語集

ESPN Staff

【2016年3月28日 最終更新】

世界最高峰のモータースポーツ、それがF1 © Getty Images
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BRDC:ブリティッシュ・レーシング・ドライバーズ・クラブの略。1928年にル・マンにベントレー・チームから参戦していたベンジャフィールトが設立。現在は900名近い会員が所属し、主にイギリスGPの開催に携わる。3度のF1ワールドライバーチャンピオンに輝いたジャッキー・スチュワートに引き継いで2011年8月まで1996年のF1チャンピオン、デイモン・ヒルが会長を務めた。その後、デレク・ワーウィックが後任として選出されている。2015年8月には2輪界の活躍によって初めて、アレキサンダー・ロッシが名誉会員になったことが発表された。

CVC:2006年からF1の株式を所有するプライベート・エクイティ・ファンド。ルクセンブルクを拠点とし、正式名称を『CVC Capital Partners(CVCキャピタル・パートナーズ)』という。F1の商業権を保有する。

DNF: did not finishの略。完走できず、リタイアを喫した場合の表記に使用される。

DRS: Drag Reduction System(ドラッグ・リダクション・システム)の略称、可変リアウイングとも。リアウイングのフラップをドライバー操作による電子制御で開閉可能にし、直線でフラップを開くことによって空気抵抗を低減させ、加速するシステム。オーバーテイク増加を狙って2011年から導入された。各サーキットによって1カ所から2カ所の使用可能区間(DRSゾーン)が定められている。

導入当初は決勝レースのみ使用区間が制限されていたが、2013年に先立つルール変更で全セッションにわたってDRSゾーンでしか使えないことになった。決勝では2周が終わった時点から使用が許可され、計測地点で前を走るドライバーとの差が1秒以内になった際に起動させることができる。

ECU: Electronic Control Unitの略、電子制御装置。エンジンやギアボックスの制動からテレメトリーに至るまで、マシンの電子的コントロールを司る装置。コスト削減と違法なドライバーアシストの取り締まりを目的に、2008年から標準電子制御装置(Standard Electronic Control Unit/SECU)が導入された。導入から現在まで、マクラーレン・エレクトリック・システムズ(MES)とマイクロソフトが共同開発したSECUが採用されている。

ERS: 正式名はEnergy Recovery System(エネルギー回生システム)。エンジンレギュレーションが大幅に変更された2014年から導入されたシステムで、減速時に発生する運動エネルギーと排気熱のエネルギーを加速時に利用するもの。運動エネルギーの回生装置はMGU-K(モーター・ジェネレーター・ユニット・キネティック)、熱エネルギーの回生装置はMGU-H(モーター・ジェネレーター・ユニット・ヒート)と呼ばれる。MGU-Kは回生量が1周あたり2MJ、放出量が4MJと定められており、最高出力の120kWで使用した場合のアシスト時間は1周あたり約33.3秒にあたる。MGU-Hの回生量には制限がない。

F1: 正式名称をFormula One(フォーミュラ・ワン)と言い、国際自動車連盟(FIA)によって制定された自動車レースの規格(Formula)。この規格においてFormula1の規定で行われる自動車レースをF1グランプリと呼ぶ。グランプリは毎年3月から11月頃に世界各国を転戦して開催される。グランプリ数は年により異なるが、F1の商業部門を担うバーニー・エクレストンは年間20戦の開催を目指している。第1回のF1世界選手権は1950年5月13日、イギリスのシルバーストーンで開催された。F1の人気はとどまるところを知らず、世界中のスポーツイベントの中で、オリンピック、FIFAワールドカップに並ぶ規模のTV観戦者がいると言われており、世界3大スポーツのひとつとして知られている。日本では主に富士スピードウェイや鈴鹿サーキットでF1グランプリが行われ、2007年と2008年は富士スピードウェイ、2009年以降は鈴鹿サーキットが日本GPの開催地となっている。F1は世界中で最も有名なモータースポーツであり、その影響力は計り知れない。F1で活躍すれば、それはすぐさま世界中に知れ渡る。ドライバーは世界中から注目されるようになり、生活が一変するとも言われている。自動車メーカーにとっては自動車の販売戦略にも大きな影響を与えるという。F1はドライバーやチームの争いでもあると同時に、その知名度や注目の高さからスポンサー企業の戦いでもある。

F1委員会: F1コミッションとも。全チームと商業権保有者、FIA、一部のサーキットプロモーター、スポンサー、サプライヤーによって構成され、ストラテジーグループから提示されたレギュレーション変更案の採否を検討する。F1委員会が合意に至った内容は最終的に世界モータースポーツ評議会で採択される。

FIA: 正式名をFederation Internationale de'l Automobile、和名を国際自動車連盟と言う。FIAはF1や世界中の車のルールを統括する団体。本部はフランスのパリにある。会長の任期は4年で、FIA総会の投票により選出される。2009年にマックス・モズレーが退任し、ジャン・トッドが新会長に就任した。世界各国の自動車連盟や自動車クラブが加盟。日本のJAFもその一員である。また、F1をはじめとする世界中のモータースポーツを管理、統括している。

FOA: 正式名Formula One Administration(フォーミュラ・ワン・アドミニストレーション)の略。バーニー・エクレストンが率い、F1の利権を取り仕切る。

FOM: 正式名Formula One Management(フォーミュラ・ワン・マネージメント)の略。F1カレンダーの調整や主催者団体との交渉などF1のマネジメントを行う。バーニー・エクレストンが会長。

FOTA: 正式名Formula One Teams Association(フォーミュラ・ワン・チームズ・アソシエーション)の略。F1に参戦するチームから成る組織でF1の発展を目的に、FIAおよびFOMと協力の下、レギュレーションや商業契約に関して話し合いを行っていたが、2014年に解散した。当初はフェラーリ社長のルカ・ディ・モンテゼモーロが会長を務めて、2009年末にマクラーレンのマーティン・ウィットマーシュがその後任に立つ。発足当時は全チームが加盟していたものの、2010年をもってHRTが脱退。2011年12月には予算削減対策であるリソース制限協定(RRA)の問題をめぐってレッドブルとフェラーリが組織を離れ、後にザウバーも連盟から退いた。2014年には前年の成績不振を受けてウイットマーシュがマクラーレン代表職を解かれ、FOTAは会長不在でほぼ機能を果たせない状態に。組織は崩壊寸前と報じられる中、2014年2月末に総務のオリバー・ワインガーデンが解散を報告した。

G: 重力加速度の単位。モータースポーツではマシンが加速する際に体が後ろに引っ張られるような重力や、減速する際に前に引っ張られるような重力を"タテG"、コーナーを曲がる時に横向きにかかる重力を"ヨコG"と言う。F1になるとレース中、ドライバーには3Gから5G(自体重の3倍から5倍)の力がかかっている。

GPDA: 正式名Grand Prix Drivers' Association(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の略。F1ドライバーから成る組織でオフィスをモナコに構える。1961年にドライバーの安全性向上を目的に設立された。1980年代から1990年代初めまで活動を停止するも、1994年シーズンに事故が多発、死亡者やケガ人が相次いだことから活動を再開する。近年はルーベンス・バリチェロ、ペドロ・デ・ラ・ロサらが会長に任じられ、現会長は2014年に就任したアレキサンダー・ブルツ。ジェンソン・バトンとセバスチャン・ベッテルが役員を務めている。2015年5月にはより良いF1を目指すべく世界中のファンの意見を求めるアンケートを実施した。

HANS: Head And Neck Support(ヘッド・アンド・ネック・サポート)の略。頭部及び頚部保護のために2003年から着用が義務づけられた。ドライバーがヘルメットから肩にかけて装着しているもの。カーボンファイバー製で、HANSの上からシートベルトを締める。HANSの導入により、クラッシュの際にドライバーの首が前方に伸びて頭を打ち付ける危険性が減少。

ICE: Internal Combustion Engineの略、内燃機関。いわゆるエンジンと呼ばれる部分でパワーユニットの中核をなす。現在使用されているのは排気量1,600cc、最高回転数1万5,000RPMのV6ターボエンジンで、燃料の最大流量は毎時100kgと規定されている。

KERS: 正式名はKinetic Energy Recovery System(運動エネルギー回生システム)。FIAが環境にやさしい技術の導入を狙って2009年シーズンに採用した。KERSはブレーキング時の運動エネルギーを回収し、そのエネルギーを加速時に利用するシステムである。多くのチームがその開発に力を注いだものの、搭載が義務付けられていなかったことから実際に使用したのは数チームのみだった。翌シーズンはチーム間でKERSを使用しないとの紳士協定が結ばれたため同デバイスを使う陣営はいなかったが、2011年シーズンに先だってこの取り決めが撤廃され、KERSの復活が実現している。2014年のエンジンルール改訂に伴って運動エネルギーだけではなく熱エネルギーも回生するERS(Energy Recovery System/エネルギー回生システム)が導入された。

