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バーレーンで真価を問われるフェラーリ

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2019年3月23日 « ハミルトンとリカルドは意外な名コンビ? | フェラーリのバーレーンテストにミックが参加 »
© Robert Cianflone/Getty Images
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2019年の開幕戦で最大のショックをもたらしたのは、メルセデスと比較したフェラーリの大苦戦だった。プレシーズンテストを終えた段階では、予選ラップでもロングランでもSF90が最も優れていると考えられていたが、アルバート・パークでの様相は明らかに違った。

セバスチャン・ベッテルは予選で最速のメルセデスに0.7秒の遅れを取り、日曜日に58周を走り終えた頃にはレースウイナー、バルテリ・ボッタスとの差は57秒にまで拡大。予想しやすくハンドリングの応答性が良かったはずのテスト中のフェラーリは、ベッテルとチームメイトのシャルル・ルクレールの記憶の中で遠い昔のものとなってしまい、どちらもマシンからポジティブな反応を得るのに苦労した。では一体、プレシーズンの速さはどこへ行ってしまったのか?

「僕らは全体的には強かったと思うんだ。バルセロナで最強の一角だったのは間違いない」とベッテルはレース後に語った。「どれくらい? その答えが出ることはないよ。でも、それは関係ない。関係あるのは僕らがバルセロナで感じていたものがここではなかったってことだ」

「僕らの側としてはパーフェクトな週末じゃなかったし、クルマの感触も良くなかった。とにかく遅かったんだ。まだまだ解放できるポテンシャルがたくさんあるのは分かっているよ」

F1から提供されたデータを詳しく調べると、メルセデスとの比較でフェラーリのラップタイムは大半が中速コーナーとストレートで失われていることが分かる。ちなみに中速コーナーは時速125kmから175kmで通過するコーナーのことで、アルバート・パークのコーナーの大部分がこれにあたる。さらに、バルセロナとは対照的に、中速コーナーのうち5つはメルボルンに6つあるストレートにつながっており、出口でのもたつきによって失われたタイムは次のブレーキングゾーンにまで響いてしまう。

メルセデスと比較して、フェラーリは中速コーナーでざっと1周0.25秒、ストレートで0.4秒近く失っている。ところが、高速コーナーでの差は非常にわずかだ。この中速と高速での著しいパフォーマンス差からフェラーリはマシンの問題の原因を区分できるはずであり、シルクイート・デ・バルセロナ・カタルーニャで彼らが速かった基本的性質はまだ残っているはずだ。

「当然ながら、何が主な制約だったのか、他のマシンと比較した分析を行うことになる」と17日(日)の夜にチーム代表のマッティア・ビノットは語った。「一般的なことを言えば、予想したほどのグリップがわれわれにはなく、バランスも良くなかった。そうなるとコーナーでのマシンバランスが悪くなり、(コーナーを)良い状態で脱出できない」

コーナーのタイプ以外にテストと初戦で大きく違っていたのは路面状況だ。シルクイート・デ・バルセロナ・カタルーニャは2018年のプレシーズンテスト前に再舗装されており、まだかなりスムーズだ。1年の熟成を経て、比較的高グリップの路面といえる。アルバート・パークのコースは1年の大半を公道として使用されており、その結果バンピーで低グリップとなっている。週末が始まった段階ではラバーも全く乗っていない。

「ここのコンディションは確かにバルセロナと違う。もっとバンピーだし風も強く、温度も気象状況も違う」とビノットは付け加えた。「そのため、マシンのパフォーマンスに影響したと思われる外部要因は間違いなくある」

「しかし、われわれは正しい(タイヤの作動)ウインドーや正しいマシンバランスを見つけられなかった。すでに述べた通り、まだ完全には理解できていない。これから理解するために努力しなければならない部分だ。今日とこの週末から1つだけ確信しているのは、これがわれわれのマシンの本当のポテンシャルではないということ。間違いなくこれよりも大きなポテンシャルがあると考えているし、週末を通してそれを発揮することができなかった」

マシンバランスの悪さはコーナリングスピードの低下につながっただけでなく、ベッテルのタイヤマネジメントにも悪影響を及ぼした。レースでフェラーリはアグレッシブな戦略を採り、ベッテルを14周目にピットインさせてソフトコンパウンドのタイヤからミディアムへと履き替えさせた。理由の1つには、ルイス・ハミルトンをアンダーカットして2番手を狙ったというのもあるが、レッドブルのマックス・フェルスタッペンからベッテルが同じことをされるのを防ぐ意味もあった。

この戦略は12周目にアルファロメオ・レーシングのキミ・ライコネンが入ったのを皮切りに、複数の中団勢が早めにピットインしたことによって可能となった。ベッテルはタイムを失うことなく、コース上にできた空間に戻っている。大胆な作戦はいったんは成功したかに見えた。ベッテルが速いアウトラップを刻んだのを見て、ハミルトンも15周目にタイヤ交換のためのピットインを強いられた。だが、タイヤデグラデーションが始まるとペース改善への期待は急速にしぼんでいってしまった。

ミディアムコンパウンドでのパフォーマンスロスがあまりにもひどかったことから、フェラーリは14周後にピットインしたルクレールにはハードタイヤを履かせた。2人の戦略のうち速かったのは明らかにルクレールの方で、彼は耐久性の高いラバーで第2スティントをハードにプッシュすることができ、急速にチームメイトに追いついていった。だが、ベッテルは自分のレースペースの悪さが戦略だけのせいではないと考えており、週末を通してフェラーリをたたったバランスの悪さを見ると、もっと基本的なところに問題が根ざしているのではないかと考えている。

「正直なところ、ミディアムタイヤでの第2スティント全体が良くなくて、はっきりした理由が分からないんだ」と彼は述べた。「第1スティントはそこそこハッピーだったけど――シャルルの場合はその逆かもね――第2スティントはそうじゃなかった。今の段階では確信がないけど、理由は必ずあるはずだ――どう考えても何かが起こっていた」

「第1スティントであったクルマへの信頼や感触がなくなり、第2スティントの間ずっと全体のペースに苦しんでいた。最後はタイヤがひどい状態だった」

「ピットに入るのがちょっと早かったっていうのはまあ、事実かもしれないけど、同じ頃にストップしても最後までそれほど苦しまなかった人たちがいたのも確かだ。だから僕は戦略のせいだとは思わないんだよね」

来週末のバーレーンGPは常設サーキットでのレースとなる。路面はメルボルンよりかなり粗く、アルバート・パークでSF90を不安定にさせたバンプもない。ストレートの前にあるのはフェラーリの苦手な中速コーナーではなく、エイペックススピードよりもトラクションが重視される低速コーナーが中心だ。バーレーン・インターナショナル・サーキットにもバルセロナと違う部分は複数あるものの、オーストラリアでのフェラーリ苦戦の考察が正しければ、アルバート・パークよりはSF90に合うはずだ。

だからと言って、フェラーリがオーストラリアのパフォーマンスを心配する必要がないということではない。カレンダー上には同じような路面コンディションのコースが他にもある。それでも、バーレーンでのパフォーマンスは、残りのシーズンの展開を量るバロメーターとしてはるかに適したものとなるのは確かだろう。

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