ブラジルGP

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ファインダー越しのF1 - ブラジルGP

Mark Sutton / Jim
2010年11月12日
スラム街がすぐ向こうに見えるインテルラゴス・サーキット © Sutton Images
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F1カメラマンのマーク・サットンが2010年シーズン第18戦ブラジルGPを振り返ります。

【マーク・サットン 2010年11月9日】

拳銃、速いクルマ、美女。ハリウッド映画の超大作かのようにも聞こえるが、良くも悪くも、ブラジルに存在した現実なのである。

ジェンソン・バトンへの襲撃はかなり驚きだった。自分のホテルに戻って見た『Twitter(ツイッター)』が最初で、翌日には各紙に取り上げられていた。話は夜のうちにどんどん大きくなっていき、マクラーレンは日曜日に彼の口から直接何が起きたのかを説明できるよう記者会見の場を設けることを決断する。

このことで皆が少しハッとしたのではないかと思う。サンパウロの危険性に楽観し、この地域における貧困の度合いを忘れていた人が多かった気がするのだ。サーキットのすぐ横にはファベーラ(貧困街)がある。そこに住む人々はお金を持っていない。一部の人々にとっては金持ちのヨーロッパ人からラップトップ(ノートパソコン)や財布を奪うことがあぶく銭を稼ぐ楽な方法なのだ。

私は現地に友人がいるのだが、彼は危険地域で赤信号に遭遇してもゆっくりと前進を続け、何か疑わしいものはないか、周りに目を配り続けなければならないと言う。もし自分に近づいてくる者がいるようなら、信号が何であれ逃げ道を確保して突き進め、と。それから、襲撃者の多くは本物の銃ではなく本物に見える偽物を持っているそうだ。とはいえ、それを探しまわりたくはないけれど。

土曜日の夜、予選が終わった後に現地の友人と夕食に出かけた。彼は新車のレンジローバーを買ったばかりだったのだが、なんと完全防弾仕様だった。ガラスは厚さ2.5インチ(約6.35cm)。ただ、別に流行っているわけではない。お金を持っているように見せかけてやっているだけなのだ。

週末のうちにカメラマン部屋からは2つのレンズが盗まれた。私たちが拠点にしていたプレハブは、それ自体は十分良かったものの、メインパドックやほとんどのパブリックエリアからは遠く離れている。われわれとしては泥棒がトイレから入ってきたのではないかと考えており、確かに思い返してみると、カメラマン部屋に知らない顔が2人いたのを見た記憶がある。朝になって、2つのレンズ――ひとつは6,000ポンド(約78万4,000円)前後の300mmレンズ、もうひとつは1万ポンド(約130万円)の価値がある400mmレンズ――が姿を消していたと聞いた。

インテルラゴスの悪いイメージを伝えたいわけではないので残念なことだったが、本当に一年の中でも最も活気ある週末のひとつであり、全体的には最高のイベントなのだ。私たちが外に出る前にオーガナイザーから何が危険かと明確な説明があれば、そういった多くの問題は解決されるのではないかと思う。例えば、チームのウエアを着たままサーキットを離れてはいけない、車の窓にパーキングパスを張ったままにしてはいけない、という具合だ。自動車泥棒をもくろむどんな人にも、金のサインにしか見えない。

レースを見守るファン © Sutton Images
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それでも、一度サーキットに足を踏み入れればいつだってものすごい雰囲気に出迎えられるし、レーススタート前にはサーキットに入ろうとする人々で大行列が出来上がる。最近のグランプリシーンではちょっと珍しい。ファンは本当に最高で、スタート前にグリッドから撮影ポイントに歩いていると、彼らは飛び跳ね、「写真、写真、写真」と歌いながら最高の時間を過ごしていた。

今回の週末でお気に入りの瞬間はレース後のピットレーンでレッドブルがコンストラクターズタイトル獲得のお祝いをしていた時。"F1 Forum(F1フォーラム)"の放送中だった『BBC』がやってきて、いつものように邪魔に入り、チームの撮影のタイミングでプレゼンターたちを目の前に配置してきた。私たちはどいてくれとやじを飛ばしたが、シャンペンのボトルを手にセバスチャン・ベッテルとマーク・ウェバーが合流してパーティーが始まるとようやく脇に動いた。

マーク・サットンに向かってポーズを取るセバスチャン・ベッテル © Sutton Images
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お祝いはかなり派手で、複数のチームメンバーが仲間たちに胴上げされ、周辺をパレードしていたものの、私は彼らの勝利を本当の意味でまとめる1枚がまだ撮れていないと感じた。情熱の元を探していた私はテレビクルーからテレビクルーへと移動していくセバスチャンを追いかけ、ついに彼の目の前に出ることに成功したので、「セバスチャン、セバスチャン! 早く! お願い!」と叫ぶと、彼は私を見ただけで指を掲げ「落ち着いて、落ち着いて」と言った。最後に、いつものお決まりのポーズを私のカメラの目の前で決めてくれた。素晴らしい1枚になったし、私個人へのリアクションとしてレンズをのぞき込んでくれたので、自分にとっても本当に大きな1枚だ。

もうひとつ、独占的に撮影できたのがルイス・ハミルトンとジェンソン・バトン。表彰式の後、パルクフェルメを離れた私はパドックに戻った。マクラーレンのホスピタリティを通りすぎる際にルイスがジェンソンに話しかけているところがチラリと見えたので、ちょっとずうずうしくも中に入ってしまえと考えたのだ。他のカメラマンはついてきていないだろうなと思いを巡らせる私をよそに、ルイスとジェンソンはテレビで記者会見の様子を見ていた。

記者会見で質問に応じるマーク・ウェバーの様子を眺めるジェンソン・バトンとルイス・ハミルトン © Sutton Images
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私は基本的にホスピタリティエリアに潜入することはない。だが、今回は本当に素晴らしい機会だったので、とにかく平然と写真を撮った。彼らがこちらを振り向き、"やめてくれないか?"と言われれば喜んで去るつもりだったが、彼らはそこに座ったまま話を続けていた。

コース上でのアクション以外に、私たちはセナ映画(アイルトン・セナのドキュメンタリー映画/邦題:アイルトン・セナ ~音速の彼方へ)の公式プレミアに参加した。日本での上映を見ていたものの、今回はレッドカーペットのイベント。おそらく5、6人しか招待されていないヨーロッパ人の2人となった私たちはブラジルの人で溢れ返る中、スーツを着て出席した。私たちはブルーノ・セナと同じ上映で、部屋中がとても感動していたし、映画にはとてもジーンとくる場面がいくつもあった。

私が座ったのはアイルトンのパーソナルトレーナーで、彼が亡くなったその日も一緒にいたヨゼフ・レーベラーの隣。私が思うに、彼は一部を忘れていたような気がする。映画を見て、マクラーレンでの若借りし頃の記憶が蘇ったようだった。いい時も、それから悪い時も。

というわけで、全体的には素晴らしい週末を過ごし、これからスリリングなシーズンフィナーレを迎えるアブダビに向かう。それから、サンパウロでChurrascarias(ブラジリアンBBQ/ステーキハウス)に通い詰めで胃が肉でもたれている私たちは、よりバラエティに富んだ食事も楽しみにしている。

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