S字: その名の通りSの形をしたコーナーのこと。左・右・左といったように連続して左右に曲がるテクニカルなコーナーで、ドライバーのテクニックが分かりやすい場所。ドライバーの技術が試される難しいコーナーで、リズムを崩してしまうと、高速で走り抜けるのが難しくなる。

107%ルール: 安全性の見地から、予選において最速タイムから107%以内の記録を残せなかったドライバーを予選落ちとするルール。1996年に初めて導入され、2002年末をもって一度廃止された。その後、2010年に3チームが新規参戦して上位と下位のタイム差が大きくなったことを受け、2011年からこのルールが復活。2011年以降は予選Q1のトップから107%以内のタイムに収めることが決勝進出の条件となっている。ただし、目標のタイムを出せなくてもスチュワードがフリー走行等の記録を元に問題なしと判断した場合は、レース参加の許可が降りる。

アウトラップ: ピットから出てきた周のこと。反対にピットに入る周をインラップと言う。

青旗/ブルーフラッグ: 後方から速いマシンが近づいていることを知らせる。主に周回遅れのマシンに対して出される場合が多い。青旗を出されたマシンは後方にいる速いマシンに道を譲らなければならない。しばらくしても譲らない場合はペナルティの対象となる。

赤旗/レッドフラッグ: レース主催者がレースの続行を危険と判断した場合に出される。セッションは一時中断、ドライバーは徐行しながらピットに戻らなければならない。

アンダーカット: 先行するターゲットより早いタイミングでピットストップを行って、フレッシュなタイヤでペースを上げ、相手がピット作業を行った時点で前に出る作戦。ソフト側のタイヤに切り替える時などタイヤを機能させやすい場合や、クリーンな場所に出てペースアップが期待できる場合に選択される。ピットストップで順位を入れ替える戦略としては、タイヤを機能させるまでに時間がかかる場合に相手よりピットインを遅らせる"オーバーカット"がある。

アンダーステア: 実際にハンドルを切ったよりもマシンが曲がらない状態。オーバースピードやハンドルの切り過ぎなど、さまざまな要素がからんで発生する。逆の状態をオーバーステアと言う。

アンチストールシステム: エンジンの停止を防ぐもの。スピンを喫した際など、エンジンがストール(停止)しないよう、クラッチを切ることでエンジンの回転数を維持してくれるシステム。

アンチロックブレーキシステム: 急ブレーキなどでタイヤがロックして滑ることを防ぐ。車の操縦安定性を保つシステム。

インストレーションラップ: その日初めてコースを走る際に、クルマのバランス、ブレーキ等すべての状態をチェックするための走行。各フリー走行セッションの作業開始時に多く見られる。

インターミディエイトタイヤ: スタンダードウエットタイヤを言う。雨天時に装着するタイヤ。大雨時に履くタイヤはウエットタイヤと呼ばれる。

インダクションポッド/エアボックス: コックピット上方、ドライバーの頭上付近にある空気の吸入口。走行風の高圧をエンジンに送り込むことでエンジン出力の向上を狙うもの。

インフィールド: コースレイアウトの内側を意味する。米インディアナポリス・モーター・スピードウェイのF1レース用にオーバルコースの内側につくられた区間をインフィールド(セクション)と言う。

インラップ: ピットに入る周のこと。反対にピットから出てきた周をアウトラップと言う。

ウイニングラン: チェッカーを受けた優勝ドライバーが1周してパルクフェルメに戻ってくるまでのラップのこと。

ウイング: 走行中に前方から受ける空気を利用してダウンフォースを生み出し、マシンを路面に押し付けるための重要な空力パーツ。モナコやハンガロリンクといった低速サーキットではダウンフォースの必要性が高く、ウイングを立てて(垂直の状態に近くして)ダウンフォースを最大限に利用しようとするが、逆にモンツァのような高速サーキットではダウンフォースよりむしろ空気抵抗を少なくさせることが優先事項となるため、ウイングは寝かせて(水平の状態に近づけて)走らせる。

ウイングレット: F1では主にリアタイヤ前方に装着された小型ウイングを指す。

ウェイストゲート: ターボ式エンジンにおいて、過給圧を調整するために余剰分の排気ガスを分流させる仕組み。2015年までは分流された排気ガスはエキゾーストパイプに合流するよう定められていたものの、エンジンのサウンド増大を狙って2016年からは独立した1本ないし2本のウェイストゲートパイプを設けることが義務付けられた。

ウエットタイヤ: F1では大雨用のタイヤをこう呼ぶ。エクストリームウエットタイヤとしても知られている。ウエット路面ではハイドロプレーニング(アクアプレーニング)現象が起こりやすくなるため、水を逃がすように横や斜めに細かい溝がついているのが特徴。雨天時は路面温度がドライ状態より低くなることから、低温でもグリップが得られるよう、ウエットタイヤのゴムはドライタイヤより柔らかくなっている。ウエットタイヤでドライ路面を走るとゴムの柔らかさゆえに摩耗が激しく、スムースに走れなくなる。

ウオーマー: タイヤウオーマー、タイヤブランケットとも言う。タイヤを覆い、走行前のタイヤを適度な温度に温める装置。

エアロダイナミクス: 空気力学のこと。俗に空力。流体力学の一種で空気等の気体の運動作用、物体に働く力などを研究する学問。モータースポーツでは空力によって、その高速さゆえに発生する空気抵抗を低減し、揚力を抑えてマシンを地面に押し付ける力を得ることが重要となる。

エアロダイナミシスト: 空力の専門家。空力スペシャリスト。

エイペックス: 頂点の意味。モータースポーツではコーナーの頂点を指す。

エキゾースト: 排気のこと。エキゾーストノートは排気音。エキゾーストパイプは排気管。

エスケープゾーン: 危険回避を目的に設置されている場所。

エンジニア: 直訳すると技術者。マシンの機械的な部分を担当する。レースドライバーそれぞれにつくエンジニアをレースエンジニアと呼ぶ。

エンジン: マシンの心臓と言える動力部分。2013年までは2.4リッター自然吸気(NA)エンジンが使用されていたが、2014年の大幅なルール変更に伴い、1.6リッターV6ターボエンジンを中心とするパワーユニット(PU)システムに移行した。【参照:PU】

縁石: コーナーサイドに設置された部分。路面上でもなくコース外でもない部分。赤と白、あるいは青と白というように2色使いが一般的。コーナーを攻略する上で利点にもなるが、場合によっては不利になることもある。英表記でkerb、米表記でcurb。

エンドプレート: 翼端板とも。フロントおよびリアウイングの両端に立て、より多くの空気をウイングに送り込んで空力効果を高めるために設置されているパーツのこと。

オイルフラッグ: 黄と赤の縦じまの旗。路面にオイルや砂などがあり、滑りやすくなっていることを知らせる。また、雨などで水たまりがある場合にも提示される。

オーバーカット: 競争相手よりもピットインのタイミングを遅らせ、交換したばかりのライバルのタイヤが適切な作動域に入らないうちに十分なギャップを築き、自分がピットストップを終えた段階で前に出る作戦。同じくピットストップのタイミングを利用して順位を上げる戦略として、比較的タイヤを機能させやすい場合に相手よりも早くピット作業を行う"アンダーカット"がある。

オーバーステア: 実際にハンドルを切ったよりもマシンが曲がりすぎる状態。この状態を"ルーズ"と言うこともある(例:マシンがルーズ、リアがルーズ)。逆の状態をアンダーステアと言う。

オーバーテイク: 前車を追い抜くこと。長いストレートの終わりなど、オーバーテイクがしやすい地点はオーバーテイクポイントと呼ばれる。

オープニングラップ: レースがはじまった周回、1周目のこと。各車が近い位置関係(いわば団子状態)に存在しているため、追い抜きには最適の条件にある一方で、接触事故が起こりやすい。

オレンジボールフラッグ: 黒をベースにオレンジの円が描かれている旗。何らかのメカニカルトラブルを抱えているマシンに対して車番とともに出される。直ちにピットに戻って問題箇所を修復しなければならない。

オン・ボード・カメラ: マシンに搭載されたカメラのこと。車載カメラとも言う。ノーズやドライバーの正面などに設置されている。これを搭載しないマシンも公平性を保つため、同じ重量のダミーを設置しなければならない。

