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  • オーストリアGP - 決勝

最終周の大波乱! ハミルトンが勝利をもぎ取る

Jim
2016年7月3日
© Gasperotti/Sutton
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3日(日)、オーストリア・シュピールベルクにあるレッドブル・リンクを舞台に2016年FIA F1世界選手権第9戦オーストリアGP決勝レースが開催され、ファイナルラップに大波乱を見た一戦はメルセデスのルイス・ハミルトンがトップチェッカーを受けた。

今年のレッドブル・リンクではコース上に設置された縁石に問題を抱えるドライバーが多く、土曜フリー走行ではメルセデスのニコ・ロズベルグがリアサスペンションを破損してクラッシュを喫し、予選セッションでもトロ・ロッソのダニール・クビアトやフォース・インディアのセルジオ・ペレスらが縁石に乗り上げた際にサスペンションにダメージを負うアクシデントが起きている。チームやドライバーからはFIAに改善を求める声も上がったが、レースはこの2日間と同じ状態のサーキットで行われた。

決勝を前に、理由はそれぞれとはいえ複数のドライバーにグリッドペナルティが科せられており、上位勢に言及すると、予選2番手だったロズベルグは前述のクラッシュの影響でギアボックス交換を余儀なくされて5グリッドダウン、予選4番手のセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)はグランプリ初日終了後に規定レース数に達していないギアボックスを新品と載せ替えたため、同じく5グリッドの降格処分を受けている。

これにより、トップ9のグリッドポジションに変更が生じている。FIAはまず予選結果にベッテルとロズベルグのペナルティを適用した上で各グリッドの昇格を計算する方式を取っており、それに当てはめると、ペナルティ適用の時点で2番グリッドと4番グリッドが空席――ロズベルグは7番手に降格して予選8番手だったバルテリ・ボッタスより上位にいる状態、そして、ベッテルは予選9番手だったレッドブルのマックス・フェルスタッペンと並ぶ形で暫定9番手の位置――となり、空いたグリッドを上から順に詰めていくと、ポールシッターに輝いたハミルトンと同じフロントローには予選3番手のニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)が並び、2列目にマクラーレンのジェンソン・バトン(予選5番手)とフェラーリのキミ・ライコネン(同6番手)、3列目がレッドブルのダニエル・リカルドとロズベルグの順だ。7番グリッドにウィリアムズのバルテリ・ボッタス、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが8番手に繰り上がり、ベッテルが9番手に着いた。

加えて、決勝日になってピットレーンスタートを強いられたドライバーが2人。予選10番手につけたウィリアムズのフェリペ・マッサはフロントウイングの構造にダメージが見つかり、レース前に旧スペックに交換。予選Q1でサスペンションを破損してクラッシュしたクビアトはシャシーとギアボックスを載せ替えてレースに挑んでおり、2人ともピットレーンにマシンを並べた。

レッドブル・リンクの全長は4.326km。決勝は71周で争われ、上空に雲が広がった決勝日は気温15度、路面温26度、湿度67%のドライコンディションでスタート時刻を迎える。

シュピールベルクにソフト、スーパーソフト、ウルトラソフトのドライタイヤを持ち込んだピレリはレース用のコンパウンドとしてソフトおよびスーパーソフトの1セットを確保するよう指定している。今季のレギュレーションでは各ドライバーに週末を通して13セットのドライタイヤが与えられ、うち10セットを自由に選択できるシステムだ。

ドライ路面の第1スティントはトップ10ドライバーが予選Q2の自己ベストを刻んだのと同じコンパウンドを装着しなければならず、レッドブルとフェラーリの4台がスーパーソフトタイヤ、マッサを除く5名はウルトラソフトでフォーメーションラップに臨んだ。ピットスタートのマッサを含め、11番手以下のドライバーはほとんどが新品のスーパーソフトタイヤを選んでいる。

シグナルが消えた後、好発進を決めたハミルトンが先頭をキープし、出だしにつまずいたヒュルケンベルグを交わしてバトンとライコネンがひとつずつポジションを上げた。最後尾から隊列に加わろうとしたクビアトは3周と走れずにストップ・・・。散々な週末をポジティブに変えることなく、マシンを降りた。

