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タイヤへの批判がピレリを動かす © Sutton Images
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日曜日の混乱と苦痛に満ちたレースを終えたF1サーカスは怒りをもって"Tワード"(編集部注:タイヤのこと)を口にしていた。

フォース・インディアのポール・ディ・レスタはバルセロナのレース中に苛立ちを隠すことなく「誰が僕に何が起こっているか説明できる?」とチームに呼びかけている。

この一言が今のF1界の縮図だ。ピレリの予測しがたくデグラデーションの激しいタイヤが、F1ドライバーさえも混乱させている。

予選でフロントローにつく走りを見せたルイス・ハミルトン(メルセデス)は、驚きや皮肉、怒りを込めた口調でチームの首脳陣に「今僕はウィリアムズにパスされた」と伝えた。

わずか24時間前にはウィリアムズはQ1突破にさえも失敗。一方で最前列を独占したメルセデスは優勝候補の一角だった。

マクラーレンのジェンソン・バトンは「GP2マシンの予選より3秒遅く、レース中のGP3マシンよりたった6秒速い。どこか間違っている」と話す。

レース中にタイヤを守るべくスローダウンするよう指示されたハミルトンは"歩くような速度にでもしなければ"これ以上遅くは走れないと応じた。後になってハミルトンは「これこそこのスポーツがオーバーテイクを促進しようとする方法。判断するのはみんなだよ」と記者らに語っている。

アクションを活発にするべく複数回のピットストップが必要なタイヤをF1参入時に求められたピレリは、今に至るまで威勢よく同社の権限を擁護してきた。しかし、レース後の批判を受けて、ピレリのモータースポーツディレクターを務めるポール・ヘンベリーはシルバーストーンまでに変更を施す意向を示している。

元グランプリウイナーでチーム共同オーナを務めた経験もあるゲルハルト・ベルガーは「彼らはこのまま続けることはできない」とし、「2週間毎にネガティブな宣伝を行なっているようなものだ。ファンにはもはや事態が分からなくなっている」とコメントしている。

つまるところ、声を大にして反対を唱えたレッドブルやメディアによって拍車のかかったプレッシャーが頂点まで高まったということだ。

「これは本当にF1世界選手権?」とドイツ『Bild(ビルド)』紙のニコラ・ポールはつづり、レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーによるこのような発言を引いている。

「今はまるでチェスのようだ。そして、チェスは多くのファンを誇るスポーツというわけではない」

当のヘンベリーは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌にこうコメント。

「過去2戦で公衆はわれわれを支持してくれた。レースはずっとエキサイティングになった。しかし、批判はわれわれがもはや無関心ではいられないレベルに達した」

とは言え、全員が大幅な変更を後押ししているわけではない。フェラーリとロータスは2013年のタイヤに満足している様子であり、ロータスオーナーのジェラルド・ロペスは次のように述べた。

「サッカーと同じだ。あるチームのぼーるがつねにポストに当たるようになれば、ゴールを少し大きくしようという議論になる」

また、ピレリがコンパウンドやストラクチャーに大きな変更を施す場合、同社がシルバーストーン前にテストを必要とする可能性がある。

ザウバーのチームマネジャーを務めるビート・ゼンダーは「説得は決してできないだろう。なぜなら、すべてのチームが同意しなければならないからだ」と話した。

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