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ハミルトンが優勝、コースオフのミスが響きベッテルは2位

Jim
2019年6月10日
© Mark Thompson/Getty Images
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モントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットで日本時間10日(月)、2019年FIA F1世界選手権第7戦カナダGP決勝が開催され、メルセデスのルイス・ハミルトンが優勝を遂げた。

フェラーリとメルセデスの接戦が予想された予選はラストアタックで好ラップをまとめたフェラーリのセバスチャン・ベッテルが1分10秒240のコースレコードをたたき出してポールポジションを獲得。2番手にハミルトンがつけ、3番手にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が並んだ。

予選トップ10入りを競う重要な局面のQ2終盤、ハースF1のケビン・マグヌッセンが限界までプッシュしすぎたあまり、最終コーナーでクラッシュを喫して赤旗が振られてしまい、ライバルたちはタイム更新がかなわず。幸い、マグヌッセンにケガはなかったものの、マシンの損傷が激しく、一部のエンジンコンポーネントやギアボックスに加えてサバイバルセルも交換したため、マグヌッセンはピットレーンスタートを強いられている。

また、Q2で他車の走行を妨害したとしてカルロス・サインツ(マクラーレン)に3グリッド降格処分が科されたため、予選9番手だったサインツは11番グリッドに下がった。

ピレリがC3からC5と最も柔らかいコンパウンドの組み合わせを用意したモントリオールの一戦はQ3に進んだフェラーリとメルセデスの4台がQ2のベストタイムをミディアムタイヤ(C4)で記録しており、レースはそのミディアムのセットを装着してスタートした。

全長4.361km、半公道コースのジル・ビルヌーブ・サーキットで70周にわたって争われたレースは快晴の下、気温28.3度、路面温度51.1度、湿度19.1%のドライコンディションでスタート時刻を迎え、タイヤ選択が自由な陣営は9番手スタートのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)や12番グリッドに並んだアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)ら4人がハードタイヤをチョイス、それ以外は新品のミディアムタイヤを選んでいる。

緊迫のスタートではベッテルが好発進を決めてリードを取り、ルクレールがハミルトンに襲いかかるも2番手の座はハミルトンがキープする。ほとんどのドライバーが順調にレースを始めていったが、中団グループではトロ・ロッソのアレキサンダー・アルボンがフロントウイングを破損して緊急ピットインを強いられた。リプレー映像を見ると、アルボンはターン1を通過後、ターン2にかけてレーシング・ポイントのセルジオ・ペレスとジョビナッツィの間でサンドイッチ状態となり、ペレスのマシンとノーズが接触した結果、フロントウイングを失ったようだ。

アルボンはノーズを交換し、タイヤをミディアムからハードに履き替えて最後尾につき、4周目に入るタイミングでサインツが最初のタイヤ交換を済ませた。

オープニングラップからランド・ノリス(マクラーレン)を追いかけるフェルスタッペンはヘアピンでノリスがわずかにふくらんだところをオーバーテイクしたものの、次の直線で抜き返されている。ノリスはソフトタイヤを履いているが、ペースはハードのフェルスタッペンも劣っていない。直線の速さを示したマクラーレンだが、フェルスタッペンが7周目に入る手前でオーバーテイクを成功させ、8番手に上がった。

一方、もう1台のレッドブルを駆るピエール・ガスリーは7周目の終わりにピットインし、ソフトからハードに履き替えている。この動きを見てか、ルノーもダニエル・リカルドをピットに呼び入れ、ハードタイヤを履かせてコースに送り出した。リカルドがピットレーンを出てきたところ、右リアにトラブルを抱えたノリスがスローペースで接近、リカルドは無事にコース復帰し、ノリスはピットレーン出口を過ぎたランオフエリアにマシンを止めている。最終コーナー手前でバランスを崩しており、無線で「右リアがパンクした。何かが起きたみたい」と報告したノリスはどうやらブレーキトラブルに見舞われたようだ。

ソフトタイヤでスタートした入賞圏内のドライバーが最初のピットストップを終える中、ルノーのニコ・ヒュルケンベルグだけは第1スティントを長くとり、スタート後に先行を許してしまったメルセデスのバルテリ・ボッタスが頭打ちを食らって本来のペースを出せずにいた。15周目に入った時点でボッタスはトップから21秒以上遅れ、後方にはコンマ数秒差でフェルスタッペンが迫っていた。

ヒュルケンベルグがピットに向かったのはベッテルが17周目を走り始めた後だ。ハードタイヤを選んだヒュルケンベルグは相棒リカルドから4秒弱の位置で隊列に復帰している。前が開けたボッタスは自己ベストを刻んでチャージをかけ、真後ろに陣取るフェルスタッペンも遅れずについていこうとしたが、フロントタイヤに苦戦している様子で徐々にギャップが開いていく。

コンマ数秒差から一時は2秒以上遅れたフェルスタッペンだが、ボッタスもまたリアのトラクションに苦しんでいたようで、それ以上のギャップになることはなかった。ベストな状態とは言えない中でも自己ベストタイムを刻みながらプッシュしたボッタスとフェルスタッペンは1分16秒後半のペースをキープしている。

