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フォーミュラEのアガグがSUVのシリーズ「エクストリームE」創設へ

M.S.
2019年2月1日 « 「夢見たF1とは違っていた」とマグヌッセン | ザウバーがチーム名を「アルファロメオ・レーシング」に変更 »

フォーミュラEのプロモーターが地球上で最も過酷な環境における電気自動車によるレーシングシリーズを創設するプランを発表した。

2021年1月に最初のレースを開催する予定の"エクストリームE"は、世界的な気候変動の中、オフロードをレースすることで環境の持続性についてのメッセージを発信していくもの。地球温暖化による環境的問題に光を当てるべく、北極圏やヒマラヤ、サハラ砂漠、アマゾンの熱帯雨林、インド洋の海抜の低い島々での開催を計画している。

レースではオール電化のSUVが10km以上のステージで直接対決。12のチームが1台のマシンでエントリーし、年間5ラウンドを戦う。カーボンニュートラルなこのシリーズは元英国郵便船のRMS St Helena(セントヘレナ号)上にパドックをおき、この船でレースからレースへとマシンやチームメンバー、備品等が運ばれる。

ライブ放送はないものの、アカデミー賞を受賞した経験のある映像作家フィッシャー・スティーブンスがドキュメンタリーシリーズを編集する。このドキュメンタリーは各レースのストーリーと合わせ、舞台となった地域に影響している環境問題を取り上げる。このシリーズの目的は訪れた地域を手助けするプロジェクトに参加し、最終的には到着したときよりも持続可能性に優れたコンディションを実現して去ることにある。コースには当然のこと、ファンもクラッシュバリアも看板のたぐいもなく、ステージの概要はドキュメンタリーの編集によって示される。

シリーズのアイディアはフォーミュラE創設者のアレハンドロ・アガグと、マクラーレンのスポーティングディレクターであり、エクストリームEの会長でもあるジル・ド・フェランの雑談から生まれた。アガグはこのプロジェクトやそれが描き出すメッセージについて、フランスの探検家にして環境活動家のジャック・クストーにインスピレーションを得たと語っている。

セントヘレナ号の船上で行われたエクストリームEのローンチイベントにて、アガグは「海への憧れは私が子どもの頃に始まった。その理由はたった一つ。フランスの生物学者、ジャック・クストーのドキュメンタリーを見たからだ」と述べた。

「あのドキュメンタリーを見てから私の見方が変わった。海への愛も変わった。ドキュメンタリーにはそれほどの力があるのだ」

「そして、何よりジャック・クストーは私に夢を与えてくれた。彼はカリスポという船を持っていたからだ。私の夢はこの船(セントヘレナ号)が新たなカリスポ、21世紀のカリスポになること。しかし、これはただ言えばいいというものではなく、勝ち取らなければならない名声であり、だからこそ私はこの船が巨大なアドベンチャーと探検を見せるものになることを願っている。(クストーが描いたような)美しい環境ではなく、われわれのこの星が直面している非常に大きな問題を示す船だ」

SUVにはフォーミュラEと同様のテクノロジーが使われるものの、パワーは2倍になり、4輪駆動が採用される。マニュファクチャラーはマシンを駆動するモーター発電ユニットを開発することが可能で、公道を走行するSUVに似せてボディワークを加工する自由もある。一方、バッテリーはフォーミュラEと同じく、マクラーレン・アプライド・テクノロジーが供給する。また、早くも第2シーズンには第2世代のエクストリームEの車両として、液体水素燃料セルが導入される予定だ。予算は各チーム500万ポンド(約7億1,000万円)ほどに限定され、公平な競争を期すべく、マニュファクチャラーは独立系チームと技術を共有しなければならない。

まだ契約を結んだドライバー、チーム、開催地はないものの、アガグは自動車メーカー9社がすでに関心を示していると説明。タイヤサプライヤーについてはコンチネンタルタイヤが創設パートナーになることが決まっている。このシリーズはアガグとその他の投資家によって"潤沢に投資されたベンチャー"になるという。

「われわれは各メーカーと話し合っており、このシリーズはマニュファクチャラーにとって素晴らしいプラットフォームだというのが私の個人的な意見だ。なぜなら、彼らは公道を走る一般車両として販売するマシンを参加させることができるからだ。また、マニュファクチャラーが電気自動車、特に電動SUVを走らせる際には、非常に重要なメッセージがある。すなわち、それらのマシンが暑くても寒くてもあらゆる気温で、いかなる路面でも、いかなるコンディションでも走行できるというメッセージだ。これはマニュファクチャラーにとってとても魅力的なコンセプトだと私は考えている」

31日(木)にロンドンのテムズ川で開かれたイベントに使われたセントヘレナ号は、数百万ポンドにおよぶリノベーションを経て、貨物室に12台のマシンを収容できるよう改修されている。この船には各チームやドライバー、組織の拠点が置かれるほか、研究船として使用することも可能だ。

レースに適したロケーションを探すため、エクストリームEはイギリスの探検家かつ環境保護主義者のデビッド・デ・ロスチャイルドを"チーフエクスプローラー"に任命。地域の環境システムにダメージを与えることなく極限的な環境でレースすることを目的とすることから、各政府はレース開催について前向きに検討するとアガグは考えているようだ。

「われわれが望んでいることを知れば、各政府はこのコンセプトにおおいに関心を持つだろう。フォーミュラEにおいては"どうやって市街地でのレース許可を各都市から取るか"が大きな問題だったが、その答えは実にシンプルで、"われわれはエレクトリックだから"に尽きる。これらのエコシステムにある政府にとっても、それはあてはまるだろう」

「同時に、面積もごく小さい。われわれは10kmのループを4つ設定する予定だが、大きな面積を占有するつもりはない。まだ政府との話し合いは始まっていないので、調査が始まれば政府との話し合いに取り組むことになるだろう。しかし、フォーミュラEと各都市の話し合いよりも容易になると見ている」

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