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「夢見たF1とは違っていた」とマグヌッセン

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© Mark Thompson/Getty Images
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ハースF1チームのドライバー、ケビン・マグヌッセンはいつか、毎回7位を目指すのではなく、自分にも上位フィニッシュするチャンスがあると知ってグランプリ週末を迎えられる日が来ればいいと考えている。

デンマーク人のマグヌッセンは2018年にキャリア最高のシーズンを過ごし、ランキング9位でフィニッシュした。彼とチームはメルセデス、フェラーリとレッドブルのトップ3に次ぐ"ベスト・オブ・ザ・レスト"を巡る戦いの渦中で1年の大半を費やし、アメリカチームは最終的にルノー・スポールF1チームの後ろ、5位でフィニッシュしている。

近年は先頭と最後尾のギャップが大きく開く傾向が続いており、2014年にV6ターボハイブリッドエンジンが導入されて以降、トップ3圏外のチームがレースで勝ったことはない。中団チームの表彰台獲得は何度かあるが、2018年はセルジオ・ペレスが3位に入ったアゼルバイジャンGPの一度きりだった。

2017年から2018年にかけてハースF1が見せた躍進がモチベーションとなり、印象的な戦いができたというマグヌッセンだが、これは彼がF1に来た当初に目指していたものとは大きくかけ離れていると彼は認めた。

「確かにそれは大きな違いを生んだ」とマグヌッセンは『ESPN』に語った。「でもまたファンタスティックとまではいかない。7位でしかないんだから」

「僕が思い描いていたものとはあまりにも違いすぎるよ・・・今の僕のメンタリティは想像していたのとは大違いだ。そういう部分は本当に最悪だと思う。ちっとも楽しくない。それでもこれがF1なんだし、いい仕事をするのは楽しいよ、もちろん。でもいつか、変化が起こる日がくるのを僕は待っている」

それから彼は笑い、こう述べた。「子どもの頃の僕に、"ケビン、おまえは将来7位になって喜ぶようになる"なんて言おうものなら、自殺しただろうね! でも、それが現状だ」

「それが今のF1なんだよ。トップ3所属でない限り、ポディウムや優勝なんて夢のまた夢。ちょっぴり悲しいことだね。自分たちにできるベストを尽くせたと思うレースには喜びを感じる。いつか、僕らがポディウムや優勝、そういうのを手に入れられる日が来て、もっと心の底から祝えるようになるといいな」

マグヌッセンといえば競り合いで譲らない鼻っ柱の強さで知られており、2018年にはピエール・ガスリーやフェルナンド・アロンソと何度か小競り合いを起こした。だが、こうしたアグレッシブなアプローチはアンバランスなF1の序列から生まれたものだと彼は言う。

「いや、違うよ。そう(元々の性質)じゃない。僕は自分のいる状況で最善を引き出そうとする。トップ10周辺のポジションで戦っていると、失うものが何もないって状況にも直面する。チャンピオンシップを争っていたり、メルセデス、フェラーリ、レッドブルでドライブしていたりすれば、トップ6入りは保証済みだ。ポイントは必ず取れるんだから、あらゆる危険を冒して5位になるよりも6位になることを選ぶだろう」

「ところが、中団グループで10番手を走っていてオーバーテイクされてしまったら、それで全部終わり。すると、どうしたってリスクを取らなきゃいけなくなる。そこが違いなんだと思う。チャンピオンシップのために戦っているんなら僕だって全く違うドライビングをしていたよ」

「前に(ジュニアカテゴリーで)チャンピオンシップを争ったことがあるけど、(そういうシナリオでは)違う走りをしていた。けど今はこうなんだからしょうがない。今の僕らはこの位置なんだ」

F1モータースポーツ部門のトップを務めるロス・ブラウンは、トップ3とその他のギャップが"受け入れがたい"ほど広がってしまっていると2018年末に嘆いた。ブラウンは2021年に向けた次のレギュレーション変更とバジェットキャップの導入を通してその格差是正を望んでいる。

