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リカルドが斬新なヘルメットに込めたメッセージ

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2019年3月22日 « 「数年前まで僕は生きるために闘っていた」とクビサ | ハミルトンとリカルドは意外な名コンビ? »
© WILLIAM WEST / AFP
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ダニエル・リカルドの2019年ヘルメットに記された"誰かになるな"のメッセージ。オーストラリアGPを前にメルボルンのパドックに登場した瞬間から、この大胆な言葉は周囲の目をくぎ付けにした。

リカルドはオフシーズン中に誰もが知るレッドブルからルノーF1チームへの移籍を完了したばかりだったため、このデザインがちょっとした波紋を広げるのにそう時間はかからなかった。しかし、メッセージは決して彼の前チームに向けたものではなく、単純に彼が2019年以降に体現したいことを宣言しただけなのだという。

「レッドブルに向けたものじゃないよ。ただ(ルノーで)自分のしたいことを何でもできる自由を得て、それなら何かクレイジーで違ったことをしてみようかって考えただけ」とリカルドはヘルメットのデザインについて説明した。「つまり、"誰かになるな"っていうのは基本的に自分を励ますためのもので、トレンドに流されちゃいけないっていう戒め。自分の好きなやり方があるんだったら、大胆にそうしろってことさ」

29歳のリカルドは元々F1の中では他とは違う風変わりなドライバーだ。記者会見ではいつも真っ先にジョークを飛ばして場を和ませており、癖のある彼のユーモアと印象的な言い回しは現代F1ではなかなか貴重なものとして広く愛されている。

たとえ彼が大胆でないことがあったとしても、批判することは誰にもできないだろう。ルノーは数年にわたって中団グループに埋もれており、フランスメーカーチームへの電撃移籍は多くのリスクをはらんでいる。しかし、肝の据わった今回の賭けは、彼が普通というものには縛られないということを世界に知らしめた。彼は彼であり続けるだろう。

リカルドにとって2018年末の大きな変化はルノー移籍だけではなかった。彼は長年のマネジャーだったグレン・ビーバスの元を離れ、サッカーのクリスティアーノ・ロナウドやNBAのドウェイン・ウェイドも所属する『CAA Sports(クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー・スポーツ)』と契約を結んだ。リカルドが名声を望み、レッドブルのしがらみから抜け出そうとしているのは明白だ。これまでの彼はほぼ365日のプロモーション活動に駆り出されていた。

「すっごく良かったのは、6週間空港に行かなかったことさ。あんなに長く飛行機に乗らなかったのはこの10年間で最長だと思う」と、このオフシーズンで最も楽しかったことを聞かれ、リカルドは答えている。「僕はアウトドアが好きだし、友達と遊んで、たまにはビールを何本か空けるのもいい」

彼の母国レースで1年の最初のイベントということもあり、オーストラリアGPの週末が極めて多忙なものになることは初めから決まっていた。タラマリン空港に降り立った瞬間から彼はファンと、新シーズンに向けた最新の状態を聞きたがるメディアに囲まれてしまった。

リカルドはいつもの陽気さと気前の良さでその全てに対応していたが、これまでのシーズンにはなかった落ち着きのようなものがそこには感じられた。それがどんな理由によるものであれ、彼は自分自身にも、今の生活にも以前より満足しているように見える。

「ダニエルの加入はチームにとって素晴らしい影響があった」とルノーのシリル・アビテブールは金曜フリー走行の前にメルボルンで述べた。「彼の内面は外から見たそのままのものだし、もうすでに素晴らしい貢献をしてくれた」

フリー走行はリカルドにとってまるでジェットコースターのような展開だった。初日はシートベルトのトラブルで走行時間を大きく削られ、その後も出遅れ感が消えることはなかった。予選でのQ2敗退というのは彼もルノーもシーズンのスタートで想定したものではなく、リカルドは6列目のグリッドに並ぶことになった。

レースになっても状況は改善しない。リカルドは1コーナーも回らぬうちにフロントウイングを失い、オープニングラップでピットイン。一度最後尾まで落ち、31周目にリタイアしている。

週末はリカルドの計画通りにはいかなかったかもしれないが、これはまだ2019年の21戦のうちの1つ。チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグは新チームで全てがかみ合うようになるまでに少し時間がかかるだけだと述べた。

「彼はうまくチームに溶け込んだと思うけど、ドライバーとして完全になじむためには少し時間が必要だ」とヒュルケンベルグ。「新しい革靴みたいなものだよ。柔らかく、自分になじんで、歩きやすい靴になるには少し時間がかかる。彼は今そのプロセスの最中なんじゃないかな」

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