カナダGP

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「分かったから言葉には気をつけてくれ」

M.S.
2017年6月14日
© Mirko Stange/Sutton Images
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カオスな展開になったカナダGPからは拾い上げるべき無線メッセージが豊富にあるものの、中でも一人のドライバーによる発言が傑出している。それはもちろん、この人だ。

「アンチストールが変。クラッチトラブル、クラッチトラブルだ」

グリッドを離れるときから好ましからぬスタートを切ったダニール・クビアト(トロ・ロッソ)のレース。始動が遅れたクビアトは、レギュレーションによれば最初のセーフティカーラインまでに隊列上のポジションを取り戻せなかった場合にピットレーンスタートが義務付けられているが、条件を満たさないままスターティンググリッドについてしまったクビアトにはペナルティが科されることになり・・・。

「ダニー、ボックス、ドライブスルーペナルティだ。この後の・・・」
「アーーーッ! 何でなんだよっ」

まずはドライブスルーペナルティを言いわたされ、不服の様子だったクビアト。しかし、これだけでは終わらない。

「この[ピー音] [ピー音]」
「分かった、分かったから。頼むから言葉には気をつけてくれ」

ドライブスルーを終えて後方からの巻き返しを強いられたクビアトは思わず悪態をつき・・・。

「ターン3の出口でエンジンに妙なバイブレーションがある」
「ボックス、ボックス、ボックス、ダニー。10秒のタイムペナルティだ。心配するな、10番手争いをしている。10秒のペナルティだが、それでも10番手争いを・・・」
「何で!? 何のために!?」
「気にするな。10秒のペナルティだ。ボックス、ボックス」

続いてメカニカルトラブルを報告した際には10秒のタイムペナルティが発令されたことを知らされてしまう。本来は最初にドライブスルーではなく、10秒のストップ・アンド・ゴーペナルティが科されるべきであり、それをカバーするための措置だった。ピットに入ったクビアトはホイールナットが抜けずに、さらにタイムロスしてしまう。

「エンジンを止めろ。ストップ・エンジン、ダニー」

最後にはエンジントラブルでストップしたクビアト。レース後、ペナルティをめぐる顛末(てんまつ)を指して、F1は"馬鹿げたサーカス"だと語っている。

© Kym Illman/Sutton Images
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「だからさ、あの人たちは何をやってるわけ? ひどいスタートだ。落ち着けよ・・・」

ターン3で起こった多重クラッシュを受けたフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)の一言。トロ・ロッソのカルロス・サインツを避けるため、アロンソは芝生に飛び出して走行することを強いられた。

「あの野郎・・・頭おかしいだろ! 何だってんだ?! ボックス。フロントウイングにダメージがあると思う。何てイカレたやつ!」

ターン3のクラッシュに巻き込まれたハースF1のロマン・グロージャンは、サインツに対する怒りをあらわにしている。

「エアロの数字を確認して。左フロントね。アンダーステアがひどくて、左フロントのグリップがほとんどない感じ。あー、問題ありそう。フロントウイングにダメージがあるんじゃないかな。ピットストップをちょっと遅らせられる?」
「マシンダメージのリスクがあって危険すぎる。今すぐボックスだ」

フロントウイングを破損したのはグロージャンだけではない。フェラーリのセバスチャン・ベッテルも最初のコーナーでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と接触し、ダメージをチームに報告していた。

「このモードだとパワーがおかしい」

再びアロンソ。今回アロンソが不満をこぼしているのは、ホンダエンジンについてだ。

「OKフェルナンド、いいペースだ。プランAプラス5で行こう・・・」
「もっと役に立つことを教えてよ! マグヌッセンのペースはどうなの」

そんなアロンソにとっては、ピットウオールから一方的に戦略を指示されるより、もっと有益な情報があるという。

「エンジン! エンジンがブローした」

残り2周、入賞圏内を走っていながらもオイルプレッシャーの問題でアロンソのレースは終了した。

© Patrick Vinet/Sutton Images
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「それは時間のムダ。リカルドはペースを上げてる。彼を抜くチャンスがほしい。僕らにレースをさせて。頼む」
「フェラーリが後ろに来る前にアタックしたいんだ。彼(オコン)にできなければ、ポジションを戻す」

一方、セルジオ・ペレスとフォース・インディアの間では、すぐ後ろを走るチームメイトのエステバン・オコンにポジションを明け渡すかどうかで議論が行われていた。結局、自らの意見を押し通したペレスだが、フォース・インディアの2台ともベッテルにパスされるという結末に終わっている。

「いい仕事だった、ルイス。エクセレントなレースだ。まさに公園でお散歩だったね」
「皆、ファンタスティックな仕事だったよ。十分にふさわしいし、チームにとって素晴らしいポイントだ。バルテリもよくやったね」

ハミルトンの穏やかな一日は、勝利のメッセージで幕を閉じている。

「OK、相棒。やったな、3位だ。いい仕事をした。エクセレント!」
「こんちくしょーっ!」
「ああ、よくやった。本当に、本当に堅実だった。ノーミスだ」

パワーユニットに僚友と同じ問題が発生しないようケアしつつ、2台のフォース・インディアを抑えきったダニエル・リカルド(レッドブル)を称えるエンジニアのサイモン・レニー。神経戦から解放されたリカルドの叫びが全てを物語っている。

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