一部チームの優遇などにより、完全にパフォーマンスが平等になるとは考えていないマグヌッセンだが、小規模チームが良い位置で戦えるようなチャンスをもっと増やすべきだと彼は訴える。

「F1にとって理想的な状況は全体がもっと接近することだ。勝つのはいつもベストチームで、メルセデス、フェラーリやおなじみの顔ぶれ。働く側だって予算とかに関係なく、そういうビッグチームで働きたいと思うよね」

「でも、時々はハースF1みたいな小さめのチームが勝つチャンスを得たり、年に何回かはポディウムに上がったりして、戦う目標や希望を持てたらいいのにな。現実は、ポディウムのことなんて考えることすらできずに週末を迎える。頭の片隅にも思い浮かばないよ・・・」

今のF1の現実にすぐに適応することはできたのかと尋ねると、「まだできていないよ!」と彼は述べた。「永遠にできない方がいい。ベスト・オブ・ザ・レストだか何だか、呼び方は何でもいいけど、僕はそんなものであまり満足感を覚えたくはないんだ」

「どうにかしてモチベーションを得て自分を改善とハードワークに駆り立て、自分自身とチームのためにモチベーションを組み立てなきゃならない。大きなゴールを達成するためには小さなゴールをいくつか設定する必要がある。不可能なのは分かっているけど、レーシングドライバーとしての僕のゴールは今でもワールドチャンピオンになることなんだ――それが今でも僕の全体のゴール」

その変化がやって来るまで、チャンピオンシップに勝つ最高のチャンスをつかむためにはトップ3チームに加入する必要がある。ハースF1で再起を果たしたマグヌッセンは喜んで契約を延長し、2019年もチームに残ることを決めた。今年で3年目のシーズンとなる。

最近のドライバーマーケットの変動を彼は現実的に見つめている。2018年には各トップチームのジュニアドライバーがキャリアの大きな一歩を踏み出すのを目にした。フェラーリジュニアのシャルル・ルクレールは2019年に伝統のイタリアチームでレースをすることになり、レッドブルジュニアのピエール・ガスリーはルノーへ移籍したダニエル・リカルドの後任に座る。メルセデスジュニアのジョージ・ラッセルはウィリアムズでルーキーシーズンを戦うことになった。

一方、マグヌッセンに2014年のF1デビューのチャンスを与え、後にドライバープログラムから解除したマクラーレンも新たな秘蔵っ子のランド・ノリスにフルタイムの今季レースシートを与えた。メルセデスのもう1人のジュニアドライバーであるエステバン・オコンは2019年にシートを失ったが、バルテリ・ボッタスの交代要員として来季復活を狙っている。

少なくとも上下のギャップが今のままであり続ける限り、F1でチャンピオンシップに勝てるマシンを手に入れる最大のチャンスを自分は逃してしまったかもしれないとマグヌッセンは認めた。

「僕はこれから上に行く(ドライバーたちの)グループからは脱落してしまった。一時期のように自分がもう上昇中の若手ドライバーじゃないのは分かっている。マクラーレンのシートをフェルナンドに失った時にストールしたんだ・・・その話はみんな知っているし、少し不満は残るけど、今僕がいる状況には変わりがない」

「外部のグループからトップに行くのは困難だから、僕のチャンスは間違いなく損なわれてしまった・・・いまだポディウムにも上がれず、今も中団にいて、すごい才能を持っているのにチャンスも与えられない(ニコ)ヒュルケンベルグのようなドライバーたちがいる。今は僕もそのグループの一員だ」

「でも、絶対ないとは言わないよ。可能性はゼロじゃないってことを(バルテリ)ボッタスが見せてくれたし、(マーク)ウェバーだって長い間中団で戦って、そこからトップに行った。ジェンソン(バトン)だってそうさ。突然タイトルを狙うチャンスを得た」

「そういうことも起こり得る。僕のいるポジションではそれがわずかな希望になっているんだ」

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