カーナンバー: F1ドライバーが背負う車体番号。マシンの前部に掲示することがレギュレーションで定められている。フロントノーズに付けられることが多い。2013年シーズンまでは前年のドライバーズチャンピオンがカーナンバー1、そのチームメイトがカーナンバー2をつけ、以降は前年度のコンストラクターズ選手権順位に従って上位チームから若い番号が与えられていたが、2014年シーズンに先立ち、ドライバーが生涯を通じて固定番号を使用する新しいルールが採用された。ドライバーは各自、希望番号を3つずつ申請し、希望番号が重複した場合は前シーズンのドライバーズランキングの順位の高い者が優先される。車体番号がFIAによって定められていた頃は欧米で縁起の悪さゆえに"13"が与えられることはなかったものの、新制度の採用に際してパストール・マルドナドが13番を選択している。なお、前年度にタイトルを獲得したドライバーはカーナンバー1をつけるか、自身の固定番号をつけるかを選択できる。

ガーニーフラップ: ダウンフォース増加を狙ってウイングの後端に取り付けられるパーツ。考案者である1960年台に活躍したアメリカ出身の元F1ドライバー、ダン・ガーニーの名をとってこう呼ばれる。

カーボンファイバー: 正式にはcarbon fiber reinforced plastic(カーボン・ファイバー・リーインフォースド・プラスティック/CFRP)。日本語で炭素繊維強化樹脂。モノコックやウイングなどボディワークのほぼすべてがこの素材から成る。

カウル/カウリング: エンジンなどを覆うカバーのこと。エンジンに被せられたカバーはエンジンカバーと呼ぶ。

カウンターステア: マシンの向きと逆方向にステアリングを切ることでマシンの向きを修正すること。

ギアボックス: エンジンの回転を効率よくタイヤに伝えるために複数枚のギアが組み合わされており、そのギアを覆っている箱をギアボックスと呼ぶ。ギアボックスはマシン後方に取り付けられている。速く走るためにはギア比のセッティングが重要。

ギアレシオ: ギア比(レシオは比率の意味)。組み合わさったギアの回転差の比率。

黄旗/イエローフラッグ: コース上に危険がある事を知らせる。イエローフラッグ(黄旗)が振られているポストからは追い越し禁止。静止状態で掲示される場合は注意喚起の意味で、単一で振られている場合は走行ラインの変更が可能な程度まで減速、ダブルで振られている場合は停止が可能な程度まで減速しなければならない。緑旗が掲示されれば、そこから追い越しが可能。

キャスター角: マシンを横側から見た際のフロントタイヤの操舵軸の傾斜角度。通常後方に傾けて取り付けられている。舵が中央に戻る直進状態への復元性を求めたもの。

キャンバー角: マシンを正面から見た際、タイヤが内側あるいは外側に傾いた角度。"ハの字"型をネガティブキャンバー、その逆をポジティブキャンバーと言う。

グラウンドエフェクト: 地面効果。マシン底面と地面間の空気の流れによってダウンフォースを得られる現象。車体の下面を通って後方へと抜ける空気を、できるだけ乱れを少なく高速で取り入れてダウンフォースを稼ぐというもの。

グラベル: コースアウトしたマシンを減速させるための砂場。安全面においては絶大な効果があるものの、一度はまってしまうと砂や砂利でタイヤが空転して動けなくなってしまうことも多い。ランオフエリア、サンドトラップ、サンドバリアとも呼ばれる。

グリーン: 路面にラバーがのっていない状態。

クリッピングポイント: コーナーリング時にマシンが最も内側に近づく地点のこと。

グリップ: タイヤが路面と接触する強さのこと。またはステアリングなどの握りのことを指す。

グリップ力: タイヤが路面と摩擦する力。グリップ力が大きいマシンは路面の摩擦力を生かしてコーナーを高速で曲がることが可能になる。またグリップ力があると加速時もタイヤの空転を少なくさせ前進させることができる。グリップ力はマシンのダウンフォースやタイヤのコンパウンドでその性能が決まる。

グルーブドタイヤ: 溝付きタイヤ。溝のない表面がツルツルしたタイヤはスリックタイヤと言う。

グレイニング: タイヤがささくれてサメ肌のようになること。消しゴムが古くなってぼろぼろになる状態に似ている。グレイニングが起きると、タイヤの表面が路面に均一にならず、グリップが減ってしまうため、走りにくくなる。グレイニングは新しいタイヤを使い始めて数周走ったころに見られることが多い。

黒旗/ブラックフラッグ: 危険走行や規則違反の車に対して、車番とともに出される。ドライバーは直ちにピットインしなければならない。

黒白旗: スポーツマンシップに反する行為があった場合、警告として出される。警告に従わず、その後も危険な走行をした場合は黒旗が出される。

コアンダ効果: 気体や液体の噴流が近くにある物体の表面に沿って流れようとする性質。ルーマニアの発明家アンリ・コアンダが発見した。2012年にマクラーレン、ザウバーらが先駆けとなり、この性質を応用してエキゾーストガスから空力的効果を得る仕組みが流行するも、2014年のルール改訂によって禁じられた。

コースレコード: 各サーキットにおける歴代最速タイム。

コックピット: 操縦席。ドライバーが座る場所。

コンコルド協定: FIAとフォーミュラ・ワン・グループおよびF1チームとの間で結ばれる、F1のレギュレーションや、F1の商業面に関して規定する協定のこと。F1に参戦する全チームが同意し、この協定にサインする必要がある。この中にはF1グランプリでポイントを獲得した際の賞金額や、テレビ放映権による収益を分配する方法などが記されていると言われているが、詳しい内容については明らかにされていない。2008年シーズンは当座の"了解事項覚書"によって治められる形で新コンコルド協定未締結のまま開始。状況変わらずして2009年シーズンに入ると、F1に参戦する全10チーム(当時)から成るフォーミュラ・ワン・チームズ・アソシエーション(FOTA)が設立され、2010年以降のF1参戦をめぐってFIAと激しく対立し、一時はFOTAが分裂シリーズ化の脅威を示したこともあった。コース外の大騒動に発展した末、最終的に各チームが2012年までF1に参戦するとの誓約の上で合意、調印された。現在の協定は長い交渉を経て2013年9月FIAとフォーミュラ・ワン・グループの間で成立し、2020年まで有効となっている。

コンストラクターズ選手権: チームの選手権。各チームのドライバー陣が獲得した総合ポイントで年間王者が決定する。

コントロールライン: ホームストレート上にある計測線。1周のタイムアタックをはじめ、周回数などすべての基準となるライン。スタート/フィニッシュラインとは意味合いが異なることがある。

コンパウンド: タイヤに使われるゴム質のこと。この選択によって、グリップや磨耗等、タイヤ特性をコントロールすることができる。

サーキット: レースを開催する場所。トラックと言う人もいる。F1が開催されるためのサーキット条件は厳しく、FOMとFIAが定めたさまざまな基準をクリアする必要がある。

サイド・バイ・サイド: 2台のマシンが並んで互いに一歩も引かない状態。

サイドプロテクター: ドライバーの頭部を保護する目的で、コックピットのサイドに設置されるもの。1996年以降、レギュレーションで義務付けられている。

サイドポンツーン/サイドポッド: マシン両脇にあるラジエーター等が収められた部分のこと。

サインボード: ピットとドライバーとの通信手段。ドライバーが走行中、ピットサイドから指示や情報を伝える時に用いる。ライバルとのタイム差やラップ数、走っているポジションなどを表示。現代では無線でのやり取りが大半ではあるが、故障やアクシデントの際には特に必要となる。

サスペンション: マシンを支えるスプリング構造。車体とタイヤの間に取り付けられ、地面からの衝撃や振動を緩和する装置。マシンの操縦性にも影響を与えるため、非常に重要な要素である。

シェイクダウン: 完成したての新車を初走行させること。またグランプリ前にそのレース用にパッケージングされたマシンのシステムチェックを実施することを言う。

シケイン: コース上には元来存在しないが、速度を落とさせるために新たに設置されたコーナー。減速させるため、短い区間内に左・右、あるいは右・左と左右に連続して設けられる。

車検: 車両の検査。レース週末に適時実施される。セッション中であっても抜き打ちでチェックされたりもする。

シャシー: 車体のこと。概してボディ自体のほかに、カウルやウイング等も含めて言う。

ジャンプスタート: レーススタートを示すシグナル消灯よりも前にグリッドから動くこと。いわゆるフライング。センサーによって感知され、これを犯したドライバーにはペナルティが科される。

