カナダGP

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チャンドックのF1便り - 2011年カナダGP

Karun Chandhok / Jim 2011年6月19日

『ESPNF1』のコラムニストとして、カルン・チャンドックが2011年シーズン第7戦カナダGPを分析・解説してくれました。

今年のカナダでキャリア最高の勝利を挙げたバトン © Getty Images
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【カルン・チャンドック 2011年6月15日】

ジェンソン・バトンのカナダGP優勝はF1において最高かつ最も劇的なレースでの勝利だった。紙の上では彼が勝つべきレースではないかもしれない。彼はチャンピオンシップを争う注目のライバルと2度のアクシデントを経験し、ドライブスルーペナルティも受けている。レースの半分が過ぎた40周目には最後尾に後退・・・それでも最後は優勝をかっさらった。ものすごい勝利だったし、彼はきっとキャリア最高の優勝だと感じているに違いない。

1986年アデレードや1990年メキシコでのアラン・プロスト、1987年シルバーストーンと1989年ブダペストの(ナイジェル)マンセル、1993年ドニントンの(アイルトン)セナ、1995年スパと1996年スペインの(ミハエル)シューマッハ、2005年鈴鹿のキミ(ライコネン)の優勝に匹敵する。分かりやすく言うと、負けて当然のレースだったのに結果は表彰台の中央だ。ちなみに、今並べたレースを見たことがない、あるいは思い出せないという人たちは、最高傑作のレースばかりだから録画映像を探してぜひ見てみて!

カナダではジェンソン(バトン)にとって完ぺきに機能した重要な瞬間が何度かあった。ひとつはバトルを繰り広げるミハエル・シューマッハ、マーク・ウェバー、ジェンソンの3人に対するセバスチャン・ベッテルのリードが帳消しになった最後のセーフティカーピリオド。マクラーレンがコース上で最速のマシンに見えていたタイミングだ。

もうひとつはそのセーフティカーピリオドが終わった後のリスタート。バトンは65周目にコントロールラインの通過と同時にマーク(ウェバー)を抜き、DRSゾーンでマイケル(シューマッハ)をパスした。この時、彼は1分18秒8のタイムだったけど、その次の2周は1分17秒9と1分17秒5を刻んでいる。その一方で、セブ(ベッテル)は同じ周回で1分20秒3、1分19秒4、1分17秒8だった。この3周を走る間にセブは約3.4秒を失っている。おもしろいのは続く2周に渡ってどちらも1分17秒2と1分17秒3のペースで走り、その差は0.1秒以内だったこと。つまり、レッドブルが何の問題も抱えていなかったことを証明している。

セブ自身が認めていたように、彼はおそらく最後のリスタート後に全力でプッシュしていなかったんだと思う。集団の先頭に立って前がクリアな状態だから、彼はしっかり走れただろうし、ペースをラップあたり0.5秒落としたってファイナルラップでは十分なギャップを築いて安泰だったはずだ。

最終ラップでベッテルに迫るバトン © Sutton Images
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結局のところ、最後から2周目のラップでジェンソンはドラッグ・リダクション・システム(DRS)を使って素早くギャップを縮め、プレッシャーを受けるセブが右タイヤをダンプ路面に乗せてターン6でワイドに膨らんでしまった。ジェンソンはカナダで勝つために成し遂げた自分の仕事を誇りに思っていいと思う。それから、スチュワードが彼にペナルティを科さなかったこともうれしかった。(バトンの)ルイス・ハミルトンとフェルナンド・アロンソとの接触はいずれもレーシングインシデントだったと僕は考えているし、何の処罰も下されなかったことは正しかったと思う。

セブは優勝を逃してショックを受けているだろうけど、大きく見ればチャンピオンシップポイントを18点も稼げたんだ。予選で最高のラップを披露し、レースでは雨による中断や複数回のセーフティカー導入でプレッシャーを受けながらも65周に渡って最高の走りを見せてくれた。レース中に起きたいろんな出来事が流れに乗る重要なポイントで彼のリズムを狂わせたのだろう。ターン6で彼が犯したミスはシーズン初めてのミスだったと言えるけど、マクラーレン(それと他のチーム)は最高の自信を誇る彼のよろいにまだいくらか隙間があることを知ってうれしかったはず。

マークもおそらくはジェンソンと同じくらいクレイジーなレースだったと思う。序盤のルイス(ハミルトン)との接触でポジションを落とし、皆がスリック(ドライタイヤ)に履き替えていたタイミングではジェンソンに匹敵するペースがなかった。結果的にしばらくマイケルの後方に甘んじるしかなく、ようやく追い抜けたときにはマクラーレン(バトン)がはるか遠くに行ってしまっていた。