26周を走ったところでタイヤがきつくなり始めていたベッテルがピットに向かい、ハードタイヤに履き替えて3番手の位置でコースに戻った。メルセデスとハミルトンは動かずにステイアウトしてオーバーカットを目指そうとするも、フレッシュタイヤを履いたベッテルのペースが素晴らしく、29周目を前にピットストップを実行している。ボッタスはチームメイトから2周遅れてハードタイヤに履き替え、ルノー勢の間、6番手の位置で第2スティントをスタートさせた。

ベッテルとハミルトンのタイヤ交換でラップリーダーに躍り出たルクレールは「プランB」の戦略にすると伝えられており、エンジニアからは「今のペースを保って長く行こう」との無線連絡がもたらされていたが、32周目の終わりにタイヤ交換を完了している。この時点でまだ第1スティントを続けていたフェルスタッペンとサイド・バイ・サイドの状態でコース復帰するも、ひとまずはフェルスタッペンの後ろでチャンスを待つ。

そこから14秒ほど後方ではリカルドとボッタスが接近戦を繰り広げ、ストレートで並んできたボッタスをリカルドがうまく防御してポジションを守った。同じタイヤを履くハミルトンが1分15秒前半で走る一方、ボッタスは1分16秒半ばと1秒以上遅く、本来のペースを発揮できないフラストレーションをあらわにしていた。

数周をはさみ、バックストレートでリカルドを追い抜いたボッタスは、直後こそリカルドの反撃をかわさなければならなかったものの、体勢を整えてからはハミルトンに匹敵するペースまで上げてリカルドを引き離しつつ、前のフェルスタッペンを追いかけた。まだピットに入っていなかったフェルスタッペンとのギャップは14秒強あったが、すでに40周以上を同じタイヤで走り続けるフェルスタッペンとのペース差は1.8秒前後あり、間隔はラップごとに縮まっている。

その頃、先頭を走るベッテルにハミルトンが接近しており、28周を残して2人の差は1秒を切った。ハードタイヤのロングランはメルセデスの方がフェラーリよりも若干ペースが良いようで、ボッタスが1分14秒台に入れてファステストラップを更新すると、ハミルトンもベッテルを追走しながら1分14秒台にペースアップしている。2台ともクリーンエアを得ているフェラーリ勢のラップタイムは1分15秒前半だ。

ベッテルとハミルトンが周回遅れの2台に接近した48周目、ハミルトンのプレッシャーに焦りがあったのか、ベッテルがコースを飛び出して芝生に乗り上げてしまう。当然、追い抜きを仕掛けたハミルトンだったが、ベッテルがコース復帰しようとしたところと重なってしまい、ふらつくベッテルにウオール側へと押しやられてしまった。幸い、接触やクラッシュは免れたものの、ベッテルのリードは変わらず、ヒヤリとしたハミルトンは仕切り直しを余儀なくされた。

この一件は審議対象となり、しばしの時間を要した末に、スチュワードはベッテルが安全性に欠ける状態でコースに復帰したとして5秒のタイムペナルティを科している。ハミルトンとのインシデント以降、ペナルティの可能性を考慮してかファステストラップを更新するペースまで上げていたベッテルはリードを2秒以上に広げて裁定を待っていたが、スチュワードの判断を聞いて「行き場がなかったんだ」と訴える。ベッテルの5秒以内をキープする必要のあるハミルトンは「もっとペースが必要!」とチームに伝えて終盤のバトルに備えた。

その間、49周を走破して最初で最後のピットストップを済ませたフェルスタッペンはユーズドのミディアムタイヤを履いてヒュルケンベルグの真後ろにつくも、タイヤの利点を生かしてルノーマシンをオーバーテイク。続いてもう1台のルノーをターゲットに猛追し、昨年までチームメイトだったリカルドをもかわして5番手に浮上している。

チェッカーまで8周となった終盤、アルボンがピットに戻ってマシンをリアからガレージに入れる。トロ・ロッソによると、エンジニアがマシンに問題を発見したとのことで、リタイアせざるを得なかったようだ。

ハミルトンがベッテルとのギャップを縮める一方、ボッタスが67周目を走っていたところ、メルセデスからピットインの指示が飛ぶ。5番手のフェルスタッペンとは十分なタイム差があったため、ソフトタイヤに履き替えてファステストラップの更新を狙う戦略だ。

ボッタスが柔らかいコンパウンドに履き替えている中で、コース上では9番手のランス・ストロール(レーシング・ポイント)を追いかけていたサインツを、後方からクビアトがオーバーテイクする。サインツはポイント圏内から脱落し、クビアトが10番手に上がっている。

ソフトタイヤを履いたボッタスが1分13秒078のファステストラップを刻んでファイナルラップに入り、ベッテルが最初にチェッカーフラッグを受けるが、5秒ペナルティが加算されるため、1.342秒差でフィニッシュしたハミルトンがウイナーとなった。3番目にゴールしたルクレールはベッテルに6秒と少し遅れていたため、ベッテルが2位、ルクレールが3位でフェラーリがダブル表彰台を達成している。

4位以下、入賞はボッタス、フェルスタッペン、リカルド、ヒュルケンベルグ、ガスリー、ストロール、クビアトだ。

カナダからヨーロッパへと戻るF1サーカスは2週間後にフランスで再集結する。シーズン第8戦フランスGPは21日(金)に開幕、金曜フリー走行1回目は日本時間18時にスタートする予定だ。

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