周回遅れ: 下位を走行し、上位勢に追い越されてしまうこと。同一周回を走っていないマシン、ドライバーを指す。

消灯令: 2011年に導入された、マシンオペレーションにかかわるチームスタッフが夜間にサーキットへ立ち入ることを禁じるルールの俗称。これによって徹夜でマシン調整作業を行うことはできなくなった。ルール導入以来、立ち入り禁止の時間は少しずつ延長されており、現在は金曜フリー走行1回目および土曜フリー走行のスタート予定時刻から11時間前に始まる8時間が規制の対象となっている。グランプリ初日と2日目の間に一日の休みが挟まるモナコGPを除き、金曜フリー走行2回目の終了時間から2回目の規制時間が始まるまでの時間が9時間を超える場合、超過分が2回目の規制時間に加算される。各チーム、シーズンあたり2度までの例外が許されるものの、一度のグランプリウイークエンド中にその両方を適用することはできない。

シルバーアロー: メルセデスマシンの代名詞。メルセデスがワークスではなくマクラーレンのエンジンパートナーとして参戦していた頃には、銀に塗られたマクラーレンのマシンをこう呼ぶこともあった。言葉の由来は1934年にさかのぼる。1934年6月、ニュルブルクリンクでレースに備えていたメルセデス・ベンツW25の重量が、規定の750kgを1kg超過していることが分かった。チーム責任者の下した決断はホワイトのトップコートを削り取ること。下から現れたシルバーに輝くアルミ製ボディは優勝を飾り、銀の矢のように速い"シルバーアロー"が誕生した。現代のシルバーアローは2014年と2015年にぶっちぎりの2連勝を決めている。

白旗/ホワイトフラッグ: 走行している区間に低速走行車両がある事を知らせる。

スーパーライセンス: F1に参戦するドライバーに必要なライセンス(免許)のことでFIAの基準をクリアした者だけに発給される。2016年から年齢制限が設けられ、18歳以上でなければ取得できない。また、ジュニアカテゴリーの年間ランキングに応じて配分されるポイントを、3年間で40ポイントを集めていることが条件になる。付与されるポイントはシリーズによって異なり、GP2やヨーロッパF3、インディカー、世界耐久選手権などのチャンピオンには40ポイントが与えられる。

【スーパーライセンスポイント】

年間ランキング 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位
FIA F2 40 40 40 30 20 10 8 6 4 3
GP2 40 40 30 20 10 8 6 4 3 2
ヨーロッパ F3 40 30 20 10 8 6 4 3 2 1
WEC (LMP1) 40 30 20 10 8 6 4 3 2 1
インディカー 40 30 20 10 8 6 4 3 2 1
フォーミュラ・ルノー3.5 35 25 20 15 10 7 5 3 2 1
GP3 30 20 15 10 7 5 3 2 1 0
スーパーフォーミュラ 25 20 15 10 7 5 3 2 1 0
WTCC 15 12 10 7 5 3 2 1 0 0
DTM 15 12 10 7 5 3 2 1 0 0
インディ・ライツ 15 12 10 7 5 3 2 1 0 0
国際F4 12 10 7 5 3 2 1 0 0 0
国際F3 10 7 5 3 1 0 0 0 0 0
フォーミュラ・ルノー
(ユーロカップ、アルプス、NEC)
 10 7 5 3 1 0 0 0 0 0
CIK-FIA 5 3 2 1 0 0 0 0 0 0

スキッドブロック/プランク: マシンフロアに段差を設けてダウンフォースを制限するため、1994年から装着が義務付けられたパーツ。厚さ10mmのプランクの表面に金属製のスキッドが埋め込まれる。路面と擦れて摩耗するが、レース終了時点の摩耗分を1mm以内に収めなければならない。スキッドの素材には重金属が使用されていたものの、脱落した際の安全性向上を求めて2014年からチタン合金製と規定された。チタン合金は摩耗しやすいため、車高が下がるのを抑制すると同時に、擦れた際に火花が散ってエキサイティングな光景を演出する効果もある。

スターティンググリッド: レーススタート時の位置を指す。予選の順位通りにタイムが速かったドライバーからマシンを並べる場所。マシンを止める場所には白線で印が付けられており、さらに各スタート位置にはマシンに付けられた発信機からの電波を受信するセンサーが埋め込まれている。このセンサーでドライバーがフライングスタートをしていないかどうか確かめることが可能。グリッド上からスタートできないマシンがいる場合、その位置を空けて各車が並び、スタート位置が繰り上がることはない。各ドライバーの位置は8m離れており、前後(1番手と3番手)では16m離れている。サーキットによって、奇数列(ポールポジションの列)がコースの外側だったり、内側だったりと異なる。ドライバーがコースを走るラインの方が比較的汚れもほこりも少なくスタート時に有利になると言われ、逆に汚れている列からスタートする場合は、スタート時に加速があまりできずにポジションを落とすことがあるため、不利とも言われる。

ステアリングホイール: ハンドルのこと。現代のF1マシンのステアリングホイールはマシンの向きを左右へと曲げるためのものだけではなく、ステアリングには多数のボタンやスイッチ類がついている。無線交信用のボタンや前後のブレーキの効き具合を調整するダイヤル、ピットに入る際に速度制限を守るためのスピードリミッターボタンなどがある。開発費は高額でステアリングひとつで1,000万円するとも言われる。

スティント: スティントは期間を意味する言葉で、走行期間を区切って呼ぶ言い方のこと。スタートから1回目のピットストップを第1スティント、1回目のピットストップから2回目のピットストップまでを第2スティント、最後のピットストップからチェッカーまでが最終スティントと呼ばれる。タイヤの状態や戦略的な理由からピットストップに入る周回数はそれぞれ異なるため、スティントの回数は多い時もあれば少ない時もあり、また各スティントの長さは長いときもあれば短いときもある。

ストラテジーグループ: 将来的なレギュレーション変更を検討するためのグループ。投票権を持つメンバー18名で構成され、F1統括団体(FIA)、商業権保有者(FOM)、6つのリーディングチームにそれぞれ均等に人数が割り振られているため、FIAが6票、FOMが6票、チームが6票を有する形になる。2013年にまとまったコンコルド協定によって新たに組織された。

歴史的な理由からフェラーリ、レッドブル、マクラーレン、メルセデス、ウィリアムズの5チームが常任メンバーに指定されており、コンストラクターズ選手権において前述のチームを除く最高位に入ったチームが残る一枠を埋める。ストラテジーグループにおいて合意に至った内容はF1委員会に送られ、これを通過した場合は世界モータースポーツ評議会で最終的な決議が行われる。

スペアカー/Tカー: 予備のマシン。トラブル時などに備えて用意されている。

スポンサー: チームにはそれぞれスポンサーが付いており、スポンサーが支払う金額は大抵が1億円単位と言われる。車体に描かれるスポンサーロゴのサイズが大きいほど多額の資金をチームに払っている事になる。タバコ会社がメインスポンサーとなることが多かったが、ヨーロッパのタバコ広告禁止の動きによって、2008年以降は全面禁止となり、タバコ広告がF1界から姿を消した。ただし、フィリップモリス社はマールボロブランドでフェラーリへのスポンサーを継続している。

スリックタイヤ: 表面に溝のないタイヤ。路面との接地面積が多いためグリップを稼ぐことができる。1998年以降は使用が禁止されたものの、2009年から復活。

スリップストリーム: ストレートなどで前方を走るマシンの真後ろにつけ、乱れた空気の流れの中を走ることで空気抵抗が低減し、加速が向上する状態。これを用いてオーバーテイクを試みたりする。

スローパンクチャー: なんらかの原因でタイヤの空気が除々に抜けていくこと。これが起こるとマシンコントロールが難しくなるため、スピードを落とさなければ走行できなくなる。

セーフティカー: レース中にアクシデント(もしくは猛烈な雨)が起こり、コース上が危険な状態の時にコースに入り、レース中のマシンのペースをコントロールする車。トップを走るマシンの前で先導する。セーフティカーがコース上にいる間は全車追越し禁止。トップのマシンから順番にペースをコントロールされる形になるため、それまで上位のドライバーらが築いてきた後続車に対する差がなくなる。セーフティカーがピットレーンに退くと、トップのマシンから順に加速を始め、コントロールラインを超えてレース再開(ローリングスタート)。またレース当日にかなりの雨量が観測され、普通にスタートさせると危険と判断された際はセーフティカーの先導でレースがスタートすることもある(セーフティカースタート)。

2015年からはバーチャルセーフティカー(VSC)という新システムが導入された。VSCはセーフティカーを導入するほどの状況でない場合に発動。ドライバーたちはそれぞれのステアリングホイールに示されたデルタタイムを厳守しなければならず、それに違反する者は全員がペナルティの対象となる。解除後はローリングスタートでレースが再開される。