マークはまたしても不運にも土曜日の重要な最終フリー走行を逃している。モントリオールのように路面がどんどん改善される場所では予選前にグリップレベルの感触をつかむことが大事だから(土曜フリー走行の)コース上で過ごす60分間がとてつもなく重要なんだ。もちろん、チーム(レッドブル)はペースがありながらもタイトルを競ったライバルに比べて信頼性に劣った2009年や2010年の繰り返しにならないよう、なぜKERS問題が多発するのか真剣に調査していると確信している。

そして、再び上位を争うマイケルのレースが見られたことはファンタスティックだったね! 複雑なコンディションで力を発揮していたフェラーリやベネトンの時代をほうふつさせるような最高の動きや走りを何度も披露してくれた。理由はどうあれ、彼はドライだと(チームメイトの)ニコ・ロズベルグに対して0.2秒から0.3秒ペースが不足しているけれど、彼が走り方を忘れたわけじゃないってことがカナダで確認できて安心したよ!

全盛期を思い起こさせる見事なパフォーマンスで魅了したシューマッハ © Sutton Images
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僕はカナダGP週末に先だってメルセデスGPがダークホースになるんじゃないかと思っていたけど、純粋なペースではレッドブルやマクラーレン、フェラーリに戦いを挑めるほどの速さがなかった。F1のトップチームにおける開発率は凄まじく、ブラックリーのチーム(メルセデスGP)が常に細かな改良を目指して新パーツを投入する一方で、ミルトンキーンズ(レッドブル)やウォーキング(マクラーレン)、マラネロ(フェラーリ)の人たちといったらレースを勝ち取るために重量超過手荷物に引っかかるほどの大量生産ぶりだ!

フェラーリはモントリオールでフェリペ・マッサが6位に入って加算した8ポイントしか獲得できずにガッカリしていることだろう。予選では2台が揃ってトップ3入りを果たす見事なパフォーマンスで、今季最もセブに近づいていた。フェルナンド(アロンソ)のジェンソンとのクラッシュはお互いさまかな。でも、その接触がある前のレース序盤でさえ彼はセブについて行くペースを持っていなかった。17周目にフェルナンドがインターミディエイト(タイヤ)に交換したときはちょっとびっくりだったよ。だって大きな雨雲がやって来ていたからね。フルウエットにまた戻さなきゃいけなくなったことで彼は大きくポジションを落とし、リスタート時には8番手に下がっていた。

しばらくぶりにフェリペが土曜日のポール争いに復活したのは本当に良かったと思う。今回の彼は2008年スペックのフェリペが戻ってきたみたいで、レース序盤はフェルナンドよりも確実に速さのアドバンテージを得ていたようだった。最終的にはスリックタイヤに履き替えた後のアクシデントで表彰台のチャンスを逃してしまったけれど、うまくいけばバレンシアでも彼はあの走りを披露できるはずだ。

他とは異なる特性を持つ市街地コースのバレンシア © Sutton Images
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バレンシアはストリートサーキットに分類されるかもしれないけど、他の市街地コースとはかけ離れている。広くオープンなコーナーにロングストレート、ランオフエリア、たくさんの縁石もあるし、ほぼすべてが普通のサーキットに近い。唯一の違いはウオールがちょっと近いってこと。セクター1は特にね。でも、埋立地であることや港のど真ん中だってことを考えると全体的には悪くないレイアウトだ。

それからファンタスティックなスペインのファンが集結するとあって本当に最高の雰囲気を醸し出す。基本的にはかなり暑くて、街とビーチがとても近いからファンが行くにも素晴らしい場所だと思う。2008年にブルーノ・セナと一緒に行ったことを覚えている。GP2でチームメイトだった時だ。彼はコースを学ぶためにスペインのF3レースに参加していた。僕たちはランチを食べようとビーチに行って10分くらい散歩しようと思ったんだけど、オーガナイザーが突然道を封鎖してエキストラでフリー走行を実施すると決めたんだ。かわいそうなブルーノはいるべき場所に戻るために1時間以上もランニング・・・僕はビーチに残ったけどね!

フェラーリはある程度復調を遂げてきているし、マクラーレンはレッドブルと戦えるってことを証明した。モントリオール以外に"ダーティーダウンフォース"を求められるサーキットはほとんどないと認めざるを得ないけれど、バレンシアも超ハイダウンフォースのサーキットじゃない。セクター1とセクター2にある低速コーナーはメカニカルグリップと縁石を越える能力が問われる。ただ、セクター3は高速状態で方向転換するトリッキーな場所がいくつかある。気温の高さによってタイヤの摩耗が興味深い要素になるだろうから、きっとまたものすごいレースになると思うよ。

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0 Karun Chandhok gives his views exclusively to ESPNF1 at the end of every grand prix weekend Karun Chandhok is one of just two Indians to sit on a Formula One starting grid, making his debut in 2010 with HRT. A motor sport fan since he was a kid, in his first year in the paddock he quickly built up a solid reputation, not only as a driver, but also as an impeccable source of F1 trivia. Now he draws on both his first-hand experience and his extensive knowledge to offer his views on the sport he loves.