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ビノットがフェラーリ代表に、今後の変革に注目

M.S.
2019年1月8日 « 2019年F1世界選手権 主要日程 | マクラーレンがマネジングディレクターを発表 »
© Mark Sutton/Sutton Images
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フェラーリが最高技術責任者のマッティア・ビノットをマウリツィオ・アリバベーネに代わる新たなチーム代表に任じた。

2019年に最もメルセデスに迫るライバルとなりそうなフェラーリにとって、新シーズンの幕開け間近になっての今回のような大きな動きがどう影響してくるかは気になるところだ。しかし、最近のフェラーリに起こってきた出来事を考えれば、驚くに値しない動きでもある。

2018年を通じて、アリバベーネとビノットの間に亀裂が走っているとの報道がなされてきた。昨年11月にこれらの報道を"フェイクニュース"だと断じていたアリバベーネだが、昨シーズンの最後の数カ月にはチーム内の深刻な不和が見え隠れしている。7月に元フェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネが死去した後のコース上での敗北は、チーム内にただよっているムードを映し出したかのようだった。

昨年はセバスチャン・ベッテルのミスが目立ったとは言え、フェラーリが両タイトルを逃した原因の少なからぬ部分はチーム代表としてアリバベーネが監督していたピットウオールのオペレーション上の過ちにある。イタリアではシーズン末までにアリバベーネとベッテルの関係が悪化したとも報じられていた。

一方、チーム復活の上で大きな役割を果たしたと考えられているのがビノットだ。前職のパワーユニット責任者として、ビノットはターボV6時代にさんたんたるスタートを切ったチームの立て直しを助け、メルセデスとのパワー差を縮めるのに貢献した。2016年にジェームス・アリソンの後任としてテクニカル部門の責任者になった後、フェラーリは近年で最高の2台に数えられるマシンを生み出しており、2018年のマシンについてはタイトルを獲得してもおかしくはなかった。

最も興味深いのは、マネジメントスタイルの変更がチームにどのような影響を与えるかだ。2018年に何度もマスコミと衝突してきた猛々しいアリバベーネはマーケティングおよびセールス畑の人物であり、フィリップ・モリス内部で昇進しながらスポンサーシップを通じてF1チームと仕事をし、2015年シーズン前にチーム代表に就任した。

それとは対象的に、ビノットはフェラーリで20年以上の経験を積んだエンジニアであり、テストエンジニアからレーシングチームのトップへと上り詰めている。実際、ビノットにはフェラーリの伝説の一人であるロス・ブラウンとの類似点が見られる。2人は同じようなバックグラウンドを持ち、同様のリーダーシップを発揮してきた。2000年代前半にフェラーリ圧勝体制を築いたのがブラウンだ。

ビノットが指揮を執ることになる今回は、ベッテルに加えてチームのアカデミー出身であるシャルル・ルクレールがフェラーリに加わる。ルクレールの正ドライバー昇格はいくつかのことを証明していると言えるだろう。その一つは、モナコ出身のルクレールがモーターレースで一時代を築くドライバーになるという期待に沿う能力の持ち主だとチームが信じていること。もう一つは、2018年のタイトルを逃したチームのデファクトナンバー1ドライバーであるベッテルに、もはやその地位が保証されないことだ。ベッテルは良き友人であるキミ・ライコネンともう1年タッグを組むことを望んでいたが、ライコネンはザウバーに移籍している。

© James Bearne/Getty Images
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たとえルクレールがチームプレイに協力的だろうと、F1では過去に、高い競争力を発揮する若手と複数回のチャンピオンという組み合わせが災厄につながる例が見られてきた。最も有名なのが2007年にマクラーレンでコンビを組んだルイス・ハミルトンとフェルナンド・アロンソだろう。こういった状況がチームに損害を与えることのないよう調整することがビノットの今季の課題の一つになる。

今季のフェラーリがとうなっていくかを占うのが難しい以上、そのライバルと比較することに意味がありそうだ。

メルセデスの近年の支配体制を支えてきたのは安定性だった。2016年にタイトルを獲得したニコ・ロズベルグが突然の引退を決めた際、アロンソなどのドライバーと契約を結ぶことができない状況だったメルセデスは、穏やかで控えめなバルテリ・ボッタスを後任に選択した。そこから2シーズンにおけるボッタスとハミルトンの調和した関係性が、その選択の正しさを物語っている。ウィリアムズへ移った元テクニカル部門責任者のパディ・ロウなど、何人かの主要人物はチームを去ったものの、それらの穴は静かに、かつ効率的に埋められ、大きな体制は歩みを止めることなく継続している。

メルセデスにおいてロウの後継者となったのはビノットの前任であるテクニカルディレクターのジェームス・アリソンで、クリスチャン・トト・ウォルフ率いるメルセデスのシステムにうまく馴染んでいる。ビノットの昇格に伴うテクニカルディレクターの空席に誰が収まるのかは明らかになっていない。ビノットの今季の挑戦は、ウォルフの効率的なマネジメントスタイルを踏襲しつつ、コース上ではメルセデスを負かすことができるかになるだろう。

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