世界モータースポーツ評議会:World Motor Sport Councilの頭文字をとってWMSCとも。FIAに属する組織で、モータースポーツの国際的なルールを定め、スポーツの発展や安全性の向上を目指す。少なくとも1年に4回の会合が実施され、F1レギュレーションについてはF1委員会の合意が取れた内容について最終的な採択を行う。FIA会長や同スポーツ部門会長代理、FOM会長をはじめとする24人のメンバーで構成される。

セクター: 区間。サーキットを3つに区切り、それぞれセクター1(第1セクターとも。以下、同)、セクター2、セクター3と呼ぶ。

セッティング: マシンの調整作業。セットアップと同じような意味。

セットアップ: マシンの調整作業。サーキットやコンディションに合わせて行う。

ターボチャージャー: パワーユニットを構成するコンポーネントの一つ、略してTC。排気を利用して加圧した空気をエンジン内に送り込み、燃焼エネルギーを増大させる装置。排気によって回転するタービンと、その力を利用して空気を圧縮するコンプレッサーから成る。

タイヤ: 大まかに、ドライタイヤとウエットタイヤの2種類。ドライタイヤにはさらにスーパーソフト、ソフト、ミディアム、ハードがあり、2016年からスーパーソフトより柔らかいウルトラソフトが加わって計5種類になった。ウエットタイヤは雨天用のインターミディエイトタイヤ、豪雨用のウエットタイヤの2種類がある。かつては日本のメーカーであるブリヂストンがミシュランの撤退により2007年から単独供給していたが、惜しまれつつも2010年をもってF1タイヤサプライヤーとしての活動を停止。2011年からはピレリがF1公式タイヤサプライヤーに就任し、2015年10月に契約を延長した。ピレリの新契約は2019年までとなっている。

柔らかいコンパウンドはグリップ力に優れ、コーナーをより速く通過する事ができるが、その反面、耐久性に劣り、すぐに摩耗してしまう。逆に硬いコンパウンドは耐久性に優れ摩耗しにくいが、ソフトに比べてグリップ力が劣るという特徴がある。ソフトタイヤを使用すれば予選で良いタイムを出すことはできるものの、レースではタイヤの摩耗が激しいため、ピットインの回数を増やして交換しなければならない。ハードタイヤではピットインの回数は増やさなくてもいいが、1周あたりのタイムが多少落ちてしまうことから、どのタイプを選択したらいいのかはそのときの状況とチームの戦略により変わる。ゆえに、タイヤを選択するというのはレース結果を左右する重要な仕事でもある。1998年以降、グルーブド(溝付き)タイヤの使用が義務付けられていたが、2009年にスリック(溝なし)タイヤが復活している。

タイヤバリア: サーキットの壁に沿って積み上げられたタイヤで作られたマシン衝突時の衝撃吸収のためのバリア。

ダウンフォース: マシンを地面に押し付ける下向きの力のこと。F1のように高速で走るマシンは空気作用によりマシンが浮いてしまうため、これを防ぐためにかかせないもの。ウイングやディフューザーによって得られる。F1マシンの前後に取り付けられたウイングは飛行機のウイングを逆さまにしたような構造になっており、そのウイングに風を当てる事によってダウンフォースが生み出され、速いスピードでコーナーを曲がることが可能となる。

ダブルポイント制: 最終戦で与えられるポイントをその他のレースの2倍にする制度。シーズン閉幕までエキサイティングなタイトル争いを継続させるべくバーニー・エクレストンによって考案され、2014年最終戦アブダビGPで実施された。エクレストンの当初のプランではラスト3戦のポイントを2倍にする考えだったが、勝負の行方に人の手が介入しすぎるとして反対の声が上がり、ラストレースのみでの適用に縮小する形で導入。最終的にはこの年限りで撤廃されている。

ダミーグリッド: フォーメーションラップ前に着くグリッドのこと。フォーメーションラップ後に着くのがスターティンググリッド。

チームオーダー: チームが所属するドライバーに与える命令。チームメイト同士が1-2番手、2-3番手のようにランデブーで走行しており、かつドライバーズ選手権を上位で争うドライバーが下位で走行している場合に順位を意図的に変動させる行為。2002年オーストリアGPでは当時フェラーリのミハエル・シューマッハがチームメイトのルーベンス・バリチェロにゴール手前で順位を譲られて1位でフィニッシュし、大問題に発展。他にも同チーム内(時には異なるチーム)でのバトルを避けるために予めチームオーダーを交わし、レースをしたケースもあった。2003年から禁止されていたものの、F1で最も議論を呼んできたルールは2011年シーズンに先立ち撤廃されている。

チェッカーフラッグ: レース(セッション)終了。レースではこの旗を最初に受けた者が優勝となる。

チャンピオンシップ: F1世界選手権(チャンピオンシップ)はドライバーとチームに分けて争われる。それぞれドライバーズ選手権、コンストラクターズ選手権と言う。2010年シーズンより、各グランプリで1位から10位に入った者が入賞となり、ポイントを与えられる。シーズンを通してそのポイントを最も多く獲得した者が選手権を制する。

【順位 獲得ポイント】
1位 25ポイント
2位 18ポイント
3位 15ポイント
4位 12ポイント
5位 10ポイント
6位 8ポイント
7位 6ポイント
8位 4ポイント
9位 2ポイント
10位 1ポイント

ディファレンシャルギア/デフギア: コーナーを曲がる際、内側のタイヤと外側のタイヤに回転数の差が生じるため、それを調整する装置。

ティフォシ: フェラーリの熱狂的なファンのこと。

ディフューザー: ダウンフォースを発生させるため、マシンのリアエンドに装着する空力パーツ。

ディフレクター/ターニングベイン: ノーズやコックピットの左右などに取り付けられた空力パーツ。空気の流れを変えたり整えたりするための装置。

テール・トゥ・ノーズ: 前方のマシンの後方部分に自車のノーズ部分があたりそうなくらいに近づいて走行している状態。

テールランプ: マシン後部につけられた明かり。義務化されている。ピットレーンなどでリミッターを使用している際に点滅する。雨天時のレースでは後方のマシンが前方のマシンを認めやすくするため、常時点滅させなければならない。

デグラデーション: 摩耗によってタイヤの性能が低下すること。"タレ"とも言う。

デプスゲージ: 0.1mm単位でタイヤの摩耗具合を図ることができる器具。デプスゲージの使い方としては、まずスイッチを入れ、ゼロ点調整し、針を出してからタイヤの溝(グルーブ)、もしくはタイヤに空けられた計測用の小さな穴(ディンブル)にあてて、その深さを計測する。その数値を新品状態のタイヤの値と比較して摩耗度を測る。摩耗の度合いを測ることによって予測データが出てくるので、ドライバーがそのままプッシュしていいのか、少しタイヤをセーブしながら走らなければならないかを判断できる。デジタル計測のものはデジタルデプスゲージとも呼ばれる。

デプロイメント: デプロイとも。英語で"配置・展開"を意味するdeploymentのことで、エネルギー回生システム(ERS)から回収したパワーを使用する際の配分や、配分できる量そのものを指す。V6ターボ時代が2年目を迎えた2015年にエンジンマニュファクチャラーとしてF1に復帰したHondaは、冷却の問題からERSの能力を抑えることを強いられ、結果としてアシストに使用できるパワーがライバルたちに劣っていたものの、2016年に向けて改善を行った。

テレメトリー: マシンのデータを無線通信で送り、ピットにて計測、分析するためのシステム。遠隔計測装置。

トウ: スリップストリームで得られる空力的アドバンテージのこと。

トークン: パワーユニットのパフォーマンス開発を管理するために導入された概念で、パワーユニットを42の機能に分け、それぞれに対しアップグレードするのに必要なトークンが1から3の間で振られている。エンジンマニュファクチャラーはトークンの合計がその年に割り振られた数に収まる範囲でパフォーマンス開発を行うことができる。FIAはシーズン毎に使用可能なトークンを減らしていくことで段階的なエンジン開発凍結を目指しており、2015年の開発に対しては各マニュファクチャラーに32トークンが与えられた。

当初、トークンの使用はオフシーズンに限定し、以降は信頼性にかかわる開発のみが許容される予定だったが、2015年シーズン開始に先立ってフェラーリがレギュレーションの抜け穴を発見。これによって全チームがシーズンを通してトークンを使用できるようになった。また、計画上はトークンが25に減らされるはずだった2016年は、遅れをとっているマニュファクチャラーの挽回を可能にすべく32トークンを維持したままインシーズンのパフォーマンス開発も引き続き可能になっている。2017年以降に向けて、複雑なトークンシステム自体の撤廃が検討されている。

