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コスト制限は163億円が妥当とサフナウアー

Kohei Saito
2017年9月11日 « 後半戦で選手権5位を狙うルノー | シンガポールでの苦戦を覚悟するメルセデス »
© Manuel Goria/Sutton Images
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フォース・インディアのCOO(最高執行責任者)を務めるオトマー・サフナウアーはコスト制限を設定する場合、各チームにとって1億5,000万ドル(約162億8,000万円)が全面的に可能な額であり、FIAによる取り締まりもうまくいくと考えている。

FIAおよびF1の新オーナーである『Liberty Media(リバティ・メディア)』は揃ってF1のコスト削減に強い関心を示しており、費用に制限を設けるコストキャップ制が実効的な解決策になると考えている。この提案自体はF1において全く新しいものではないが、過去には4,000万ポンド(約57億4,000万円)のコスト制限を導入しようとしたものの失敗に終わり、当時は各チームで予算制限を課すことで合意したが、これもまた最終的には失敗に終わっている。

F1では各チーム間の予算額が大きく異なり、トップチームが年間3億ドル(約325億8,000万円)の予算を費やす一方、フォース・インディアのような中堅チームは年間1億2,000万ドル(約130億3,000万円)でやりくりしている。ビッグチームがオペレーション規模の縮小に要する時間を考慮し、コストキャップが2021年以前に導入される見込みは少ないが、サフナウアーは年間予算1億5,000万ドル(約162億8,000万円)が現実的に目指すべき目標として妥当だと言う。

「われわれは実際的になるべきだ」とサフナウアーは述べた。「数年後にコスト制限を導入するといっても、中には年間2億5000万ドル(約271億4,500万円)もの予算を費やし、1,000人の従業員を抱えているチームもある。そこで突然、来年から1億ドル(約108億5,800万円)も予算が減らされるとなれば、一度に300人から500人の従業員を解雇しなければならなくなる。われわれは実際的にならなければならない」

「一方、個人的な考えだが、仮に1億5,000万ドル(約162億8,000万円)のコスト制限が設定されたとしたら、これはレースをするには十分な額だし、おそらく他のレースシリーズと比較しても多めの指標だろう。したがって、私はこれが現実的な額だと考える。現在、すでに半数近くのチームがそれよりも低い予算で運営されているがね。コスト制限が導入されたとしても、半数のチームはそれよりも低い予算で運営を続けるだろうし、何も変化はないのかもしれない。コスト制限によって予算を引き下げなければならないのは上位半分のトップチームだろう。10チームのうち、4チームはそれ(1億5,000万ドル)よりも多くの予算を使っているからね」

F1のコスト制限導入をめぐる議論の中で最も切実な問題は、自動車メーカーと密接につながっているチームがその開発作業をメーカー本社の別部門に移すことでFIAの監視を逃れるのではないかという懸念だ。しかし、サフナウアーは公益通報者を信頼することでF1は自律的にコスト制限を遵守できると強調した。

「疑問は次々と浮かんでくるものだ。コスト制限の取り締まりはどのように行うのか? 私はルール違反を抑制する手法と仕組みが必要だと考える。例えば、政府と税金の関係のようにね。税金を未納のままでいれば、手元には多くのお金が残ることになるが、政府は検査や収支チェックを経て督促できる仕組みを持っている。われわれが知らないところで税金を回避している人々はたくさんいるはずだが、彼らはしばしば多額の追徴課税を支払う羽目になっている」

「違反が発覚し、その懲罰が十分に厳しいものであれば、取り締まりは機能すると思う。私が考えるF1にとって一番の抑止力となるものは、人々がチーム間を移籍する際に、元の在籍チームでの内情を移籍先に伝えることだ。"あのチームがどんなことをやってるか知っているか? 彼らはこんな方法でコストキャップを回避しているんだ"とね。このような公益通報者の存在は、おそらく最大の抑止力になるだろう」

現チャンピオンチームのメルセデスはコスト制限導入によって最も多くの予算縮小を強いられると見込まれているが、チームを率いるクリスチャン・トト・ウォルフはコスト制限導入については何よりも公平な方法で実施されるべきだと主張する。

「われわれはみんな同じ財務的な実情を抱えており、過去数年間で急激に成長したチームも見てきた。われわれは何らかの形でコスト抑制したいと強く認識している」とウォルフは語っている。「コスト削減はこのスポーツにとって良い形でなされるべきだと考える。これまでに作り上げてきた仕組みを尊重しながらね。スムーズな過程であるべきだし、公平でなければならない。これはとても重要なことだ」

「各チームはそれぞれ成立の背景も異なれば、組織としての運営方法も異なる。フェラーリは他よりも巨大な自動車メーカーの中で完全に統合されたチームだ。われわれ(メルセデス)は本社から分離してイギリス国内に存在する。チームそれぞれに全く異なるのだ。その中で機能する統治が必要であり、一連の厳格なルールも必要だ。そのルールは全員をカバーするものでなければならない。議論はすでに開始されていて、まだごく初期ステージではあるが、私としては今のところ(チーム間で)大きな不調和はないと考える」

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