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アロンソのF1復帰が当面ないと思われる理由

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2019年4月5日 « リカルドと同郷のクリケット選手がシューイを目指す | ルクレール、中国でもバーレーンのエンジンを使用 »
© Lars Baron/Getty Images
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今週、F1マシンのコックピットに再び乗り込んだフェルナンド・アロンソだが、彼にはシリーズへの完全復帰を熟考する前に証明しなければならないことがある。

将来的な復帰の可能性については彼もマクラーレンもオープンな考えを見せているものの、バーレーンでのタイヤテストを終える前からアロンソはすぐにそうなる可能性を否定している。この直前にはカラハリ砂漠でトヨタのラリーカーをドライブしてからやってきたアロンソ。そうした行動からも今の彼の考え方が見て取れる。

2018年のF1シーズンをほぼ通して、2度のワールドチャンピオンが本心からそこにいることを望んでいるようには見えなかった。マクラーレンとの戦いは4年目を迎えたが、いまだに表彰台はおろか、トップ6にも近づけない状況に彼はイライラを募らせていた。2017年と2018年はF1以外にもインディ500や世界耐久選手権(WEC)にも同時参戦しており、今年の彼のプライオリティーがどこにあるかは明らかだった。

昨年のル・マン24時間を制したトヨタでこのまま行けばアロンソが2018-2019のWECチャンピオンになるのはほぼ確実とみられるが、彼にとって最大のイベントは今年の5月――2度目のインディ500挑戦だろう。ル・マンをクリアした今、あとはブリックヤードでの勝利さえ達成すれば、特別な名誉を獲得することができるのだから。

インディ500で優勝すると、アロンソは1960年代と1970年代にグラハム・ヒルだけが達成している世界3大レース(インディ500、ル・マン24時間、モナコGP)制覇――非公式にモーターレースのトリプルクラウンと呼ばれるものを成し遂げることになる。その偉業を果たすことで、彼は同世代で最も完成されたドライバーという定評が本物であると証明できる。それは2014年にフェラーリを去って以降、F1では証明できなかったと彼が感じているものだ。

バーレーンでテスト中、F1の外で何がしたいのかと尋ねたところ、アロンソの答えはシンプルだった。

「世界で一番のドライバーになりたい」と彼は述べた。「僕は自分がそうだと思っている」

「他のみんなも自分がベストだと思っているだろうけど、それを証明するのは難しい。特にF1ではそのシーズンの正しいパッケージを持っていなければ、証明することができないんだ。僕は何年も何年もF1で強い競争力を示し、幸運なことにチャンピオンシップを取ることもできた」

「昨シーズンだってまだ全盛期だったよ。チームメイト(ストフェル・バンドールン)に対して(予選で)21勝0敗だった。そこまでの強さはこれまでのキャリアでも見られなかったものだ。そしてル・マン24時間で勝ち、デイトナで勝ち、セブリングで勝った。できればインディ500でも競争力を見せたいし、他にもアスファルトの上だけじゃなく、スポーツでまだ前例のないことだってできるんじゃないかと考えているんだ」

F1時代のアロンソは、その年のマシンの競争力に関係なく、全てのシーズンで常に速さでチームメイトを上回り続けた。若きルイス・ハミルトンと組み、同ポイントを獲得しながら共にタイトルを逃した不名誉な2007年を除き、一部を挙げるだけでもアロンソはフェリペ・マッサ、キミ・ライコネン、ジャンカルロ・フィジケラ、ヤルノ・トゥルーリらに圧勝している。

これからも彼はレースを続けるかどうかの指標としてチームメイトとの比較を参考にするという。

いつまでレースを続けるかとの質問に、「そうするパワーがあって、コンペティティブだと感じられる限りは(続ける)」と彼は答えた。「いつか、僕がF1マシンに飛び乗って、同じマシンで僕より速い誰かが出てくるかもしれない。あるいは、他のクルマに乗って、それと同じクルマで僕より速い誰かが現れるかもしれない。でも僕の知る限り、今まで一度もそんなことは起きなかった。だから僕はドライブし続ける」

アロンソの他への挑戦を、退屈したレーサーがレースカーでもう一度楽しみを見つけようとしているのだと捉える向きもある。彼がタイトルを獲得したのは2005年と2006年のことで、最後のF1勝利は2013年の半ばだった。それも理由の一部ではあるのかもしれないが、どの新しい冒険にもそれぞれに自分のスキルを試される要素があるのだと彼は主張する。

「僕はそれを求めているんだ、チャレンジをね。楽しむためにやっているんじゃない。たまに僕が何かをテストしていると、"君が楽しそうなのはうれしいけれども、どうかF1に戻ってきてくれないかな"というような意見を見かける。まるで、"本当の仕事に戻ってこい、こっちの方が楽しいぞ"みたいな感じでね。僕は他のクルマを試している時にそれを楽しんでいるわけじゃない。全く予想もつかないし、乗り方を教えてもらう必要がある。ラリースタイルだと、フルスロットルとブレーキを同時にするんだよ」

「僕らはスロットルを開けるかブレーキを踏むか、どっちかだ。両方同時にってことはあり得ない。そうやってゼロから学ぶ必要がある。バンプを読んだり、状況を読んだりしなきゃならない。どのチャレンジの裏にも大変な努力が必要だったし、たくさんの勉強をしてきた。面白半分でやっているわけじゃない。僕は困難のため、チャレンジのためにやっているんだ。ドライバーとして成長したい、それだけのためにね」

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