2番手に上がったバトンはペースの良いライコネンからのプレッシャーを受けながら必死にポジションを守ろうとするも、6周目、ライコネンがオーバーテイクを成功させている。タイヤ戦略の異なる後続勢にも追い抜かれ始めたバトンは10周目にタイヤ交換を実施し、フレッシュなタイヤでもう一度、上位進出を目指した。

次の周回には3番手までポジションアップしていたロズベルグが1回目のピットストップに向かい、新品のソフトタイヤを履いて隊列に加わる。一方、ハミルトンはスーパーソフトを履くフェラーリやレッドブルの面々との勝負を選び、第1スティントを21周まで引っ張った。しかしながら、ハミルトンは左リアタイヤの交換の作業でやや手間取った上、コースに戻ってみると、ステイアウトを続けていた10周の間に速いラップタイムを刻んでギャップを縮めていたロズベルグの後ろに甘んじてしまう。翌周にはフェラーリがライコネンのピットストップを行うが、ハミルトンを逆転できず、さらにフェルスタッペンにも先行を許した。

1ストップ戦略を狙ったベッテルは1秒以上速いペースを発揮するロズベルグに接近されながら、先頭の位置で懸命にプッシュしていたが、27周目に入った直後に右リアタイヤが悲鳴を上げる。バーストした勢いでコース右側のガードレールにフロントをぶつけたベッテルのマシンはさらにその衝撃でコースを横切って反対側へ。真後ろにつけていたロズベルグや後続車はなんとかベッテルのマシンを回避している。ベッテルのクラッシュで黄旗が振られた後、セーフティカーが出動。ホームストレートにデブリが散らばっていたため、セーフティカーはピットレーンとコースを往復する道を取って隊列を整えていった。

31周目の最後にセーフティカーが解除され、リスタートからロズベルグが一気にペースを上げてハミルトンを引き離しにかかるが、ハミルトンも遅れずにリズムをつかんでいく。3番手以下は徐々に差をつけられ、レースが50周目に入る頃には13秒以上のギャップに広がった。

レース終盤を迎えた時点でラップリーダーのロズベルグとハミルトンは1秒強の間隔で接近戦を展開。周回遅れのマシンに対処しながらの駆け引きが続き、事態が大きく動いたのはファイナルラップだった。ターン1を抜けてサイド・バイ・サイドに持ち込んだハミルトンがターン2でアウト側からロズベルグのオーバーテイクを試みたところ、ブレーキングの遅れたロズベルグがコーナーを曲がりきれず、ハミルトンをコース外に押し出してしまう。この時、2台が接触し、ハミルトンはマシン右側に少なからずダメージを負った。それでも、引けないハミルトンは必死にマシンをコントロールしてコースに戻るが、ロズベルグのマシンに突っ込んでしまい、今度はロズベルグのフロントウイングが破損。ロズベルグは外れたフロントウイングがマシン下に挟まった状態で周回を続け、後続のフェルスタッペンとライコネンに追い抜かれながらも、チェッカーを目指した。

また、フォース・インディアのセルジオ・ペレスがターン3のグラベルに突っ込むインシデントも発生しており、ファイナルラップの波乱がフィールド全体の順位が入れ替わる結果をもたらしている。

結局、ハミルトンが優勝を果たし、フェルスタッペンが2位、ライコネンが3位表彰台に上った。ロズベルグが4位でチェッカーフラッグを受け、リカルド、バトン、グロージャン、サインツ、ボッタス、ウェーレインが入賞を果たしている。ウェーレインにとっては初のグランプリポイント獲得だ。

序盤に姿を消したクビアトとクラッシュしたベッテル以外ではフロントロースタートのヒュルケンベルグに加えてアロンソとマッサがマシンをガレージに収めてレースを終えている。ペレスは17位完走扱いとなった。

なお、マシンにダメージを負った状態で周回を続けてしまったロズベルグはスチュワードの審議対象となっており、ペナルティを受ける可能性がある。終了時点ではオーストリアGPのレース結果は確定しておらず、スチュワードの裁定次第では順位に変動が生じるかもしれない。

F1一行はこの後、大急ぎで荷物をまとめて次の舞台イギリスへと移動する。モータースポーツ発祥の地、シルバーストーンで行われる伝統の一戦は連戦で迎えるシーズン第10戦。初回セッションとなる金曜フリー走行1回目は8日(金)日本時間17時にスタートする予定だ。

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