ドライタイヤ: 晴れている日に装着するタイヤ。1998年から2008年までは溝が4本入ったタイヤが使用されていたが、2009年より以前に使われていた溝なしのスリックタイヤが復活。ドライタイヤは大きく分けるとソフトタイヤとハードタイヤの2種類がある。ソフトタイヤはグリップ力(路面にタイヤが貼りつく力)が高い反面、摩耗が早い。ハードタイヤはグリップ力が低いが、耐久性は高くなる。

ドライバー: グランプリに出走するドライバー(各チーム2名)をレースドライバー、レース以外の開発作業やテストなどを専門に担うのがテストドライバー。1チームにつき2名のレースドライバーが起用されることから、さまざまな場面で優遇されるナンバー1(エース)ドライバーと、そのエースドライバーをサポートするナンバー2ドライバーと、区別して見られることが多いが、基本的にどのチームも待遇に差はないという意味で"ドライバー平等制(ジョイントナンバー1)"を主張する。テストドライバーには将来のレースドライバー昇格を目的に若手を起用する場合も多いが、ベテランドライバーを起用するチームもある。またテストドライバーはリザーブ(サード)ドライバーを兼任することが多く、テスト兼リザーブドライバーなどと言われる。

ドライバーズ選手権: ドライバーの選手権。レースに出走したドライバーの中で、シーズンを通して最も多くポイントを獲得した者がドライバーズチャンピオンとなる。ワールドチャンピオン、世界王者、F1チャンピオンと言った呼び方がある。

トラクション: 駆動力のこと。

トラクションコントロールシステム: 通称TCS。制御装置の一種で、スタートや加速の時にタイヤの空転や左右の駆動力差を整える電子制御装置。2008年よりテクニカルレギュレーションにて"スピン防止やスロットルに対するドライバーの過度な要求を補正することを目的としたシステムおよび装置をマシンに装備してはならない。ホイールスピンの発生をドライバーに知らせる装置やシステムは不可とする"と定められたため、使用禁止になっている。

トラフィック: 渋滞のこと。走行中、前方にマシンが複数台おり、自分のペースで走れなかった場合などに「トラフィックに引っかかった」と表現したりする。

トランスミッション: ギアボックス、デフギア、クラッチなど、駆動系のパーツを総称して呼ぶ。

ドリフト: 横滑りしている状態。あるいは意図的にタイヤを滑らせるドライビングテクニックのこと。

トレッド: タイヤが実際に路面に接触する部分のこと。

ノーズ: 直訳で鼻。マシンの最前部のこと。ノーズの先端が上に上がっているものをハイノーズと呼び、下に向いているものをローノーズと呼ぶ。

ノーズコーン: フロントウイングを含め、マシン前方部のユニットを指す。

バイザー: ドライバーのヘルメットで視界を得る部分。風よけ。透明のものや日差し対策用のスモーク型、ミラー加工されたものなどさまざまある。この部分には"捨てバイザー"と呼ばれる透明のフイルム状のものが数枚張られており、レース中に前車からのオイルなどでバイザーが汚れて視界が悪くなった際にドライバー自身が捨てバイザーを1枚はがして再び視界を確保する。

ハイドロプレーニング/アクアプレーニング: 正確には日本語でハイドロプレーニング現象、またはアクアプレーニング現象と言われる。水がたまった路面を走行中にタイヤと路面の間に水が入り込み、マシンが水の上を滑る形でグリップしなかったりハンドルが効かなくなる現象のこと。

ハイドロリック: 油圧系とその制御系までを含めて総称されるもの。ギアボックスのシフトチェンジやクラッチ、スロットル、パワーステアリングなどがこれによって制御されている。何らかの原因でハイドロリック(油圧)が落ちてしまうと、ほとんどの場合でシフトやスロットルに異変が生じ、加速不能、つまり走行不能になる。

バックマーカー: 周回遅れのマシン、ドライバーのこと。

パドック: マシンを整備する場所を含めた総称。主にF1の場合はピット裏のスペースを指す。ドライバーや関係者らが報道陣からの取材に応じたり、食事やミーティングなどをすることから、サーキットの社交場とも言われる。

跳ね馬: フェラーリのロゴを表現した言葉。フェラーリの代名詞。

パラゴン: イギリスにあるマクラーレンのテクノロジー・センターの名称。2004年の5月から稼動。最新の風洞も完備されている。マクラーレン・グループの闘将ロン・デニスが細部までこだわり、建設年数7年、総工費500億以上をかけて作られた。

パルクフェルメ: 車両の保管場所。マシンの計量など車検が行われる場所。予選を終えたマシンはパルクフェルメに保管される。また、レース直前のフォーメーションラップまで、各チームがそれぞれのマシンに施せる作業が限定されているため、許可を得られた場合のみ検査官の厳しい監視の下で可能。レース終了後も完走したドライバーはここにマシンを止め、車検が終わるまで許可なしには入室できない。

ハロー: ドライバーの頭部をクラッシュやクラッシュによって飛散したパーツなどから守るために考案された保護装置。英語で太陽の後ろに現れる光輪や聖人の後光などを指すhaloの名の通り、コックピット正面から伸びる支柱がドライバーの頭上をめぐるカーボンファイバー製の輪を支える仕組みになっている。ジュール・ビアンキやインディカーのジャスティン・ウィルソンの死亡事故を受けて、2015年に頭部の安全性に関する議論が高まる中、メルセデスが発案したのがハロー型のコンセプトだった。ドライバーたちからの支持を得ており、導入に向けて話し合いが進められている。

パワーステアリング: ドライバーの操舵力を補助する装置。通称パワステ。

パワーユニット: エンジン(内燃機関/ICE)を中心に、エネルギーシステムおよび制動システムを含めた動力部分の総体を指す。Power Unit(パワーユニット)を略してPUとも。エンジンをはじめモーター・ジェネレーター・ユニット・キネティック(MGU-K)、モーター・ジェネレーター・ユニット・ヒート(MGU-H)、エネルギー貯蔵装置(バッテリー)、コントロールエレクトロニクスの6つのコンポーネントで構成される。1シーズンあたりに使用できる数に制限があり、各コンポーネントごとに規定数まで使用することができる。規定の基数を超えた場合はペナルティが科される。パワーユニット全体の最低重量は145kgに定められている。

【参照:ERS、ICE、エンジン、ターボチャージャー】

バンピー: コース上が滑らかでなく、デコボコの多い路面の状態のこと。

バンプ: 路面上の盛り上がった部分。これが多数ある状態をバンピーと言う。

ピット: サーキットで各チームがマシンの整備を行う場所のこと。レース中はタイヤ交換や給油などのピット作業を行う。また、サイドポンツーンに入ってしまったゴミの除去や、マシンの故障した部位のパーツ交換を行う場合もある。

ピットウオール: ピットとコースの間に設けられた壁。サインボードを掲示する場所も含めて指すことが多い。1台のマシンにつき6名のクルーまでしか立ち入れない決まりだが、レース終了時にはクルーが総出でドライバーを迎えたりする。

ピットクルー: ピットに入るチームメンバーを指す。基本的にはピットストップ時に作業をするメカニックを指すことが多い。

ピットスタート: ピットレーンスタートともいう。何かしらの理由によりマシンが規定時間内にスターティンググリッドに着けなかった場合に救済措置としてピットロード出口からスタートすること。マシンがパルクフェルメ状態にあるときに規定外の作業を行った際もピットレーンからのスタートになる。また、何らかのルール違反に対するペナルティとしてピットスタートを命じられることもある。

ピットストップ: タイヤ交換や給油、トラブル時の修理などを行うためにピットに戻ること。現代のF1ではピットストップの静止時間における順位の入れ替わりが激しく、勝敗を左右する重要な要素となっているため、慎重かつ素早く作業しなければならない。作業自体はたいてい5秒から10秒程度で終わらせる。2010年からはレース中の給油が禁止された。

ピットレーン: 本コースとは別にピット前に設けられたコース。コース側を高速レーン、ピット側を内側レーンと呼ぶ。レーン内ではエンジンの力でマシンをバックさせることが禁じられているため、ガレージにマシンを納める場合などはピットクルーが手で押して入れる。

ピットロード: ピットへの誘導路。

ファクトリー: 直訳すると工場。マシンやエンジンの製造、シミュレーター作業等が行われる各チームの拠点のこと。複数のファクトリーを持つチームもある。多くのチームのファクトリーがイギリスに集まっているものの、イタリアに本拠を置くフェラーリやスイスに拠点を構えるザウバーといった例外もある。

