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無線では終始弱気だったハミルトン

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2019年5月27日 « 「期待を上回るいい結果」とグロージャン | あわやマーシャルと接触しかけたペレス »
© BORIS HORVAT / AFP
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モナコGPで記憶に残る勝利を挙げたルイス・ハミルトンだが、レースの最中はチームの戦略に疑問を投げ掛け、このままではリードを失ってしまうと弱気な発言を繰り返していた。

序盤にセーフティカーが出動したことで、上位のドライバーたちは予定より早く1回目のピットストップを強いられた。ハミルトンとメルセデスのチームメイト、バルテリ・ボッタスはミディアムタイヤに交換し、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とセバスチャン・ベッテル(レッドブル)はそれよりも寿命の長いハードタイヤを履いた。ボッタスはピットレーンでフェルスタッペンと絡んでしまったため、すぐにまたハードタイヤに交換。これで彼は4番手に下がり、フェルスタッペンがハミルトンを追いかけることになった。

この判断によってハミルトンは彼が間違いだと感じたタイヤでレースを最後まで走り切らなければならなくなった。自分たちがモンテカルロのサーキットで苦しい立場に立たされていることに彼はすぐに気付いていた。それでも、タイトでツイスティなこのサーキットでリードを手放すことはなく、最終的に緊迫した戦いを制して勝利しているが、本人の発言を見る限り、それができるとは考えていなかったようだ。

モナコのレース中、彼とレースエンジニアのピーター・ボニントンの間では次のような無線メッセージが交わされていた。

【21周目】
ハミルトン: 「聞いていい? ジェームス(ボウルズ/メルセデスのチーフストラテジスト)は僕がこのタイヤでまずい状況だと考えてる? 今スーパースローにドライブしていて、どれぐらい持つか分からないんだけど」

ボニントン: 「マネジメントを続けて。レースの流れはこちらにやってくるから」

【36周目】
ハミルトン: 「僕にハードタイヤ(を装着すること)は検討した?」

ボニントン: 「必要があれば、もう一度ピットインすることを検討する。フェルスタッペンもグレイニングを抱えていて、君よりもひどそうだ」

【42周目】
ハミルトン: 「このタイヤ、間違いだよ。ひどい状態だ」

【52周目】
ハミルトン: 「どうしよう、大きな問題だ。左フロントが終わった・・・」

ボニントン: 「われわれは自信を持っているよ、ルイス。グロージャンはソフトで39周(を終え)、まだ走り続けている」

【56周目】
ハミルトン: 「レースに負けちゃうよ、ボノ。もうこれ以上タイヤをケアできない、終わってるんだ!」

ボニントン: 「考えている。上位のマシンと同じペースを出せて、君がフェルスタッペンを抑えることができたら、彼らをパスする必要はなくなるんだ・・・」

ハミルトン: 「抑え切れないったら! ボノ、見て分かんない?」

ボニントン: 「うん、よく分かっているよ、ルイス。フェルスタッペンはずっとそこにいるね」

【58周目】
ハミルトン: 「何を考えてこのタイヤを僕に履かせたのか分かんないよ、もう。奇跡を期待するしかないから!」

【69周目】
レッドブルがパワーを上げてアタックしていいとフェルスタッペンに伝えたことを知らされ――

ハミルトン: 「そう、そりゃ素晴らしいニュースだ!」

パワーブーストを得たフェルスタッペンは残り3周のところで思い切った飛び込みを見せた。これは楽観的過ぎる動きで、2台は軽く接触。それでもハミルトンはポジションを守り、ダメージなくチェッカーフラッグへとたどり着いた。

ハミルトンはニキ・ラウダにささげたこの勝利によって、チャンピオンシップでボッタスに17ポイントのリードを築いた。

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