バーレーンGP

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  • 「ペンキが乾くのを見続けているかのようだった」

ファインダー越しのF1 - バーレーンGP

Mark Sutton / Jim
2010年3月21日
F1カメラマン、マーク・サットン © Sutton Images
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F1カメラマンのマーク・サットンが2010年シーズン開幕戦バーレーンGPを振り返ります。

【マーク・サットン 2010年3月17日】

バーレーンのレースは退屈だった。そう認めざるを得ない。コースの周りを歩きながら、まるでペンキが乾くのを待っているかのようだった。テレビで観戦された方にとっても味気ない様子が映し出されていたと思うが、カメラマンの視点からも同様だ。後方でミハエル・シューマッハ(メルセデスGP)、ジェンソン・バトン(マクラーレン)、マーク・ウェバー(レッドブル)が連なって走っているところを何とか数枚、撮影できたのは良かった。おそらく、彼らのうち1人は動こうとしていたと思うが、前のマシンに近づいた時に必要となるダウンフォースが十分になかったように思う。ドライバーたちがホイール・トゥ・ホイールで走っている時は最高の写真を撮れるのだが、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)がスパークプラグのトラブルで順位を落としている時以外、その場面は実現していない。

それから今年のピットストップもカメラマンにとってはかなりタフだ。とにかく速すぎる。3秒か4秒と経たないうちにタイヤ交換が終わるので、その時間ではカメラを構えていても多くは撮影できない。彼らがいつピットに入ってくるかを予想するのも非常に難しい上に、いい写真を撮るためには適切なポジショニングでしっかりとしたアングルを確保しなければならないのだ。加えて、ほとんどのチームが1ストップときた。つまり、誰かのピットストップを逃せば、もうそのグランプリでそのドライバーのピットストップをとらえることはできないということになる。

バーレーンで実際に見られた大きな順位の変動はベッテルがトラブルでペースダウンした時だけ © Sutton Images
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レースはどうみたって最高傑作とは言えなかったが、この先には豪雨の可能性があるマレーシアと中国が控えている。雨が触ればレースはいつだっておもしろさが増すし、タイヤ戦略もすべて変わってくる。これらの開催地のうち、どこかひとつでも素晴らしいレースがあれば、おそらくバーレーンでアクションが少なかったことは誰もが完全に忘れてしまうと思う。

バーレーンの週末で良かった点といえば、コースに導入された新しい部分。ドライバーの何人かはお気に召さなかったようだが、われわれにとっては最高だった。椰子の木をバックに撮影できたり、軍事基地のような建物があったりね。旧レイアウトにはなかった最高のアングルを確保できたと思っている。それから、コース上にはかなり大きなバンプがあり、実際に宙に浮くほど弾んでいた。何枚かそのシーンをカメラに収めたが、テレビでスローモーション映像がとらえられていれば最高だったはずだ。コースのどこであろうと跳ねていなかった唯一のマシンがメルセデスGP。遅いマシンは上位勢に比べてセットアップが強くないため、かなりボトミングがひどかった。残念ながら、最近はマシンの底にチタン板がないので、あまり多くの火花を見ることはなく、バーレーンは明るすぎるため、実際にあったとしてもお目にかかることはない。そのようなコーナーでのドラマを描き、平坦で退屈な写真にしないというのは実際かなり難しい。

それから、ドライバーのトレーナーがグリッドに入場できないという奇妙な話があった。ドライバーたちは非常に怒っていたが、私はその理由を理解している。担当のドライバーが水分を十分にとり、レースの準備を整えられるよう、トレーナーはシーズンを通して、すべてのグランプリでそこにいたのだ。ドライバーたちを助けるため、トレーナーたちがピットウオールの隙間に寄り掛かるというのは、ただただばかげている。彼らがグリッドに入れなかった表向きの理由はレース前のグリッドが忙しすぎるからだということだった。だが、私は誰がそこにいるべきか、優先順位をつけるべきだと思う。カメラマンしかり、テレビクルーも現場にいる必要がある。だが、数名のジャーナリストはどうなのか、尋ねてみるべきだろう。

ピットウオールの向こう側でグリッドを見守るジェンソン・バトンのトレーナー © Sutton Images
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彼らは皆、陣羽織を羽織ってサーキットに行くが、実際にコースに行ってマシンを見てまわるのは選ばれた数名だけにすればどうだろう。プレスルームに座ってプレスリリースからニュースを書く方がマシではないか。彼らの多くがグリッドに行くが、そこで実際に何を見つけられるのだろうか? ドライバーへのインタビューはテレビクルーのみしか認められていないので、彼らにそれはできない。ゆえに、彼らのほとんどはカメラに向かってポージングしているかのようだ。もし誰かを(グリッド入場)禁止にするのであれば、ジャーナリストをそうするべきだろう。あるいは、彼らのローテーションを組むべきだ。そして、グリッドには多数のゲストもいる。特にバーレーンは多い。ゲストの多くは自分たちがそこにいることを気にかけもしないのだ。トレーナーより先に彼らが入場を認められるのは信じがたいことである。

私は次に続くオーストラリアとマレーシアの2連戦が待ち切れない。レースとレースの間はマレーシアで少しゆっくりする時間がとれるので、それも楽しみにしている。オーストラリアはよく事故が起こるし、マレーシアは雨の危険性があるため、バーレーンよりはもう少しアクションが見られるかもしれない。

マーク・サットンは兄ケイスと共に『 Sutton Motorsport Images (サットン・モータースポーツ・イメージズ)』を運営、F1カメラマンとしてのキャリアは20年以上。

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