ファステストラップ: レース中に出したその時点での最速タイム。ベストタイムとも言う。レース終了後はそのレース中に記録された1周における最速タイムがファステストラップとして歴史に刻まれる。

風洞: チームが巨額を投じて建設し、空力性能の実験に用いられるトンネル状の施設。トンネル内部の強力なファンが風を起こし、それをマシン開発に用いる。路面はベルト状にして、あたかも実際に走行しているかのような状態を作り出せる。レギュレーションにより、サーキットでのテスト数が制限されているF1ではとても重要な設備である。

フォーメーションラップ: レースのスタート前に全車がコースを周回すること。マシンを蛇行させてタイヤを温めようとしたり、ブレーキを強く踏んでブレーキを温めて効きを良くしようという光景がしばしば見られる。追い越し禁止。マシントラブルが発生した場合は最後尾グリッドに着くか、ピットスタートとなる。

プッシュロッド: サスペンションの方式の一つで、押す力によって路面からの入力をショックアブソーバーに伝える機構を指す。反対に引く力を利用するプルロッド方式が存在する。近年はプッシュロッドを採用するチームが大多数を占める。

フライングラップ: 予選でアタックをかける周回。

フラッグ(旗): アクシデントやコースの状況などをドライバーに伝達するために掲示されるもの。

【参照:赤旗、青旗、黄旗、緑旗、黒旗、オイルフラッグ、オレンジボール、白旗、チェッカーフラッグ、黒白旗】

フラットスポット: ブレーキをロックするなどしてタイヤに平らな部分を作ってしまうこと。フラットスポットができるとタイヤが性能を発揮できないほか、バイブレーションの原因にもなり、ドライビングが困難になる。

ブリスター: タイヤの温度が上昇しすぎて、表面に気泡ができてしまうこと。タイヤのオーバーヒート状態。グリップ力が落ちる。

プルロッド: 引く力によって路面からの衝撃をショックアブソーバーに伝えるサスペンション方式。近年は反対に押す力を利用するプッシュロッドが主流の中、フェラーリがフロントにプルロッド式を選択していたものの、2016年からはプッシュロッドに戻している。

ブレーキ・バイ・ワイヤ:ドライバーのブレーキ操作を電気信号に変換し、電線(ワイヤ)を介してコンピューターで制動するシステム。F1においてはKERSの発展形であるERSが導入された2014年に、運動エネルギーを電気エネルギーに変換するMGU-KのパフォーマンスがKERS時代より向上し、リアホイールのブレーキトルク変動量が増大することに対応すべく採用された。

ルール改訂前はドライバーがフロントとリアのブレーキバイアスを調整することでエネルギー回生によるリアのブレーキトルク変動に対応していたものの、MGU-Kへの移行に伴って回生量が倍増したため、コックピットからの操作でブレーキバランスを取ることが難しくなった。2014年からはブレーキ・バイ・ワイヤシステムがドライバーのブレーキペダル操作を感知し、MGU-Kのエネルギー回生による抵抗と油圧ブレーキによる制動分を調整してブレーキ時の安定性を実現する。

フロービズ: マシンの一部に塗料を塗って走行し、その動きによって空気の流れを可視化すること。Flow visualization(フロー・ビジュアライゼーション)の略。オフシーズンのテスト走行やグランプリ週末のフリー走行で、フロービズを施して気流を確認している様子が散見される。

フロントウイング: クルマのノーズ(先端)の下に付いているウイングのこと。

フロントロー: スターティンググリッドの中で1番手と2番手が付く位置のこと。フロント(front)とは先頭のことをさし、ロー(row)は列のこと。つまり先頭列(最前列)を英語のままフロントローと呼んでいる。2列目以降はセカンドロー(second row - 3番手と4番手の位置)、サードロー(third row - 5番手と6番手の位置)・・・と呼ぶ。

ヘアピン: 約180度の急カーブ。その形が髪止めのヘアピンに似ていることから付いた名称。

ペナルティ: 他車の走行を妨害したり、クラッシュの原因となったり、ピットレーンで速度違反を犯すなど、レギュレーションに反する行為のあったドライバーにはペナルティが科せられる。ペナルティの裁定はスチュワードとして知られるレースオフィシャルが判断する。スチュワードが与えられる処罰は9通り。

1)5秒の停止ペナルティ。ドライバーがピットストップを実施する際に、他の作業をせずに5秒間停止しなければならない。レース終了までにさらなるピットストップを必要としていない場合はピットインしない選択も可能で、この場合はドライバーのレースタイムに5秒が加算される。レースの残り周回数が3周を切っていた場合もレースタイムに5秒を加算する措置が取られる。

2)10秒の停止ペナルティ。ドライバーがピットストップを実施する際に、他の作業をせずに10秒間停止しなければならない。レース終了までにさらなるピットストップを必要としていない場合はピットインしない選択も可能で、この場合はドライバーのレースタイムに10秒が加算される。レースの残り周回数が3周を切っていた場合もレースタイムに10秒を加算する措置が取られる。

3)ドライブスルーペナルティ。コースを離れてピットレーンに入り、停止することなく制限速度でピットレーンを通過してコースに戻る。もしレースの残り周回数が3周を切った時点でドライブスルーペナルティが適用された場合はレースタイムに20秒が加算される。

4)10秒間のストップ・アンド・ゴーペナルティ。ピットボックスに10秒間の停止を求められる処分。ピットボックスに停止中のマシンに対する作業は一切認められない。レースの残り周回数が3周を切った時点で処分が適用と判断された場合はレースタイムに30秒が加算される。

5)タイムペナルティ。チェッカーフラッグが振られた後のレースタイムに加算されるため、通常はドライバーの順位が後退する。当該ドライバーと後続のタイム差が大きい場合は順位に変動がない可能性もある。

6)戒告処分。同一シーズン中に3回の戒告処分を受けたドライバーは次戦で10グリッド降格のペナルティが科される。

上記6つのペナルティに対しては控訴が認められていない。

7)グリッド降格処分。通常であればレース後に下される次戦での降格ペナルティだ。危険運転などで審議対象になり、処分が必要と判断された場合に科せられる。チームはこの処分に対して異議申立てを行うことが可能。

8)リザルトのはく奪処分。問題を起こしたセッションの結果が抹消される。

9)翌戦の出走停止処分。次のレースへの出走を禁じられる最も量刑の重いペナルティだ。

2015年にはピットストップ作業において安全性に欠けるピットアウト(アンセーフリリース)が認められた場合、ドライバーに10秒のストップ・アンド・ゴーペナルティが科されることになった。また、フォーメーションラップ開始15秒前を告げるシグナル点灯時、グリッド上にチームメンバーあるいは機材が残っている場合、当該マシンはピットレーンからスタートしなければならない。

過去には、次回以降のレースを数戦出走停止となった場合や、ポイントはく奪という厳しい処分が下されたケースもある。

ペナルティポイント: ルール違反を繰り返すドライバーに出走停止処分にできるよう考案され、2014年から導入された制度。この制度の導入が検討されていた際、FIAレースディレクターのチャーリー・ホワイティングは「普通自動車免許と同じようなシステム」と説明している。

この制度の導入によって、スチュワードはドライバーのスーパーライセンスに対し、ペナルティポイントを科すことができるようになった。ポイントは加算された日から12カ月有効で、累積ポイントが12に達した時点でスーパーライセンスが次戦まで停止され、当該ドライバーは1レースの出走停止処分を受けた形になる。

ヘルメット:ドライバーの頭部を守るという役割は当然のこと、F1ドライバーのヘルメット内にはピットにいるチームスタッフと連絡できる無線機能も付いている。また、ドリンク用のストローを通す穴が空いており、ドライバーはレース中に水分を補給できる。最近ではヘルメットが空力パーツの一部として捉えられており、空力性能を考えたヘルメットを開発するメーカーもある。各ドライバーは独自のヘルメットデザインを有しており、ホームレースなど特別な機会にスペシャルヘルメットを投入することもあったが、頻繁にデザインを変更するドライバーが出てきたことから、2015年の開幕に先立ってレース観戦者が各ドライバーを認識しやすくするためにシーズン中のデザイン変更が禁止された。

ホイール: タイヤを装着する内側中心部分の金属製の部分。耐久性と軽量からアルミが多く使われている。

ホイールスピン: タイヤが空回りしてしまう状態。

ホイールテザー: クラッシュの際にホイールがマシンから脱落するのを防ぐため、ホイールとシャシーをつなぐロープ状のパーツ。ザイロン製。安全性の向上を狙って、2011年から各ホイールに2本ずつテザーを装着することが義務付けられた。

ホイールベース: フロントタイヤとリアタイヤの間の長さ。

ポイント: レースで1位から10位までの入賞者に与えられるもの。

2009年までは1位から8位までの8名にポイントが与えられていたが(1位から10点、8点、6点、4位以降は5点、4点、3点、2点、1点)、2010年シーズンよりグリッド枠が拡大することもあって、ポイントシステムが変更される。

【順位 獲得ポイント】
1位 25ポイント
2位 18ポイント
3位 15ポイント
4位 12ポイント
5位 10ポイント
6位 8ポイント
7位 6ポイント
8位 4ポイント
9位 2ポイント
10位 1ポイント

ポール・トゥ・ウイン: レースをポールポジションからスタートし、優勝すること。

ポールシッター: 予選で最速タイムをマークし、ポールポジションを獲得した者のこと。

ポールポジション: 予選で最速タイムを記録したドライバーに与えられる最前グリッドのこと。

ポディウム(表彰台): 毎グランプリ3位までに入ったドライバーがポディウム(表彰台)で表彰される。優勝ドライバーと優勝チーム(コンストラクター)の国歌が流され、トロフィーを授与される。その後はビゼー作曲の"カルメン"をBGMに、高級シャンパンをかけあってお互いの栄光を称え合うシャンパンファイトをする。開催国の宗教上の理由でシャンパンが使用できない場合はローズウォーターで代用されることもある。ポディウムでは各ドライバーともタイヤメーカーの帽子をかぶる。

マーシャル: スチュワード(競技委員長)らからの指示を受けてレース運営を円滑にするために活動するコース係員の役職名。旗を振ったり、ストップしたマシンの撤去作業などを担う。

マーブル: 走行時の負荷によってタイヤからちぎれ落ちたタイヤカスのこと。2011年にF1の単独タイヤサプライヤーとなったピレリは、ピットストップ回数を増やすべく摩耗の早いタイヤ製造を要求されたため、レーシングラインを外れたところに以前より大量のマーブルが落ちるようになった。ラインを外れてマーブルを踏んでしまうと、一時的にグリップが著しく失われてしまう。

マイスター: 意味は専門家。エキスパート。難易度の高いレースで何度も優勝したドライバーがあてはまる。モナコマイスターなど。

マシンカラー: 同じチームから出走する2台の車両はグランプリ期間中、2台とも同様のカラーリングでなければならない。異なるカラーリングを用いる場合は全チームの承認が必要。

マスダンパー: コーナー進入時など急ブレーキをかけた際の衝撃を吸収し、マシンのバランスを保つシステム。

緑旗/グリーンフラッグ: コース上の問題が解消され、手前のポストで出されていた旗が解除された場合に示される。

メカニカルグリップ: 空力的なダウンフォースによって得られるグリップ力ではなく、サスペンションなどの機械的な性能によって得られるタイヤのグリップ力のこと。

メカニック: 整備士。マシンの調整や整備などを担う人。

メディカルカー: クラッシュがあった際にすぐに現場に駆け付けるため、全レースにおいて医師を乗せた状態でピットレーン出口に待機している車両。2015年からはメルセデスAMG-C63 Sがその任に就いている。

メディカルセンター: すべてのサーキットに設置される医療施設。クラッシュ等でけが人が発生した際は、まずここに運ばれる。交代制で麻酔医や整形外科医らの医療スタッフが常駐し、手術室や蘇生装置を備えている。けが人にさらなる手当が必要だと判断された場合、サーキットに常にスタンバイしている救急車やメディカルヘリコプターで地元の病院に搬送される。

メディカルヘリコプター: 緊急で搬送する必要のある重傷者を地元の病院に運ぶための救急ヘリ。いつでも飛び立てるようパイロットが待機し、有事には医師と2人の救急医療隊員が乗り込む。霧や悪天候によってヘリコプターが離着陸できない状況の場合、セッションスタート時間の延期、もしくは中止といった措置が取られる。

モーターホーム: チームスタッフが活動の拠点とする"移動式の家(モーターホーム)"。ドライバーや関係者などが食事をとったり、報道陣やゲストなどが訪れる憩いの場としても活躍する。

モディファイ: 部分的な修正の意味。マシンに変更を施した際に用いられる。

モノコック: ノーズの後ろからエンジンの前までを占める車体の中心部分。カーボンファイバー製で、フランス語で「単一の」「殻」を意味する名前の通りに、フレームを持たない単一の構造からできている。この中にコックピットが設置されるため、最後にドライバーの生命を守るものとして"サバイバル・セル"とも呼ばれる。

翼端板: エンドプレートに同じ。

ライドハイト: 車高のこと。F1においては路面からマシン底面までの高さを指すことが多い。低い方が多くのダウンフォースを発生させるものの、低すぎるとバンプや縁石等でコントロールを失ってしまうことがある。2010年にはレッドブルが燃料の軽い予選とフルタンクの決勝の間に手動でライドハイトを調整している可能性が取りざたされ、ルール明確化を求められたFIAはパルクフェルメコンディションではライドハイトを調整してはいけないと明言した。

ラジエーター: エンジンを冷却するためのパーツ。

ラジオ/無線: ドライバーとピットとの通信システム。

ラバーグリップ: マシンがコースを走ることでタイヤのゴムが路面に付着して得られるグリップ。コース上の理想的なレコードライン(走行ライン)を各車が走行し続けると、そのラインにはタイヤのゴムが付着して黒く変色するようになり、ラバーグリップが増加する。レコードラインを外れると、ほこりやゴミが多く非常に滑りやすい。

リアウィング: クルマの後ろについている大きなウイングのこと。

リザルト: セッションの結果。主にはレース結果を指す。

リタイア: 走行を続けられず、レースを棄権すること。リタイアをする原因は大きく分けて以下の3つ。

メカニカルトラブル・・・何らかの原因でマシンが故障して走行が不可能、もしくは困難になった場合。スタートができない、ガス欠になった、という場合もある。
レースアクシデント・・・壁やバリア、他のマシンと衝突し、マシンが破損して走行不能となった場合。コースアウトをしてグラベルにはまり、タイヤが空転して動けなくなってしまいリタイアする場合もある。
失格によるリタイア・・・レギュレーションに著しく反する行為が行われた場合、該当するドライバーには黒旗とカーナンバーが掲示され、失格となる。また、セッション後の車検が行われる際にレギュレーション違反が見つかって失格となる場合もある。例外として、ドライバーやチームのメンタル面が原因でリタイアというケースもある。

レギュレーション: ルール、規約、規則。F1にはスポーティングレギュレーション(競技規則)とテクニカルレギュレーション(技術規則)がある。

レコードライン: サーキットにおける理想的な走行ライン。当然、このラインを走る方が速い。

レコノサンスラップ: 決勝レース前にピットレーンを離れたマシンがグリッドに着くまでの予備周回のことで、マシン状態やコースコンディションの確認が行われる。レコノサンス(Reconnaissance)は偵察、予備調査の意。フォーメーションラップ開始30分前にピットレーンがオープンになり、レコノサンスラップが実施可能になる。レコノサンスラップを終えたマシンはグリッドに着くが、ピットレーンを通過すれば複数の予備周回を行うことができる。レコノサンスラップを完了せず、自力でグリッドに到達できなかったマシンは、グリッドからレースをスタートすることができない。ピットレーンはフォーメーションラップ開始15分前にクローズされる。

ローリング: コーナーを曲がる際に遠心力でマシンが外側に傾くこと。

ロールバー: ドライバーの頭部保護用のパーツ。コックピット前後に設置されている。

ローンチコントロール/ラウンチコントロール: 直訳で発進制御。スタート時や加速時にタイヤの無駄なスリップを防ぐための装置。スタート時のおもしろさに欠けるとの声や膨大な開発費がかかることから、2004年以降、使用が禁じられている。

ロリポップ: 棒付きキャンディーの意味。ピットストップの際にマシン正面に出される。形が似ていることからロリポップと呼ばれる。表面に"BRAKE(ブレーキ)"、裏面に"1ST GEAR(1速)"と書かれているのが主流。スポンサーロゴが入ったロリポップを使用するチームもある。作業開始時に表面を、タイヤ交換終了と同時に裏面を見せる。すべての作業が終了したら上に持ち上げることでドライバーに"ゴーサイン"を出す。ピットクルーの中でロリポップを担当する者を"ロリポップマン"と呼ぶ。また、2008年シーズンにはフェラーリがロリポップおよびロリポップマンを撤廃し、"トラフィックライト(信号機)"システムを導入。主要なメカニックがボタンを押すと、ドライバーに"グリーン"ライトが掲示されるというものだが、人的ミスなどの問題が発生して話題になった。フェラーリ以外にもメルセデスなどが信号システムを採用している。

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